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SMのご主人様

ご主人様とは?

「お帰りなさい、ご主人様♡」

メイドの言う萌え言葉が頭に浮かびましたか?ご主人様とは、元々は家主や配偶者を指した言葉だ。館で雇われているメイドはその家主をご主人様としてご挨拶していることになる。(そう考えるとメイドカフェのあの掛け声は全く意味不明である…)

少なくとも私の身の周りに家主として「ご主人様」と呼ばれている人は居ない。配偶者について考えてみると、現代ではご主人様とは言わず「主人」と言うのが普通で丁寧な言い回しは無くなってしまっている。もし、配偶者を「ご主人様」と呼んでいる方を見かけたら私はそこに愛を感じると思う。

では、SMの主従関係におけるご主人様はどうだろうか?

関係性次第で「飼主」と呼んでいる人もいる。私の場合、新たに定義し直すとすると「管理者」という感じが近いと思っている。奴隷は自分をちゃんと管理してくれて、良い方向に導いてくれる人を愛や尊敬を込めて「ご主人様」と呼んでくれるのではないかと。

ただし、このご主人様は不思議なもので、自らの慢心のせいで関係が揺らぐと一気に崩れるような脆い存在だったりする。この不思議な「ご主人様」について、私なりの理解でどのようなタイプのご主人様が居て、どのような人がご主人様であるべきかを考えてみたい。


ご主人様のタイプ

実際にはもう少し細かくご主人様のスタイルがあると思うけれど、大別すると次の二つだと思う。どちらが良い・悪いではなく、主と奴隷の相性によって成り立つものである。

  1. 完全無欠なご主人様
    四六時中強い主従関係を求めるタイプとなる。ある種いつも緊張した時間が流れ、とてもSMらしい。主だけでなく、従う奴隷にも相応の力が求められる。
    良い点: ずっとSM
    悪い点: 主も奴隷も常に気が抜けない

  2. 恋人の延長線上のご主人様
    ONとOFFの区別をしっかりして、ON(SM)の時は厳しく、OFF(SIM以外)の時は優しくするタイプとなる。ベースに主従関係はあるが、多くの時間を通常の恋人同士のように振る舞う。スイッチを入れられるかどうかが問題となる。
    良い点: 無理がなく継続させやすい
    悪い点: 甘めの主従関係になりがち 


ご主人様が備えるべき要件

少し私の価値観が入ってしまっているが大局的には次に述べる素養をご主人様と呼ばれる立場の人には備えていてほしい。ずっとご主人様と言ってもらえるように。

  1. 奴隷に対して愛情があること
    少なくとも私の求める主従関係では、主と奴隷はお互いに相思相愛であって欲しい。決して奴隷からの一方向の愛ではなく、主から奴隷への愛も含めた双方向の形がいいと思っている。性癖が完全に合致した上での相思相愛の絆はとても強く、かけがえのないものとなる。

  2. 余裕があること
    まず、金銭的余裕。とても大きなお金がかかるというわけではないが、SMをするとその分少しだけ金がかかるという事実がある。SMというのは拘りだ。その拘りを大事にすればするほど、道具代や場所代が高くなっていく。これらは基本的には主が払って然るべきものであり、それくらいの金銭的余裕は絶対あった方が良い。もしそれらのコストを奴隷にも持たせようとしているなら、まずは自身の収入を上げる努力をした方が良いかも知れない。
    次に、時間的余裕。SMをする時は緊縛、浣腸、後始末等に想像以上に時間がかかることを理解しておかなければならない。ノーマルな場合と比べて倍以上の時間がかかると考えておいた方が良い。まとまった時間を作れることが求められるだけでなく、その場を主導する立場として何をどう進めていくのかタイムマネジメントが求められる。そして、忘れてはいけないのはSMをしていない時の奴隷のための時間だ。忙しすぎる主は致命的であり、奴隷を構ってあげられずに寂しい思いをさせることになってしまう。もし、自らが忙しい主であれば、忙しい奴隷を探すべきだ。

  3. 安心を与えられ、導く力があること
    奴隷の中には初心者も居るし、様々な迷いを持ってこの世界に飛び込んできている者も多い。そんな奴隷を迷わせないための大前提が安心を与えてあげることである。安心感はその人が持っている雰囲気や言葉遣いによって感じるところが大きい。それに加えて、日常のコミュニケーションをしっかり取ってあげることが重要だ。そして、一見関係無さそうでもあるが清潔感を保つことは必ず安心感に繋がることを覚えておくといいだろう。人が視覚から得られる情報で判断することはあまりに多い。
    この安心感があった上で奴隷をリードしていかなければならないのだが、これには縄や鞭等のテクニック的なものから衛生的な配慮まで幅広い知識と経験が求められる。こればかりは少しずつ身に着けていく他ないだろう。また、関係が長く続くと、SMのことに留まらず、仕事や生活についてのアドバイスやサポート等が求められる場合がある。そんな時は自身の人間力や経験をフル活用して、奴隷を良い方向にリードしてあげて欲しい。



まとめ

  • ご主人様とは奴隷の管理者である

  • ご主人様と奴隷は相思相愛であっていて欲しい

  • ご主人様には様々な余裕があって欲しい

  • ご主人様は奴隷を安心させて良い方向に導いてあげて欲しい


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