見出し画像

乳児用調合乳は約束し過ぎ?

乳児用調合乳の健康増進と栄養特性に関する強調表示のほとんどは、ほとんどまたは全く証拠に基づいていないようだ、という英国インペリアルカレッジロンドンなどからの研究報告。

研究チームは、2020-22年に、社会的および経済的条件が異なる 15か国(豪州、カナダ、ドイツ、イタリア、日本、ナイジェリア、ノルウェイ、パキスタン、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、英国、米国)の乳児用調合乳製品を調査した。乳児用調合乳を製造しているさまざまな企業のウェブサイトを調査すると共に、製品のパッケージを検査し、すべての健康と栄養に関する強調表示を文献と照合した。

全製品から 31 種類の強調表示が見つかった。1 つ以上の強調表示がある 608 製品のうち、最も一般的な強調表示の種類は、「脳および/または目および/または神経系の発達を助ける/サポートする」(323 (53%) 製品、13 成分)、「健康な免疫系を強化/サポートする」 (239 (39%) 製品、12 成分)、および「成長と発達を助ける/サポートする」 (224 (37%) 製品、20 成分)だった。

41 グループの成分が 1 つ以上の強調表示に関連していたが、多くの強調表示は特定の成分に言及せずに行われていた (307 (50%) 製品)。

強調表示に記載されている成分の最も一般的なグループは、長鎖多価不飽和脂肪酸 (278 (46%) 製品、9 種の強調表示);プレバイオティクス、プロバイオティクス、またはシンバイオティクス (225 (37%) 製品、19種の強調表示);および加水分解タンパク質 (120 (20%) 製品、9 種の強調表示)だった。

161(26%)製品が、その強調表示を裏付ける科学文献を提供していた。161製品にあった24種類の異なるタイプの強調表示に対して266件のユニークな文献が引用されていた。最も頻繁に引用された文献タイプは、臨床試験 (50%、134/266) とレビュー (20%、52/266) だった。参照された臨床試験の 28% (38/134) が登録されたものであり、14% (19/134) は前向きに登録されたものだった。

58件の強調表示が 32件 の登録された臨床試験に言及しており、そのうち 51件の強調表示 (27 件の臨床試験) は無作為化された比較に関連していた。51件の強調表示のうち 46件 (90%) は、バイアスのリスクが高い登録された臨床試験の結果に言及しており、すべての引用された系統的レビューとプール分析は、バイアスのリスクが高かった。

「ほとんどの乳児用調製粉乳製品には、少なくとも 1 つの健康と栄養に関する強調表示があった。複数の成分が同様の健康または栄養効果を達成すると主張され、複数の強調表示が同じ成分タイプに対して行われ、ほとんどの製品は強調表示を裏付ける科学的参考文献を提供しておらず、言及された主張は確固たる臨床試験の証拠によって支持されていなかった」と研究チームは結論付けている。

出典は『BMJ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?