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残留有機汚染物質への早期暴露が腸内細菌叢を恒常的に破壊する

幼少期に環境中の「永久化学物質」にさらされると、マウスの腸内細菌叢が永久に破壊され、その後の生涯で代謝性疾患を発症する一因となるようだ、という研究報告。幼少期にヒトがこれらの化学物質にさらされることが、成人の肥満や2型糖尿病など、最近の代謝性疾患の流行に寄与している可能性があることを示唆している。

研究者らは、廃棄物の焼却、金属生産、化石燃料や木材の燃焼の副産物である広範囲に広がる残留性有機汚染物質(POP)である2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフラン(TCDF)に特に注目した。TCDFは食物連鎖の中で蓄積され、ヒトは主に肉、乳製品、一部の魚などの高脂肪食品の摂取を通じてTCDFにさらされる。乳児は母乳の摂取を通じてTCDFにさらされる可能性がある。

研究チームは、マウスをTCDF投与群と、何も投与しない対照群の2群に分けてTCDF の効果を調べた。生後 4 週間のマウスに 0.46µgの TCDF を含む錠剤、または TCDF を含まないプラセボ錠剤を 5 日間与えた。0.46 µg はヒトの通常の食事に含まれるより多いが中毒性疾患は惹起しない量である。

「私たちの研究では、一般的な人間の曝露量と比較して比較的高い用量を使用しましたが、この情報を使用して、腸内微生物叢を含む新しい毒性量を特定し、さらに低い用量で何が起こるかを推測することができます。もちろん、これらのPOPの複雑な混合物が私たちや微生物パートナーとどのように相互作用するかも考慮する必要があります。なぜなら、1回の曝露では現実のシナリオを完全に模倣することはできないからです」と研究者は述べている。

研究者らは、5日間のTCDF投与直後と、最後の投与から3か月後にこれらのデータを収集した。ヒトの場合、これらの時点は乳児と若年成人に相当する。

その結果、幼少期のTCDFへの曝露が野生型マウスの腸内微生物叢を永久的に破壊したことが明らかになった。また、これらのマウスは生後4か月で体重が増加し、耐糖能が低下していることも示された。

TCDF が腸内微生物叢に与える影響をさらに調査するため、研究者らは、微生物叢のないマウスに、TCDF によって微生物叢が破壊されたマウスの腸内微生物叢移植を行い、その健康状態を測定した。その結果、移植を受けたマウスは代謝障害を発症し、変化した微生物叢が代謝疾患の原因であることが示された。

「これらの結果は、幼少期のTCDFへの曝露が、TCDFが体内から排出された後も、腸内微生物叢の機能障害や高齢期の健康状態に影響を与える可能性があることを示唆しています」と研究者はコメントしている。

出典は『Environmental Health Perspectives

https://doi.org/10.1289/EHP13356


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