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飽和脂肪酸が老化脳の記憶形成を阻害する可能性

高脂肪食が脳細胞に影響を及ぼすいくつかのメカニズムが明らかになった、という研究報告。加齢に伴う高脂肪食と記憶障害との関連性を説明するのに役立つ可能性がある。

研究者らは、培養細胞を用いたインビトロの実験で、炎症を促進する脳内の細胞であるミクログリアと、学習と記憶に重要な海馬ニューロンに焦点を当てた。ミクログリアとニューロンを、ラード、ショートニング、肉、乳製品などの高脂肪食品に最も豊富に含まれる飽和脂肪酸であるパルミチン酸に曝露し、細胞内の遺伝子活性化やミトコンドリアの機能、構造にどのような影響を与えるかを観察した。

その結果、パルミチン酸はミクログリアとニューロンの両方で炎症の増加に関連する遺伝子発現変化を促進したが、ミクログリアは影響を受ける炎症遺伝子の範囲が広かったことが示された。

これらの細胞を、魚介類に含まれるオメガ3脂肪酸の1種であるDHAで前処理すると、両方の細胞タイプで炎症の増加に対して強力な保護効果が得られた。

別の一連の実験では、研究者らは、シナプス刈り込みと呼ばれる別のミクログリアの機能を観察することにより、飽和脂肪の多い食事が高齢マウスの脳内のシグナル伝達にどのような影響を与えるかを調べた。

ミクログリアは、高脂肪食または通常の食事を3日間与えられた動物からのシナプス前物質とシナプス後物質の両方を含むマウスの脳組織に曝露された。

ミクログリアは、高脂肪食を与えられた高齢マウスのシナプスを、通常食を与えられたマウスのシナプスを食べるよりも速い速度で食べた。これは、高脂肪食がそれらのシナプスに何らかの作用を及ぼし、ミクログリアにそれらを食べる理由を与えていることを示唆するものだ、と研究者らは推察している。

研究者らは、今後パルミチン酸とDHAの効果が若い動物と高齢の動物の初代培養脳細胞でどのように作用するかを調べる予定である。

出典は『Frontiers in Cellular Neuroscience


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