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世界中で数百万人がヒ素含む水で調理する危険にさらされている

世界の約32%の人々が、世界保健機関(WHO)が現在推奨する安全なヒ素濃度の水質基準を守っていない国に住んでおり、推奨されるレベル以上のヒ素を含む水を使用して米を調理することで、数百万人が深刻な健康リスクにさらされているようだ、という研究報告。

米が主食である中国、バングラデシュ、パキスタン、カンボジア、タイ、ミャンマー、ネパールなどのアジア諸国を含む世界の多くの国が、1963年に導入された水中の無機ヒ素に対するWHOの時代遅れの制限値(50ppb)を依然として使用している。

今回、英国シェフィールド大学の研究チームは、ヒ素に汚染された水(10ppbおよび50ppb)で一般的な種類の米を2種類の方法で調理した場合に、ヒ素を含まない水(0.2ppb未満)と比べて、食品に吸収される量にどのような影響があるかを検討した。米の種類としては、白米とパーボイル米と玄米を、米の調理法には、水を過剰に加える(体積比で6倍量)方法(EW)とパーボイル吸収法(PBA)を用いた。

実験の結果、EW法とPBA法は、白米と玄米からの無機ヒ素の除去に同様の効果(54-58%)を示すことが明らかになった。けれども、パーボイル米については、EW法(~50%)のほうが、PBA法(~39%)よりも効果的だった。

ヒ素に汚染された水を用いた場合には、いずれの濃度においても、無機ヒ素濃度は上昇した。白米が最も高くなり、次いでパーボイル米、玄米の順で会った。またPBA法のほうが、EW法よりも無機ヒ素濃度を高めた。

ヒ素を含まない安全な水を利用できない場合、リスクを軽減するために(パスタや麺のように)調理後に水を切るEW法を使用して米を調理するのが最善の方法であるようだ、と研究チームは結論付けた。

「世界中の国々がWHOの最新の推奨事項を採用し、公衆の保護のために可能な限りヒ素への曝露を最小限に抑えることが極めて重要です」と研究者はコメントしている。

出典は『Science of The Total Environment

http://dx.doi.org/10.1016/j.scitotenv.2023.169653


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