議案には2つの目的がある、という話し。
青年会議所といえば、議案です。あらゆる動きは事業計画である議案を作成して、理事会にて審議を獲得し、はじめて実行できます。
私も委員長時代や出向、あとは専務の報告も含めると100以上作ってきました。今日は私なりの議案の作り方について述べたいと思います。
事業計画としての目的
事業にはそれを実施する必要性があるはずです。
JCでは兎角誤解されてしまいがちなのですが、「例会」という名前がある故に「やらなければならないこと」と思われがちです。確かに、青年会議所という組織上のスケジュールとして毎月1〜2回の例会を実施する必要があるのは正しいのですが、だからと言って「その事業をしなければならない」ということにはなりません。
青年会議所のスケジュール上、1月例会、2月例会・・・とあることは、それは一つのきっかけであって、そのきっかけを使って、地域や組織、それを支える会員のための事業を構築するのです。
さて、改めて「なぜ事業計画である議案を作るのか」ですが、茅ヶ崎青年会議所では下記の構成で事業計画を作ります。
1.実施に至る背景
2.目的
3.SDGsのゴールとターゲット番号
4.KPI
5.広報戦略
6.対象者及び参加員数
7.実施日と実施までのスケジュール
8.実施場所
9.事業内容 (目的達成のための手法)
10.事業内容から得られる効果
11.連携するパートナー種別(SDGsゴール17)
12.前回の上程より、ブラッシュアップした点
13.前年度からの引継事項(継続事業のみ記入)
これは、日本青年会議所のフォーマットに則った形なのですが、そもそもなぜこのフォーマットで書くのでしょうか?自分で書きやすいように独自の書き方ではいけないのでしょうか?
これは、このようなフォーマットを用意しておくことで、計画を立案する上で思考の抜け漏れがなくなるようにするためです。同時に、その事業計画を読む側の人が数ある計画を短時間で読み込んでいくために、思考フレームを合わせておくためです。
よく、ビジネスマンは結論から述べて、その後その根拠を述べるのが正しいということが言われます。それはその通りなのですが、それは相手にもよりますし、シチュエーションにもよってきます。
このように、決められた日に特定の必要性に基づいて事業を行うために、フォーマットを整えて事業計画を作成する。これが青年会議所の「議案」です。
先ほど書きました1から13に至る各項目を埋めるように書いていくわけですが、この時にその全てに100%のエネルギーを注ぐことは土台難しいですし、それを期待されているわけではありません。誤解を恐れずに敢えていうならば、
1.実施に至る背景
2.目的
6.対象者及び参加員数
7.実施日と実施までのスケジュール
8.実施場所
9.事業内容 (目的達成のための手法)
10.事業内容から得られる効果
これらが計画の骨子として重要です。添付書類も充実していればそれはその方が良いですが、そもそも論として「1.実施に至る背景」「2.目的」「6.対象者」がズレている事業計画は、その後にどれだけたくさんいろんなことを書いていても、出発点からミスってるので読んでも仕方ないことになります。そして、その3つを固めた上で、手法として6の人数と7〜10を詰めていくことになります。
議案としての目的(これを分かってない人が多い)
他方で、上記は「事業の必要性」を論じるものでありますが、その事業を実施して良いだろうと理事会が判断するための「事業計画としての相当性」は、少し別の観点から考えなければなりません。
どういうことかを説明します。
例えば、とある地域では貧困家庭が多く存在するため、子ども食堂を企画して、子供の孤立化を防ごうという事業計画が立てられたとします。
この時、事業計画を立案する立場の委員長をはじめとする委員会メンバーは、「どのような企画にすると子供の孤立化を防ぐことができるか」という議論をして、そのための手法を考えていきます。とはいえ、メンバーの中には専門的な知見を持つ人がいないことが多いため、その専門性を持っている人に話を聞きに行ったり、文献を調べたりして、もっともらしいプロジェクトを考えていきます。そして、「この内容なら孤立化を防ぐことができる!」と意気揚々に理事会で議案を上程するでしょう。
この時に、思ったよりも理事会での反応が良くないということがよくあります。
(1)メンバーの参加が見込まれるのか?
例えば、孤立化を防ぎつつ、さらに深掘りをして子供たちの習慣にアプローチするため、子ども食堂を早朝開いて、朝型生活を行き渡らせようという事業計画だとします。
朝型生活は絶対にいいと私は思いますし、普通に子ども食堂をするよりも良い効果を埋める可能性も高いです。実際、例えば親が忙しくて子供をかまえない時に、特にその忙しさが顕著に現れる朝にアプローチをするのは革新的かもしれません。
ただ、その事業計画を実施しようとする私たち青年会議所のメンバーの多くが夜遅くまで仕事をしていたとすると・・・どんなに良い事業でも参加率が下がってしまう可能性があります。
この時に、「いや、この事業こそ必要だから全員早朝に集合します!」と号令をしても、蓋を開けてみたらなかなか出席率が少ない可能性があります。これだと、組織の例会として実施している事業として相応しくないという評価になってしまうかもしれません。
(2)対象者の参加が見込まれるのか?
例えば、子ども食堂をランチの時間にやりましょう!という計画だったとします。メンバーもその時間なら何とか時間をやりくりして参加できそうです。
ただもし、その食堂の開催場所や開催時期によって、肝心となる対象者が集まらなければ・・・どれだけ良いコンテンツでも意味がないわけです。
当然ですが、対象となるのが子供であれば、その活動圏にて実施すべきですし、夕方まで授業が行われる時期にやっても子供は来たくても来れません。
◇
理事長としての視点
私自身がこの役職をお預かりしている上で、事業計画を見るときに特に気にするのは下記の点です。
✔️ その事業はメンバーのためになるのか?
✔️ その事業は対象者が集まるのか?
✔️ その事業は実現できるのか?
なるほど、すごく良い内容だなぁと思っても、メンバーの参加率が少ないならダメですし、対象者となる人を計画通り集められないならやっぱりダメなんですよね。さらに、その計画がスケールデカくてやってみたいなぁと思いつつも、本当にそれってできるの?という疑念があると通せないんですよね。
ですから、その事業計画が素晴らしいかどうかという点と、その事業計画を理事会で通せるかどうかという点とは、実は微妙にポイントというか力点がずれていまして、その点をしっかりと先回りして作ることが、真に良い議案なのです。
逆にいえば、理事会で気にされるであろう点をしっかり潰せるように議案を整えていけば、内容事態は委員会が一生懸命検討したことを通してあげたくなるようなものです。
甘いかもしれないけど、結構そういうものなんですよ。というお話でした。
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