見出し画像

【Oral care-8】噛む回数が少ないとメタボリックシンドロームになる

オーラルケアシリーズの第8回目です。
今回は噛む回数が少ないとメタボリックシンドロームになるリスクが高まる、という新潟大学からの最新の論文をご紹介します。

▶論文タイトル
「Impact of masticatory behaviors measured with wearable device on metabolic syndrome: Cross-sectional study」
▶論文情報
JMIR Mhealth Uhealth. 2022 Feb 18.
発行日:2022年2月18日

▶概要
実験室での咀嚼行動と日常の食事での咀嚼行動の関係を調べ、メタボリックシンドローム(MetS)と非MetSの間でウェアラブルデバイスで測定した咀嚼行動の差異を明らかにすることを目的とした。
健康なボランティア99名(男性50名、女性49名、36.4±11.7歳)が参加し、咀嚼行動(咀嚼回数,一口あたりの咀嚼回数,咀嚼速度)は耳掛け型ウェアラブルデバイスを用いて測定した。
実験室でおにぎり(100g)を食べているときと普段の食事中の咀嚼行動を丸1日観察し、1日のエネルギー摂取量を算出した。
実験室での咀嚼行動と日常の食事中の咀嚼行動には有意な相関が認められた(咀嚼回数 r=.360; P<.001, 噛む回数 r=.493; P<.001, 一口あたりの噛む回数 r=.334; P=.001, 噛む速度 r=.512; P<.001 )。
1日の食事中の咀嚼回数と摂取エネルギーには正の相関が認められたが(r=.262、P=.009)、摂取カロリーあたりの咀嚼回数は摂取エネルギーと負の相関が認められた(r=-.315、P=.002)。
MetS予備群(+)のおにぎりの咀嚼回数と噛む回数は、MetS予備群(-)に比べ有意に少なかった(それぞれP=.018, P=.036)。
さらに、腹囲、血圧の陽性サブグループのこれらのスコアも、対応するグループより低かった(それぞれ、咀嚼についてはP=.004、P=.010、噛み砕きについてはP=.006、P=.016)。
実験室での咀嚼行動は、毎日の食事と関係があり、咀嚼行動はMetSおよびMetS構成因子と関連があることが示唆された。

この論文で咀嚼を数値化した装置はシャープから販売されている「bitescan(バイトスキャン」という装置です。

耳に掛けて耳裏の動きをセンサーで感知し、噛む回数、一口平均回数、噛むテンポ、姿勢、食事時間などが記録できます。

今回の試験結果から、咀嚼回数が少ないほどBMIが高く、メタボリックシンドロームの傾向が認められた、ということでした。
なお試験参加者の平均年齢は約36歳でした。

以前ご紹介した大阪大学からの発表では、咀嚼能力の低下がメタボリックシンドロームの発症リスクをあげる、という内容でした。
平均年齢は約66歳と、こちらは高齢者が対象でした。

つまり、今回はまだ十分噛める能力があるにもかかわらず噛んでいないという人がメタボリックシンドロームになるリスクがあり、実際に既にメタボリックシンドロームだ、ということです。
柔らかい食べ物は、どちらかというと高炭水化物、高脂肪で、またしっかり噛まずに胃に送り込んでしまうと、胃への負担は大きくなり、更に腸にまで影響を及ぼします。
しかし、自分がどれだけ噛んでいるかを意識することはあまりなく、bitescanのような数値化できるデバイスで自分の咀嚼状態を知ることができれば、高齢者だけではなく、子供も意識づけになると思います。

よく噛んで食べなさいと言われたことがあるかと思いますが、最近はよく噛む必要のない食事が多いのではないでしょうか。
メタボ解消のためには意識してしっかり噛むことのできる食事内容を心がけたいものです。

これまでnoteにアップしたバックナンバーは👉こちら


リンクアップは、本当に役立つサプリメントや機能性食品を開発し提供したいとお考えのお医者様や企業様のために、商品企画や開発から製造、販売にいたるまでサポートさせていただいており、使ってよかった、元気になった、と言っていただける、そんな商品をぜひ一緒に作っていきたいと思っております。

一人一人が病気にならないために、また不調から抜け出し健康で毎日を過ごすためのきっかけとしてサプリメントや機能性食品が利用されるよう、本当に役に立つ商品を一つでも多くお届けするためにお手伝いをしたいと考えておりますので、オリジナル商品を作りたいとお考えの方がおられましたらご連絡ください。

また、自分が飲んでいるサプリメントは大丈夫なの?といった質問にも、これまでの経験を踏まえ、できる範囲でお応えしたいと思いますので、コメントいただければと思います。

リンクアップでは、毎日こちらのサイトで最新論文をアップしていますので、こちらもぜひご覧ください👉こちら

<今週の論文>
◆2022年 2月25日     【歯科】
咀嚼行動はMetSおよびMetS構成因子と関連がある

◆2022年 2月24日     【メタボリックシンドローム】
【RCT】魚油+VD群と魚油群はNAFLDの肝細胞障害のバイオマーカーと血漿TAGレベルに対して有益な効果を示した

◆2022年 2月22日     【脳機能】
【RCT】魚油は成人ASD患者の注意とワーキングメモリを改善し、ADHDを併発する者のADHD症状を改善する可能性が示唆

◆2022年 2月21日     【妊婦・産後】
【Review】妊娠中のオメガ3補給は子癇前症、低出生体重児、早産、産後うつに対して好ましい効果を発揮する



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?