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介護保険の在宅サービス③

短期入所(ショートステイ)

要介護度に応じた単位数内で調整するサービス
介護保険で利用する「通所系サービス」の3つ目は短期入所です。

通所系サービス
通所介護
通所リハビリテーション
短期入所

短期入所(ショートステイ)を利用できる施設
短期入所サービスは、ご家族の介護負担の軽減や冠婚葬祭への出席時などに、要介護者が数日間介護施設へ入所するサービスです。ショートステイを利用できる施設には、介護保険を利用した施設と、自費対応の施設があります。

介護保険を使って利用できる施設
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・届け出をした病院や診療所
・介護付き有料老人ホーム
(短期利用特定施設入居者生活介護) など
介護保険以外
・有料老人ホーム
・サービス付き高齢者住宅
・お泊りデイサービス

介護保険を使ってショートステイを利用できる施設
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設や介護医療院は、「介護保険3施設」といいます。施設利用に伴う部屋代や食事代はご本人負担が原則ですが、公的な施設なので低所得(非課税世帯)で一定額以上の預貯金がない方は、申請により部屋代や食事代の負担軽減の対象になります。
負担限度額認定証:京都市


・特別養護老人ホーム
(サービス名:短期入所生活介護)

短期入所用のベッドが定員に対して1~2割(10~20床)あり、ご家族の介護負担の軽減目的などで定期利用する場合に利用します。はじめに1泊2日ほどのお試し利用を勧められることがあります。施設によりますが、ケアマネの情報提供とお薬、お薬情報などが準備できれば対応してもらえるので、緊急時には特養のショートステイで調整します。短期入所生活介護を連続して利用できるのは30日間です。ご家族の病気が長期に渡る場合や何等かの事情で30日を超えて利用することを「ロングショート」と呼びます。31日目を介護保険を利用せず自費負担にしたり、30日以内に1泊2日でも自宅にいったん戻り、再度利用することで長期利用することもあります。担当したケースでは、利用者さん宅のクーラーが故障したときにロングショートで対応してもらいました。記録的猛暑の年で、修理も一か月以上待ち。独り暮らしで生活保護受給者でしたが、担当ケースワーカーに相談しても保護開始時以外でのクーラーの購入費用(家具什器費)はでないとの返答、金銭管理をしていたご家族は来年には施設入所させたいと思っておられたこともありクーラーは購入はしないと決めたため、施設の判定会議で必要性を認められ、ロングショートを利用することができました。

・介護老人保健施設
(サービス名:短期入所療養介護)

介護老人保健施設は医療機関からの在宅復帰を目指す中間施設と呼ばれ、施設管理者は原則医師です。そのため、利用目的が短期入所であっても健康情報提供書の提出を求められます。介護老人保健施設に併設されている通所リハビリテーションの利用者であれば、ご本人の介護の必要度や健康情報が分かっているので緊急時にも利用できるかもしれません。経営上の理由で老健は短期入所用に確保しているベッドは少ないため、定期利用できる人数も少ないと思われます。老人保健施設はリハビリ施設であり医学的管理下でサービス提供を行うため、リハビリを行う、糖尿病など食生活の改善を目的とした利用、圧迫骨折や上肢の骨折など安静加療のみで医療機関に入院できなかった場合などにも利用を検討します。たまに「ロングショートを利用したい。」とケアマネから依頼がありましたが、老人保健施設にはロングショートはありません。ケアマネの立場になると、利用者さんが一か月間施設入所すると「居宅介護支援費」というケアマネの収入が算定できなくなります。そのような事情もあり、ロングショートを検討するケアマネもいるようですが、老人保健施設は必要性があれば一か月の利用でも「入所」できます。2週間以上の利用では一か月に利用できる単位数の上限を超えてしまうので、長期の利用が見込まれる場合は「入所」扱いとなります。
介護療養型医療施設や介護医療院は、機能的には概ね介護老人保健施設と同じです。特別養護老人ホームや介護老人保健施設では受け入れ困難な点滴や喀痰吸引など医学的管理の必要度の高い方が利用される施設です。

・介護付き有料老人ホーム
(サービス名:短期利用 特定施設入居者生活介護)

主に民間企業が運営しており、費用負担は介護保険3施設と比べると高額です。入所前のお試し利用目的でのショートステイの他、施設によっては定期利用も可能な施設があります。
 
介護保険外の施設
実費負担で利用できる有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅のショートステイもあります。主に入所を前提とした体験入所目的です。

「お泊りデイサービス」は、
介護保険を使った通所介護(デイサービス)+実費負担の宿泊サービス
通いなれた場所にそのまま泊まれるため馴染みのスタッフがいるメリットはありますが、認可外施設であるため施設のような設備はなく、一般の住宅に泊まる感覚のようです。一度問い合わせたことはありますが、介護度の重い方は利用することは難しいかもしれません。

どの施設でショートステイを利用するかは受け入れ側の都合もあり、判断が難しいところです。ご家族が直接施設に相談することもできますが、介護保険を利用する他のサービスとの調整や給付管理の必要性もあるため、ケアマネージャーと相談することをお勧めします。昨今はコロナ感染症の影響で、ショートステイの受け入れに消極的な施設もあると聞きます。介護負担の軽減は、在宅介護にとって重要な役割を担っています。感染対策による施設職員の負担も懸念されるため、早期の終息を願うばかりです。

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