観光を考える|「訪れる理由」と「訪れてほしい理由」
「地方創生は観光産業化するのが今は一番良い。政府はその流れを今作っている。」
2017年に、日本青年会議所の担いで官邸に菅総理(当時、房長官)を訪れたときに話されていたことです。2020年のオリ・パラに向けてインバウンド観光客もどんどん伸びていて、青年会議所でも全国的に観光をテーマにした事業が企画されていました。
私自身も、この話を聞いていくつか観光に関する書籍を読みましたが、間違いなくその通りで、茅ヶ崎もDMO(Destination Management/Marketing Organization)を立ち上げるべきだ、というような話をいろんな方と話していました。このDMOは、簡単に言えば観光を柱にして地域全体の動きをデザインしていく組織です。強力なネットワークと、おそらくしっかりとしたリーダーシップがないと機能しませんが、だからこそ地方創生の枠組みの中で地域が一枚岩で横串を指していくようなことはローカルにしかできないと思っています。
この茅ヶ崎では、その後正式にDMOが立ちあがりました。コロナ禍でまだまだこれからですが、今は立ち止まる機会と考えて改めて地域の観光政策を考えてみたいと思います。
1.茅ヶ崎に訪れる人の理由とは?
茅ヶ崎の観光客が多いのはイメージ通りではありますが夏です。サザンビーチ海水浴場が開き、さらに湘南祭をはじめとするお祭りや花火大会などを目的に来られる方々も集中します。
ただ、そういうイベントなどが開催できないコロナ禍では苦戦を強いられてしまいます。
2.茅ヶ崎側が考える訪れてほしい理由とは?
逆に、茅ヶ崎になぜ観光客に多く来てもらいたいかと言えば、静かな住環境が脅かされるという理由で消極的な意見も多いですが、飲食を中心に茅ヶ崎でお金を落としてもらいたいから、というのが分かりやすい理由です。さらに、そうはいっても茅ヶ崎市の歳入の圧倒的多数を占める住民税を増やすことが目的ならば、茅ヶ崎に住み暮らす人をいかに増やせるかが観光政策の目的になります。
さて、この記事はすごく示唆に富んでいました。
要は、都市(まち)にリピートしてもらうことを目的として観光政策を推進しても、それだけでは足りずに、その地に訪れる理由となる最終目的地を自然観光としてゴールに据えれば、そのゴールに至るプロセスで茅ヶ崎に立ち止まってお金を落とす人が増えるでしょう、という話です。
このように、星野リゾートの社長が語られていることを前提に考えてみると、茅ヶ崎を経由してたどり着きたくなる自然観光地をしっかりとブランディングしたり環境整備する必要があるなぁと思います。
※レプラコーンさんの「茅ヶ崎サーフサンド」が新たなお土産として注目されています。「湘南タゲリ米の玄米を自家製粉しプレスサンドクッキーにし生チョコ、カラメルを詰め込みました。」4個入りで1,200円と、高価ですがおいしいです。
たとえば、海ですね。ハワイのホノルルと姉妹都市であるという告知は約5年強に渡って力強く行われてきましたが、そのイメージを強く持って初めて茅ヶ崎を訪れた場合には、ショックを与えてしまうかもしれません。
サザンビーチに行くと異国情緒が溢れる魅力的な時間になる、という絵を描くと、砂浜の色は本当は白く会ってほしいかもしれませんし、防砂林の松林のデザインは今のままでは足りないかもしれません。何より、例えば綺麗なトイレがあるかとか、ゴミが落ちていないかとか、オシャレなお店が立ち並んでいるとか、宿泊施設が充実しているかなど。
いずれにしても、茅ヶ崎の海岸に魅力があれば、そこに行くために茅ヶ崎駅を降り立つ人は増えるでしょうし、もしかしたら夏以外のオフシーズンにも継続的に旅行客が訪れるかもしれません。
3.改めて茅ヶ崎のシティプロモーションを考えるなら・・・
美味しいお店などをピックアップするのはとても大切ですが、取り寄せが各地できる今となれば、やはり体験価値として海や山といった自然環境を生かすしかないのだと思います。
その上で、導線に乗るエリアをどう盛り上げるか、こういった全体像をデザインしながら事業を構築するというのは、非常に面白いですね。オリンピックの開催がまだまだ危ぶまれている中で、持続可能な茅ヶ崎のモデルをしっかり詰めて共有していく必要がありそうです。
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