演劇について考える

「演劇」とは社会、歴史という時間の中で、ゲリラ的に別概念の時間演出を行う行為であると思う。

生まれてから死ぬまでの一定の時間の中で、突如として始まり終わる別の時間、別の生と死を演出することが演劇ではないだろうか。

演劇が時間の中で突如始まるという要素は、人生にも同じことが言える。

我々は突如生まれて、ゆるやかに、だが突如死ぬ。
その死が意味するのはせいぜい「生の終わり」程度だろう。

演劇も突如始まり、突如終わる。
終わりが見える時もあれば見えない時もある。
そして演劇が終わることは「演劇が終わる」ことしか意味を持たない。

演劇は終わることに価値がある。
終わることで、実際に死ぬことなく模擬的に人生、生と死の時間を演出できる。

終わるからこそ美しいとも思える。

どんな喜劇も悲劇も、いつまで経っても終わらなければ退屈と感じるだろう。

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