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0円で新規開拓!! 紹介マーケティング

皆さん、こんにちは! 社長の大学主宰、株式会社リンケージM.Iコンサルティングの長谷川博之(はせがわ・ひろゆき)です。
業界は問いませんが、トップセールスマンに共通のことがあります。
それは、「紹介」が多いということです。
紹介とは、既存顧客が自分の友人や知人などを新規見込客として紹介してくれることです。
基本的に紹介は、コストがかかりません。
つまり、0円ということです。
大変、効率のいい方法だということがわかると思います。
新規顧客開拓で一番難しいのは、新規見込客の発見です。
この一番難しいパートを既存顧客が代りに行ってくれるのですから、これほどありがたいことはありません。
ですが、これをシステマチックに行っている企業や営業マンは稀です。
では、どうしたらいいのでしょうか?
そこで今回は「0円で新規開拓!!紹介マーケティング」というテーマでお届けいたします。


高騰する新規開拓コスト、新規開拓はやめられない!

マーケティングの世界では有名な「1:5の法則」。
恐らくあなたも耳にしたことはあるでしょう。
ひとことで説明すれば、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかるという法則です。
意外と知られていませんが、これはアメリカのコンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー社」の名誉ディレクターを務めるフレデリック・F・ライクヘルドという人が調査の結果見出した法則です。
この「1:5の法則」は、様々な書籍や資料で使われていますが、出典はよくわからないというケースがほとんどです。
そうこうしているうちに、情報だけが一人歩きして大変有名になりました。
そして、この出典元を調べた方によると、日本語訳されたものはなく、英語の論文で公開されているとのことです。
参考までに論文の情報を掲載します。
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https://hbr.org/2000/07/e-loyalty-your-secret-weapon-on-the-web
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営業マンの習性として、毎月の売上目標を達成するために、どうしても新規顧客開拓を優先させてしまいます。
また、成約確度の高い見込客に注力してしまいがちです。
そのほか、会社として新規顧客開拓で取り組むこととして、「テレアポ」「リスティング広告」「業界紙への広告」「プレスリリース」「FAX-DM」「展示会」など、多種多様な新規顧客獲得のための手法があります。
ただし、これらはあくまでも会社として取り組む「見込客を集める」ための手段です。、
これらを見ただけでも、膨大なコストがかかります。新規顧客を集客して成約に至るためには、既存顧客から再購入をしてもらうコストの5倍かかることがよく見て取れると思います。
見込客が集まったら、一人ひとりの営業マンの出番です。
見込客に対してアポ取り訪問をします。
名刺交換からスタートして商談を何回も重ね、提案・見積りをして、ようやく成否が決まります。
すべてが成約に至るわけではありませんので、当然、失注もあります。
成約よりも失注が多いのが現実です。
さらに、値引き要請をされることもあります。
そう考えると、新規顧客1社または1人と取り引きを開始するのに、どれだけ多くのコストをかけているのかがよくわかると思います。
ですが、コストがかかるからといって、新規顧客開拓をやめてしまうと、既存顧客の維持ということになりますから、ジリ貧なのは明らかです。
また、中小企業では、経営者の気持ちとしては新規顧客開拓をやらなければいけないということがわかっていても、当の営業マンがなかなか動かないという現実があります。
理由は、既存顧客の対応が忙しく、新規顧客開拓の活動まで手が回らないというのが本当のところです。
これが、新規顧客開拓がなかなか進まない理由です。
また、少子化の影響で日本の人口はこれから本格的に減少します。益々、新規顧客開拓は熾烈さを極めます。
ですから、大企業は日本市場をそこそこにして、新たな市場を求めて海外に本格進出しているのです。


企業の資産である既存顧客を活用しましょう!

そこで注目したいのが、既存顧客です。既存顧客から新たな受注を得る方法はたくさんありますが、その前に、既存顧客のフォローとメンテナンスをしっかり行うことが先決です。
まずは、既存顧客の他社流出を防ぎましょう。
既存顧客が他社に流出した数や率の関してのデータ化している企業は稀かもしれませんが、既存顧客が流失る確率を5%下げると、利益が25%から95%改善されるというデータもあります。これを「5:25の法則」と言います。
次に考えることは、既存顧客からの追加受注を増やすことです。
一旦取り引きが始まると、それ以上のセールスをやらないケースが多々あります。取り引きが始まったので、「いつでも提案できる」という安心感がそうさせるのかもしれません。
そして最後が、既存顧客に新規見込客を紹介してほしい旨を依頼することです。
この3つを行うだけで、新たな売上を構築することが可能です。
既存顧客ですから、コストも少額で済みますし、営業活動も容易です。
断られ続けるアポ取りをしなくてもいいのです。
新規顧客開拓に比べたら、まさに天国です! 
これを活用しない手はありません。
今回はは、3番目の既存顧客に新規見込客の紹介を依頼する「紹介マーケティング」を解説します。


紹介マーケティングとは?そして、その効果とは?

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紹介マーケティングという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、ここ1年で日本でも「リファーラル・マーケティング」という言葉を聞くようになりました。
また、巷ではブームとなっています。
リファーラル(referral)とは、「紹介・推薦」という意味です。
つまり、リファーラル・マーケティングとは、「紹介・推薦」をマーケティング戦略として活用することを指します。これを仕組み化して、組織化した団体がいくつか登場しています。
リファーラル・マーケティングの効果として、「企業・個人に関わらず効果がある」「自社だけでは難しい顧客を獲得できる」「広告費を大幅に抑えられる」「自分の理想としている価格で売れる」というメリットがあります。
今回紹介するのは、リファーラル・マーケティングとは少し違いますが、新規見込客を紹介するという点では同じです。
紹介マーケティングとは、「既存顧客」「取引先」「金融機関」「友人」「家族」「親戚」「近所」など、周囲の人や企業からの紹介や推薦を得るためのマーケティング戦略です。
昔からある手法ではありますが、時代を超えた普遍的な法則です。
恐らく、地球上に人類がいる限り、受け継がれるでしょう。
最近では、SNSの利用者が爆発的に増えたことにより、SNS上での口コミや紹介によって、商品やサービスが売れるのが顕著になってきました。
売り手だある企業は自社に都合のいい情報を発信します。
ですが、消費者はそのようなことはお見通しです。
そこで消費者は、商品やサービスを購入する判断基準として、SNS上で繋がりのある友人や知人のレビューを信用するようになったのです。
このような現象を見ても、友達の評価、知人の声をいうのがどれだけ大きな影響を与えるかが理解できると思います。
紹介マーケティングを実行することで、自分自身で営業しなくても、商品やサービスを体験した既存顧客などが新たな見込客を連れてきてくれるようになります。ただし、何もしなくても紹介が起こる程、世の中は甘くありません…。当たり前の話です。
紹介を意図的にコントロールするのは難しいのですが、紹介を発生させるロジックがあることは確かです。
ロジックといっても百発百中とはいきませんが、これをやらなければ、まず紹介は発生しないといっても過言ではありません。
何もしていないのに紹介が発生したというのは偶然です。
そう思っていて、間違いありません。


紹介が発生するメカニズムを科学的に解明する!

まずは、100%間違いのない事実をお伝えします。
すべての既存顧客は、あなたの販売している商品やサービスを積極的に友達や知り合いの会社に紹介したいとは思っていません。
理由は、あなたの会社の営業マンでもなんでもないからです。
単なる顧客です。
むしろ「何で紹介なんてしなくちゃいけないの?」と、反論するでしょう。
しかも、紹介をするということは、あなたの会社の営業マンのようなポジションになるわけです。
ですから、積極的に紹介をしてくれる既存顧客はいないのです。これだけは胸を張って言えます。
ところが、トップ営業マンの中には、次から次へと紹介の連鎖が起こっている人がいます。
というより、トップ営業マンになろうと思ったら、既存顧客からの紹介は必須です。
紹介なくして、トップになり得ることはありません。

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アメリカの自動車メーカー「シボレー」のトップセールスマン「ジョー・ジラード」は、1963年から1978年の約15年間で13,001台の乗用車を販売しました。
その間、「12年連続世界ナンバーワンのセールスマン」としてギネスブック記録となった伝説の人物です。
このジョー・ジラードも、紹介を意図的に発生させる名人でした。
ジョーから自動車を購入すると、毎月ジョーから手紙が届きます。
その手紙には、「I LOVE YOU」と書かれていたそうです。
ただし、1年に1~2回は、「あなたの友達・知人で、自動車を購入しそうな人がいたら紹介してほしい」旨が書かれていたそうです。
これにより、ジョーは大量の紹介を生み出していたのです。
このほかにも、ガソリン・スタンドの店員にも、紹介依頼をしていたようです。
これが、12年連続世界一の営業マンとして君臨していた重要な戦略といっても過言ではありません。
さて、紹介を生み出すポイントは、「タイミング」です。顧客の満足度の一番高い時を見計らって、紹介を依頼するというのが鉄則です。
では、顧客の満足度が一番高い時というのはいつでしょうか?
たとえば、新築住宅であれば、新築を引き渡す時です。
新築が完成して、お客様に鍵を渡す時です。
これから新しい家に住めるという期待感と、新しい家が目の前にあるのです。
ほとんどの人が感動します。ここを狙って紹介依頼をするのです。
ところが、引き渡しから3ヶ月も経過してから、紹介依頼をしたところで、感動は冷めて、満足度も相当低くなっています。
このような心理状態の顧客に対して、紹介依頼をしてもなかなか乗り気になってもらえません。
また、ある学習教材を販売している営業マンは、契約書を交わしたタイミングで紹介依頼をするそうです。
「本日は、ご契約ありがとうございます。〇〇様と同じよう悩みをお持ちのお知り合いがいましたら、ぜひご紹介いただきたいのです。どうかよろしくお願いいたします。」と、こんな感じです。
もうひとつは、「驚き」です。
驚きとは、一般常識では語られることのなかった情報のことです。
マル秘情報でもいいでしょう。
とにかく、初めて聞くようなある意味ショッキングな情報です。
たとえば、営業マンであるならばクロージングに重点を置いている人も多いことでしょう。
そのような営業マンに対して、「クロージングしなくても契約に至る禁断のスキル」という情報提供をしたら、同僚の営業マンに教える可能性大です。
また、感動してつい涙が出てしまうような話も有効です。
たとえば、NHKで連続ドラマになった「町工場のオンナ」。
原作者である諏訪貴子さんは、ダイヤ精機の社長です。
諏訪さんのお父さんが社長でしたが、余命3日と宣告されて、主婦だった諏訪さんが急遽社長になりました。
言うことを聞かない社員、諏訪さんの社長就任に反対する金融機関。
そして、会社を何とか良くしたい諏訪さん。
徐々に業績も改善され、日経ウーマン主催のウーマン・オブ・ザ・イヤー2013大賞を受賞します。
そして、その表彰式で、言うことを聞かなかった社員が、「一生、社長についていきます!」というまでのストーリーです。
つい人に話したくなります。
このように、驚きや感動の情報というのは一人歩きします。
一方的に紹介を依頼するのとは違います。
情報を聞いた人が自らの意思で、情報を拡散してくれるのです。
「タイミング」と「驚き」は、紹介を発生させる確率を高めるためには必須の条件ですので、肝に銘じてください。


紹介マーケティグ3つのポイントはこれだ!

紹介マーケティングの根底にあるのは、既存顧客との信頼関係です。
信頼関係のない人に紹介を依頼してもいい結果は見込めません。
まずは、既存顧客との信頼関係を構築することが重要です。
紹介マーケティングのポイントは、いくつかありますが、その中から特に重要な3つを紹介します。
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ポイント①質の高い商品やサービスを提供する
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基本は、質の高い商品やサービスを提供することです。
取り引きの目的は、商品やサービスの売買です。
ですから、粗悪な商品やサービスを提供していたのでは、絶対に紹介は発生しません。
質を上げる、パフォーマンスを上げるために、定期的に改善や改良を重ねることが重要です。
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ポイント②お客様の声を収集して公開する
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ここ数年の購買行動の特徴でもありますが、その商品やサービスを実際に使ったり、利用したお客様の声を基準に購買の判断をする人が増えています。
お客様の声を営業ツールで紹介してください。
ホームページ、チラシ、会社案内などです。
法人向けの高額商品を扱っている企業ならば、お客様の声というよりも、事例紹介というかたちでお客様の会社名や担当者名も明記の上紹介するといいでしょう。
もちろん、担当者の顔写真も掲載すればベストです。
掲載する場合は、お客様の許可を取ってください。
商品案内チラシやお客様の声などを紹介ツールとしてパッケージ化して、既存顧客に紹介依頼するのもひとつの方法です。
商品やサービスによりけりですが、商品やサービスをどのように伝えていいのかわからないケースも多々見受けられます。
そのような時、紹介ツールがあると助かります。
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ポイント③はっきりと紹介を依頼する
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紹介マーケティングの一番のポイントは、既存顧客にはっきりと紹介を依頼することです。
まずは、これに尽きます。
 依頼しない限り、紹介が発生することはありません。
お客様もあなたのことを考えるほど暇ではありません。
「紹介してほしい」と依頼されて、初めて気がつきます。
どんなに素晴らしい商品だと思っても、お客様が自発的に紹介することは滅多にありません…。
弊社クライアントで自動車販売店では、異常に紹介が多い営業マンがいます。
多い月には、契約者の2~3人が紹介なのです。
この営業マンに聞いたところ、気心が知れた既存顧客に「車を購入しそうな人を紹介していただけませんか?」と、明確に紹介依頼をしているとのことでした。
どうしても苦しい時は、頼み込むこともあると言っていましたが、そこまでやるから、お客様も紹介する気になるのです。
また、紹介は難しいお客様も、別の商品やサービスを購入してくれる可能性があります。
このような波及効果が見込めるのが紹介マーケティングなのです。


紹介マーケティグは、超効率的な新規開拓法です!

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紹介マーケティングの威力は、超効率的なことです。
一般消費者向け商品を扱っている企業では、紹介依頼をすることで、家族を紹介してくれることがあります。
やはり、自動車関係ですが、弊社クライアントの自動車整備工場があります。
ここは、毎月2~3人、家族の紹介があります。
たとえば、お父さんがこの自動車整備工場を利用しているとします。
紹介依頼をすると、お母さんや息子さんを紹介してくれるパターンです。
長いお付き合いになる既存顧客だと、一家全員がこの自動車整備工場のお客様ということもあります。
家族紹介は、本当に効率的です。
また、法人営業でも同じようなことが起こります。
ある専門工事会社が、工場の外壁の塗り替えを行ったとします。
とても、仕事の高い仕事をして、職人の挨拶やコミュニケーションも好感度が高かったとしましょう。
この工場は、ほかに第二工場と第三工場があります。
紹介依頼をすることによって、第二工場や第三工場を紹介してもらえる可能性が大です。
また、グループ会社や協力会社の紹介も考えられます。
顧客は一社なのですが、潜在顧客としては多くの物件が考えられるということです。
これは、一般消費者では起こりにくく、法人営業特有のパターンです。
また、このようなケースもありました。
ある工場の修繕を行った専門工事会社があります。
工場の修正を行ったことで、社長の自宅の修繕も行うことになったのです。これは、「BtoB」から「BtoC」が派生したということになります。
こうなると、紹介マーケティングは益々、超効率化が実現します。
ただし、こうなるには、信頼関係を築くことが重要です。


紹介マーケティングに必須の営業ツールとは?

既存顧客とのより深い信頼関係を構築するのは、質の高い商品やサービスの提供はもちろんのこと、定期的なコミュニケーションも重要です。
そのような時に活躍するのが、「ニュースレター」や「ハガキ」です。
ニュースレターはお役立ち情報やスタッフ紹介、ハガキは季節の挨拶で十分です。
ポイントは、一切売り込みはしないということです。
顧客は売り込みをされるのが大嫌いです。
ですから、顧客の立場に立ったコミュニケーションが大切だということです。
「バースディカード」や「創業記念カード」なども有効です。
シンプルに「おめでとうございます」など、お祝いのメッセージだけで十分です。
顧客にしてみれば、それが嬉しいのです。


紹介マーケティングの落とし穴とは?

紹介マーケティングは、効率的でコストもかからないことを伝えましたが、残念ながら落とし穴もあります。
紹介ということで、「値引きしてくれるだろう」と思っている人もいるようです。
実際にそういうケースを何件か聞いたことがあります。
また、紹介ということで、紹介者の顔を潰すことができないというプレッシャーがあります。
紹介してもらったが、無理なことを言われて困っているが、紹介者が上得意客なので断れない、というような場合です。
このようなケースになることも考えられるので、紹介者には「紹介ありがとうございます。
せっかくチャンスをいただきましたから、できる限りの努力はさせていただきます。
私の実力不足で上手くいかなかった時はお許しください」と、事前に伝えておくのもひとつの方法です。


逆説的な紹介マーケティングとは?


「鏡の法則」という言葉を聞いたことがあります。
自分がしたことは、自分に返ってくるという法則です。
つまり、より多くの人を紹介してもらうには、自分がより多くの人を紹介している必要があります。
自分は他人に誰も紹介していないのに、自分だけ紹介してもらおうなんてのは、都合が良すぎます。
「紹介している人=紹介される人」ということです。
 紹介する人になるには、たとえば、名刺交換をした際、相手のこのようなことを言ってください。
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〇〇さんのお仕事では、どのような人が見込客として有望ですか?
紹介できる人が私の前に現れるかもしれないので、特徴を教えてください。
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このようなことを言われて、嬉しくない人はいません。
見込客の特徴を聞いて、もしそのような人が現われたら、この人に紹介してやればいいのです。これが積み重なると、いずれあなたに返ってきます。


紹介マーケティングは、営業の基本と心得よ!

紹介マーケティングは、既存顧客にお願いをすることから嫌がる営業マンはことのほか多いです。
ですが、紹介が多いということは、既存顧客からの信頼を得ているということです。
また、人的ネットワークは、どこで誰と誰が繋がっているのかわかりません。
もしかしたら、すごい企業の役員と知り合いだったり、富裕層と知り合いだったり、そんな人があなたの周りにもいるかもしれません。
人的ネットワークだけは、外観を見ただけではわかりません。
紹介マーケティングの基本は、信頼関係を築くこと!
これを忘れずに、紹介活動を行ってください。

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