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高齢者の権利擁護サービス

金銭管理や契約行為のサポート

介護保険を利用する方の中には、金銭管理や契約行為に支援が必要な場合があります。在宅生活や施設入所、入院治療が必要になっても判断能力が十分でない方の権利を守り、安心して過ごせるよう支援することを「権利擁護」といいます。高齢者の権利擁護についての相談は、地域包括支援センターの他、市区町村や各相談機関などで行っています。

日常生活自立支援事業と成年後見制度

成年後見制度と日常生活自立支援事業の違い 

日常生活自立支援事業
家賃や水道光熱費の支払い等、主に日常的な金銭管理をサポートする事業で実施主体は都道府県や指定都市の社会福祉協議会です。
認知症や知的障害、精神障害等により判断能力が不十分な方を対象にしているため、高齢者であれば要介護認定を受けておられるか、認定の必要度が高い方がほとんどとなります。利用希望が多く、契約するまでに時間がかかる自治体も多いと思います。ご本人の意思を尊重するため、認知症でも「金銭管理を依頼したい。」との意思表示を得られないと契約できません。ケアマネとして働いていた地域では、相談から面談に至るまで約半年。日常生活自立支援事業の担当者がご本人と面談するのですが、面接は期間を置いて2回必要で、2回とも本人の同意を得られなければ利用できませんでした。申し込みは無料で、サービス利用料は生活保護受給者や低所得者は軽減措置があります。訪問回数は選べるようですが、ご本人に毎月の収支を報告してくれます。

成年後見制度

成年後見制度利用促進のご案内

財産管理や福祉サービスの契約を本人に代わって行う成年後見制度は、判断能力が不十分な方を支援し、本人の権利を守る制度です。本人や4親等内の親族等が家庭裁判所に申し立てますが、親族などの申し立て人がいない場合は本人の保護を守るために特に必要と認められれば市長申し立てが行われます。
財産管理を行ってくれる身内がいない等の他にも、高齢者が頻繁な訪問販売や悪質商法の被害を受けている、親族からの金銭搾取や本人の同意を得ない株や不動産等の売却、必要な介護サービスを受けさせないなど高齢者の生活が脅かされている時は成年後見制度の利用を検討します。ご本人の判断能力の程度によって、「後見」「保佐」「補助」と類型が分かれています。

「後見」判断能力が欠けているのが
    通常の状態の方
「保佐」判断能力が著しく不十分な方
「補助」判断能力が不十分な方

                  家庭裁判所HP 家事事件Q&Aより


後見等の申し立て書類の中には医師が記入する「診断書」が含まれます。この診断書はかかりつけ医等が作成してくれるなら精神科の医師である必要はありませんが、「診断書」の診断名は判断能力に影響するものとあります。認知症のスクリーニング検査である長谷川式認知症スケールやMMSEなどの検査結果、脳の萎縮や損傷の有無を記入する箇所もあります。作成された「診断書」を見る機会があるのですが、その診断名では判断能力に影響しているのか伝わりにくいものがあります。検査も行われていないなど、他の書類も勘案した結果、裁判所が類型を判断するには不十分となると「鑑定」が必要になります。鑑定には5~10万円ほど別に費用がかかります。鑑定ではなく、家庭裁判所の調査官がご本人と面接を行うこともあります。

親族以外が後見業務を行う場合、弁護士や司法書士、社会福祉士の他に市民後見人が選任されます。財産がある方や高齢者虐待の事案では、弁護士が選任されることが多いです。

任意後見制度
認知症になる前に、将来に備えて自分で自分の後見人を選んでおく制度です。

特定援助対象者法律相談援助
成年後見制度等の法律相談を資力を問わず利用できる制度です。本人を支援している福祉機関等から、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所である「法テラス」に連絡すると、弁護士や司法書士が本人の自宅や施設等に出向いて法律相談を行ってくれます。

法テラス

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