見出し画像

介護保険の在宅サービス⑥

住宅改修

介護認定を受けていれば利用できるサービス
介護保険でサービスを利用するには、要介護度に応じて介護保険から給付される一か月の上限単位が決められています。介護保険のサービスの中には、上限のある単位数とは別枠で利用できるものもあります。

住宅改修
福祉用具購入
市区町村等の独自サービス

住宅改修
住宅改修

自宅の玄関やトイレ、浴室、階段などに手すりをつけたり、段差をなくす改修費用が介護保険の給付対象となります。改修費用の上限は20万円。
支払い方法は、市区町村により異なります。

「償還払い」
利用者が改修にかかった費用をいったん全額支払い、介護保険の負担割合  
に応じた工事費用以外が後日市区町村から返還される
「受領委任払い」
もともと自身の負担割合のみの費用を支払う

※利用者負担割合
介護保険のサービスは所得に応じて1割から3割負担があります。

縦手すりを1本取りつけるのは約1~1.2万円ほどなので、負担割合が1割の方は、約1千円で手すりが設置できます。

住宅改修は、上限の20万円に達するまで複数回に分けて申請できます。注意点としては、保険者である市区町村の登録事業者に住宅改修を依頼しなければならないことです。最近は介護保険の住宅改修が周知されているので事業者側も適切に対応してもらえるのですが、以前は利用者やご家族が昔馴染みの工務店に頼んでしまい、給付がうけられないこともあったようです。住宅改修を行うには事前に市区町村へ申請書を提出する必要があります。改修前、改修後の写真撮影が必要な市区町村もあります。

住宅改修の申請書は「住宅改修理由書」といいます。担当のケアマネージャーがいる場合はケアマネージャーが記入しますが、介護認定を受けていても介護保険のサービスを利用していない場合は地域包括センター職員や在宅指導している作業療法士、理学療法士、福祉住環境コーディネーター2級以上の者、その他保険者である市区町村長が認めた者が作成できます。保険者によって書式に違いがあるようですが、お役所に提出する書類なのでお作法がいろいろあります。「被保険者は○○○○。」「生活動線は玄関、廊下、台所、居室...。」「×××することで、被保険者の生活を〇〇〇したい。」など。また、これに合わせて居宅サービス計画書(ケアプラン)の変更も必要となり、利用者の状況をアセスメントするアセスメントシートなども再作成が必要となります。この理由書、担当ケアマネは作成料が発生しないのですが、それ以外の者が作成すると手数料として約2千円支払われるそうです...。最近では、泉佐野市の非常勤職員が介護保険の給付金を詐取していたことがニュースになりましたね。住宅改修と福祉用具の購入を申請書なしでシステム入力し、償還払いで給付金を受け取っていたとのこと。

住宅改修は、安全安楽に生活するためにとても大切です。腰痛でシャワーチェアの購入を希望されたAさんは、80代後半の女性で一人暮らし。精神的自立度が高く、福祉用具のカタログがみたいとおっしゃいました。シャワーチェアの購入は住宅改修と同じく介護保険の給付対象となりますので自宅を訪問し、生活動線で他に困っていることはないかと確認しました。Aさんは「前に腰痛が悪化したときに(洋式)トイレの便座から立ち上がるのがつらかったので手すりをつけてもらったけど、全然役に立たない。」と話されました。聞けば知り合いの業者に依頼したそうで、座位時の真横に横手すりが1本取り付けてありました。福祉用具事業者さんは、立ち上がる時は重心を前方にかけるので、手すりは座位時の前方につけないと負担軽減にならないと伝えてくれました。Aさんに住宅改修も介護保険の給付対象とお伝えすると、「知らなかった。福祉用具のパンフレットもいろいろな商品が載っていてとても勉強になった。」と喜ばれていました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?