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介護保険の在宅サービス②

要介護度に応じた単位数内で調整するサービス
介護保険で利用する「通所系サービス」は3つに分かれます。

通所介護
通所リハビリテーション
短期入所

通所介護と通所リハビリテーション
どちらも通称名で「デイ」と呼ばれます。共通するサービスには送迎や食事、入浴やレクリエーション、他者交流や家族の負担軽減、日中活動量の増加や定期利用による生活リズムの維持等があげられますが、通所介護(デイサービス)と通所リハビリテーション(デイケア)には違いがあります。
もともとデイサービスはレクリエーション的要素が強く、デイケアは専門職によるリハビリを受けることが主な目的でした。最近は「リハビリ特化型デイサービス」という訪問介護事業所もできていることから、両者の違いが分かりにくくなっています。主な違いは職員の人員配置基準で、デイケアのリハビリ専門職は施設医師の指示によりリハビリを行います。

通所介護(デイサービス)
人員基準
介護職員、看護師、※機能訓練指導員、生活相談員
※機能訓練指導員とは?
看護師または准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、鍼灸師など
通所リハビリテーション(デイケア)
人員基準
介護職員、看護師、※リハビリ専門職、医師
※リハビリ専門職とは?
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など

通所介護
通所介護は介護保険法に定められている設備基準や人員配置基準を満たし、都道府県(市町村)から事業指定を受けると運営できます。運営主体は民間事業者が多いですが、特別養護老人ホーム等を運営している社会福祉法人やNPO,中には診療所併設の通所介護事業所もあります。
通所介護を利用すると利用者毎に「通所介護計画書」が作成されますが、医師の診察や指示に基づいたものではありません。リハビリは機能訓練と呼ばれ、加齢に伴う身体機能の低下の予防と維持目的を主としています。

通所リハビリテーション
利用するにはかかりつけ医等の医師の許可や指示が必要です。リハビリは基本的に医療保険と介護保険の併用受給ができません(例外はあります)。医療保険でのリハビリは疾患に応じてリハビリを受けられる期間が決まっています。医療保険でのリハビリが終了した「維持期」のリハビリを担当するのが通所リハビリテーションです。
通所リハビリテーションを開設できるのは、病院や診療所、老人保健施設です。利用には、かかりつけ医等に作成してもらう「診療情報提供書」の提出を求められることが多いです。通所リハビリテーションの施設医師が「診療情報提供書」の内容を確認し、リハビリや医学的処置の必要性、入浴時の注意点などを確認、それぞれの専門職に情報を共有します。

かかりつけ医や主治医に通所リハビリテーションの利用について許可を得る

診療情報提供書を通所リハビリテーション事業所に提出

通所リハビリテーションの医師が診療情報提供書をもとに利用者を診察

利用の可否判断

利用時の注意点を事業所内で共有し、通所リハビリテーション計画書を作成

通所リハビリテーション事業所に併設された医療機関であれば情報が共有できるので「診療情報提供書」を求められない場合もあるかもしれません。「診療情報提供書」は文書作成料や、必要な検査項目によっては検査料なども請求され、高額になる場合があります。そのため利用者負担を考慮して、直近の主治医意見書などで代用してくれる事業所もありました。また、サービスを継続している時に体調不良など軽い症状で医療機関へ入院しても、退院時には改めて「健康情報提書」の提出を求められます。この場合も文書料のかからない看護師さんに作成してもらう「看護サマリー」で対応してもらえる場合は多いのですが、通所リハビリテーションは医療機関に準ずる施設なので医学的管理が厳格です。通所リハビリテーションだけでなく、訪問リハビリの事業所を利用していても、設置基準が通所リハビリテーションと同じなので医療情報を求められます。リハビリ専門職はそれぞれの法律で医師の指示によりリハビリを行うことが決められているためなのですが、利用者さんは退院後、1日でも早くデイケアや訪問リハビリを再開し入浴やリハビリをして欲しいと希望されても、最新の医療情報を基にした「指示書」がなければリハビリは行えないと言われ、板挟みになることもしばしばありました。
国の方針では、介護保険の財源不足もあり、通所リハビリテーションも期間と目標を設定し「卒業」させることを促しています。通所リハビリテーションはあくまでも「リハビリ」施設なので、身体機能が向上した後は社会参加やデイサービスへ移行するよう勧められています。これほど制限が厳しくない頃に通所リハビリテーションの相談員をしていましたが、脳梗塞の発症から3~5年かけて緩やかに身体機能が向上していく利用者さんはおられましたし、その姿を見て自分もがんばろうと思われる利用者さんとも接してきたので昨今の流れは残念です。

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