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防災(1) 地震・津波による災害

写真は東日本大震災の津波によって何もない地となった宮城県仙台市荒浜小学校付近、もともとは街があった。

地震による災害

① 強い地震動

大きな揺れにより建築物や土木構造物に大きな被害をもたらす。
現代の耐震改修により家の倒壊は免れたとしても、震度6強などの地震では固定していない家具の大半は転倒、落下する。
阪神淡路大震災では、隣室から飛んできた家具によって死亡したケースもある。

② 広域火災の発生

コンロや暖房などの使用中に揺れが起き、家が潰れ同時多発的に火災が発生するケースがある。
阪神淡路大震災では、地下の貯水槽が耐震化されていなかったことや、水道管が破損していたために消防車が放水できず火災が拡大した事例がある。
また、地震でいったん停電し、再び電力が復旧した際に地震時に使っていた電化製品に通電し出火する「通電火災」が起こるケースもあり、このため地震発生から何日か経ったとしても火災が発生することがある。

③ 地すべり・がけ崩れ

山地が強い揺れに見舞われると、広い範囲で地すべりやがけ崩れが発生。
これに大雨や台風などと重なる複合災害が起きた場合、地盤が緩み被害が拡大する。

④ 山体崩壊・岩屑なだれの発生

地震の衝撃により山体が大規模な崩壊を起こすことがある。
長野県西部地震では御嶽山が大崩壊し岩屑なだれが発生、このときの崩壊土砂量は3,600万㎡と推定される。
岩屑なだれは空気を媒体として土砂が流下するため、水を媒体とする土石流よりも速度が速く、運動エネルギーが増し破壊力が強い。

⑤ 地盤の液状化

液状化とは、地盤が液体のようになってしまう現象である。
「砂・水」という条件が揃った地盤で起こりやすい。(埋め立て地など)
液状化により地面に段差がついたり、亀裂が走ったりすることから避難や緊急車両の通行の妨げとなる。
また支持杭を基盤まで打っていない建物は傾くこともある。
阪神淡路大震災時、ポートアイランドにて発生した液状化で大量の水が噴き出し、洪水と見まがうような景観を呈した。

⑥ 長周期振動による被害

大地震の際に起こる周期数秒から十数秒のゆったりとした揺れが大きな被害を出すことがある。
名古屋大学の実験によると、M8クラスの南海トラフ地震が発生した場合、名古屋市の中心部で30階建てのビルが長周期振動と共振を起こし、最上階は最大で揺れ幅4mになるという実験結果がある。
このような揺れで建物が倒壊する危険性はもちろん、室内ではモノが激しく移動、飛びまわる。これにより火災が起きる危険もあり、その際は高層ということもあり逃げ場を失う可能性もある。
長周期振動による揺れの階級は気象庁がホームページ上に公開している。

津波による災害

① 揺れが弱い地震でも大津波は来る

断層破壊が急激に起これば強い地震動が起こる、しかし場合によっては断層破壊がゆっくりと進行することもあり、その時は強い揺れを感じない。だが、破壊した断層面の面積とずれ動き量は急激な断層破壊が起こる時と変わらないため、同じように津波も発生する。
「揺れが小さいから津波は来ない」と勝手に判断せずに、津波警報・注意報に従い避難行動を行わなければならない。

② 津波は何度でも来る

津波は時間間隔をおいて、複数回襲来することがある。
その感覚は1時間を超えることもあるうえ、第一波よりもそれ以降の波のほうが高いケースが多い。一旦避難したら、避難解除の情報が出るまで家に戻ってはいけない。

③ 津波は湾奥で高くなる

津波は水深の浅い沖合で高くなる。
それに加え奥に行くほど狭くなる湾の場合は波の高さが湾口よりも数倍にのぼる。
東日本大震災では、リアス海岸である南三陸町に高さが19.6mの津波が襲来した。

④ 津波は川や運河を遡上する

海岸へ押し寄せた波は川を遡上し、時には内陸深くまで侵入する。
東日本大震災では津波が北上川を40km以上遡上し、多くの被害をだした。
津波の被害は海沿いだけでなく川沿いにも多くの被害を出すため、津波情報が出た際は川の近くからも避難しなければならない。

参考:日本防災士機構 - 防災士教本

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