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介護保険の在宅サービス④

福祉用具貸与

要介護度に応じた単位数内で調整するサービス
介護保険では、車いすや歩行器、手すりなど貸与可能な福祉用具が13品目あります。

福祉用具貸与:健康長寿ネット

福祉用具を借りるには、ご本人の身体機能をアセスメントし、ケアプランへの位置づけが必要です。車いすを例にすると、ご自身で操作する自走式、介助者が押す介助用があります。タイヤの種類もノーパンクタイヤがあったり、車いすの背もたれ部分が円背に適した形状のものや、背の高い介護者の負担軽減でグリップ(手押しハンドル)部分が高めに設定されているものなど様々です。基本的には福祉用具事業者さんと相談しますが、リハビリ担当者がいる場合には助言を受けながらその方に適した福祉用具を選定します。例えば、ノーパンクタイヤは乗車時の振動が大きいため、腰椎圧迫骨折等で車いすが必要な時はノーマルタイヤを勧めるなど、です。
シルバーカーと歩行器にも違いがあります。シルバーカーは歩行が自立している方が対象です。買い物や散歩の時の利用を想定し、荷物入れや腰かけがついていますが軽量です。歩行が不安定な方が利用すると、シルバーカーにもたれてしまい転倒のリスクがあります。
歩行器は歩行時に支えが必要な方に適しています。シルバーカーとの違いはハンドル部分がU字やコの字で、体重を支える構造をしています。その中でも小刻み歩行で突進歩行が見られるパーキンソン病の方は「抑速ブレーキ付き」の歩行器を選定し利用して頂きました。
利用者の家族の中には同業のケアマネや看護師さんもおられたのですが、ご両親がシルバーカーを使うことに反対する割合は高かったです。自立歩行で長距離の移動に不安があり、買い物に行けても持って帰ることが負担なのでご本人は希望されるのですが、「一人で歩けている。」「シルバーカーを使うと背中が丸くなる。」と言って反対されることがありました。リハビリの先生からも「この方は自立だから必要ない。」と言われたこともあります。どれもご本人のことを思っての発言なので、よく話をして理解を得るようにしていました。

福祉用具事業者は、ケアマネの作成したケアプランに基づき福祉用具貸与計画書を作成します。定期的に訪問し、福祉用具の使用状況と、ご本人の身体機能に変化がないかを確認します。タイヤの空気が減ったり、介護ベッド(特殊寝台)の位置を動かしたい等でも福祉用具事業者に電話すれば対応してもらえますし、使わなくなったり、別の機能が必要になった時などもアセスメント後に交換できます。福祉用具はたくさんの種類がありますので、福祉用具事業者さんの知識は重要です。福祉用具事業者には福祉用具専門相談員の配置が義務付けられています。福祉用具事業者に限らず介護保険では、サービス事業所を選定するときに複数事業者を利用者、家族に紹介し、その中から選んでもらうよう指導されていますし、事業所ごとに取り扱うメーカーも異なるため、身体機能にあった福祉用具を選定することはとても大切です。

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