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人工甘味料がマウスの免疫反応を抑制する

一般的な人工甘味料であるスクラロースを大量に摂取すると、マウスの免疫系の重要な構成要素である T 細胞の活性化が低下するようだ、という英国スウォンジー大学からの研究報告。 

スクラロースは砂糖の約600倍の甘味をもつ人工甘味料で、飲み物や食べ物によく使われている。他の多くの人工甘味料と同様に、スクラロースの体への影響はまだ完全には理解されていないが、最近の研究では、スクラロースがマイクロバイオームに影響を与えることで人間の健康に影響を与える可能性があることが示されている。

研究者らはマウスの免疫系に対するスクラロースの影響をテストした。マウスには、欧州および米国の食品安全当局が推奨する許容 1 日摂取量に相当するレベルのスクラロースが与えられた。重要なことは、これらの用量は達成可能だが、通常の食事の一部として甘味料を含む食べ物や飲み物を単に消費するだけの人では通常到達できない。

高用量のスクラロースを含む食事を与えられたマウスは、がんや感染に反応してT細胞を活性化する能力が低かった。他のタイプの免疫細胞には影響は見られなかった。

T細胞をより詳細に研究することにより、研究者らは、高用量のスクラロースが刺激に反応した細胞内カルシウム放出に影響を与え、したがってT細胞機能を弱めることを発見した。

この研究は、健康な免疫系を確保したり、病気からの回復を望んでいる人々に警鐘を鳴らすものではないという。なぜなら、通常のレベルまたは中程度に高いレベルのスクラロースを摂取しているヒトでは、この研究で達成されたレベルにさらされることはないからである。

代わりに研究者らは、T細胞媒介性自己免疫疾患のマウスに高用量のスクラロース食を与えたとき、過剰に活動する T 細胞の有害な影響の緩和に役立ったという観察に基づいて、これがスクラロースによる新たな治療法につながることを望んでいるという。

「マウスにおけるスクラロースのこれらの効果が人間で再現できるかどうかを確認するには、さらなる調査と研究が必要です。これらの最初の発見が人間で有効であれば、いつの日か自己免疫状態の有害な影響の一部を制限する方法を提供する可能性があります」と共同研究者のジュリアナ・ブラジ助教授はコメントしている。

出典は『Nature


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