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016定期巡回の経営の難しさ(2)

訪問件数の目安

定期巡回は24時間365日のサービスです。
しっかりとしたアセスメントを行い、必要なサービスを必要な時間提供するのが適正なサービスだと考えています。だから介護1だから訪問1回、介護5だから複数回というしばりはあえて設けることは、適正ではないと考えています。
しかし!
必要だからと無限にサービスを行うことは、経営側からすると問題となります。定期巡回は短い時間のサービスを複数回訪問し、また多くの利用者を抱えることで成り立ちます。弊社では常勤1名につき4名までは対応可能であると考えています。移動時間の短縮も多きな柱となります。訪問ルートを作る時も、近距離の利用者のサービス時間に近い時間を調整し、これにより移動時間を短縮しています。移動時間を概ね5分~10分程度、1時間内に2~3件の訪問を目安にしています。もちろん、入浴や食事介助になると1時間に1名程度となります。

見直し案件について

弊社の使用している記録システム「スマケア」は毎月売上集計表を提示してくれます。弊社でもこの集計表は管理としてはとても重要視しています。
訪問時間、訪問回数、随時対応の回数、時間、そして1分、1時間単位での単価計算までされてきます。
弊社では、1分あたり80円台イエローライン、それ以下をレッドラインと認識しています。要介護5、食事介助(セッティング)3回+排泄で計4回訪問していた方が1分あたり49円。この方は何度か会議時にも見直しできることがないかを検討しました。家族の協力が得られず、本人もだんだん食事をするスピードが遅くなり介助量も増え、弊社としては移動時間も考えるとどこまで対応するべきか、厳しい判断をくださないといけないのか、何度も何か月も話をした案件です。結果的には看取りまでさせていただきました。
もう1件は1分あたり56円。要介護1ではありましたが認知症もあり見守り、食事セッティングや水分補給、服薬が必須と判断し1日3回の訪問。変更申請を検討してほしいところですが、金銭的負担が厳しいとのことで、更新時期までこの状態を続けることとなりました。
いずれも、事業所がどこまで頑張れるのか、1分でも短くするために知恵を出し合います。
反対に、要介護5でも移乗介助のみの対応の方は1回の訪問時間が数分であるため1分あたりが1000円台となる方もいらっしゃいます。
新規受け入れ時の目安時間と大幅に変わる場合もあります。
技術を磨き短時間でサービスを終了できる、またゆっくりとお話する時間も大切にする。バランスがとれたサービスが、この定期巡回では必要だと考えます。

定期巡回の売上管理のしやすさ

定期巡回は包括報酬ですので、急なキャンセルなどでも売上減になることはありません。2月など他の月より3日少ないだけでも大きく売上が減る訪問介護や通所介護とは違い、安定した売上額を確保できます。減算や日割り計算もありますが、おおむね1か月の売上高の予想がつきやすい。
弊社は記録はスマケアを使用し、請求関係はトリケアトプスを使用しています。利用者負担分の請求書もトリケアトプスを使用しています。介護保険分が確定すれば、その他の利用分、弊社ではおむつの販売分や立替分などの入力をしておけば、すぐに請求書が発行できるため毎月の請求業務が短時間で行えています。(本当に楽々です)
また集金業務は現場スタッフの負担にならないように、基本的には銀行振替での対応をとしています。請求書もご家族に郵送は数件、それ以外は訪問スタッフに手渡しで対応しているので通信費のコストカットも行えています。
私はこの請求書の手渡しすることはとても大切だと思っています。私たちの提供するサービスは有料であり、ボランティアではない。提供したサービスに見合うだけの金銭を授与する。Win-Winの関係。それはスタッフにも理解して欲しいことです。介護はボランティアではありません。もちろん、売上で全てを判断してしまうのはとても危険なことです。利益を上げ、それをスタッフに還元する。自分の給与はどこから出ているのか、そして自身の技術を磨き、更により良いサービスを提供し、顧客満足度を上げるのか、それが一番の営業であると考えています。
介護業界に入ったころ、支払いを持参する家族に「ありがとう」と言われたことが最初とにかく驚きました。お金をいただくこちらではなく、サービスを受けた側が言われる。そして「請求書はまだ?」と請求書を急がされたり、未収がないことが、ある意味普通じゃない業界なのだと感じました。
経理としてはなんて素敵な業界なのだと思ったものです。


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