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【音声学・音韻論編 #1】聞き間違った言葉の正しいものを推測する問題に挑戦してみます。

今回から、言語学を学び始めた私が、言語学の問題に自分なりの回答をここに書いて、自分の考えをこの note に残していこうと思います。最初は、音声学や音韻論の問題に挑戦していきます。

【問題】
聴力を失った人がある日本語の単語を「ゴノパ」と聞き間違ったと仮定する。この後は何という語であったか。
(「日英語対照による英語学概論」より)

この問題を解くために、私は次のような手法を考えてみました。

  • 聞き間違った「ゴノパ」という単語がどういう音素からなっているか考える。

  • 各音素(特に子音)の調音を考える。

  • 正しい言葉を推測する。


 「ゴノパ」は、音素に書き換えると /gonopa/ になると思います。この単語は聞き間違いということですから、この CVCVCV(子音・母音・子音・母音・子音・母音)という構造はもちろん変わらないでしょう。それでは、母音と子音はどうなのでしょうか。母音は、3つの尺度から発せられます。「開口度」「下の高くなる部分」「唇の丸さ」です。
 ところで、今回の聴者の聴力はないことは確認しましたが、視力はどうなのでしょう。視力も失われているとは述べられていません。したがって、目で見える部分から、聴者は、音を推測しているということが考えられます。
 このことを踏まえると、母音を眼に見える要素で、つまり「開口度」と「唇の丸さ」で母音を推測したことになります。この2つの要素があれば、日本語の [a, i, u, e, o] は十分判別可能ですね。そのため、 /gonopa/ の母音の聞き取りは信頼しても良いということになりそうです。
 それでは、子音はどうなのでしょうか?子音も3つの要素、「調音法」「調音点」「声の有無」からなります。このうち、先ほどと同じように眼に見える要素は何か考えると、「調音点」しかありません。そのため、子音の聞き取りの信頼性は低いと言えそうです。したがって、 /g, n, p/ の音素は別の音素の可能性が高いことになると思います。では次に、それぞれの音素について、どの音素の可能性が考えられるのか考えていきます。
 最初に、 /g/ を考えます。 /g/ の調音点は軟口蓋という調音器官で発せられ、ここで発せられる音は、 /g/ の無声音である /k/ です。ですので、最初の子音は /g/ か /k/ のどちらかということになりますね。次に、 /n/ を考えます。この子音の調音点は、歯茎とよばれる調音器官で、ここで発せられる子音は非常に多いです。 /t/ /d/ /s/ /z/ /n/ になります。ですので、この中のどれかが本来の音ということになりますね。最後に、 /p/ について考えます。この子音の調音点は、両唇になります。ここで発せられる子音は、 /p/ /b/ /m/ になります。これもこの中のどれかが正しいはずの音ということになりますね。
 さて、ここまで起こりうる子音について考えましたが、それを図にまとめてみると次のようになりそうです。

g o n o p a
k     t           b
            d           p
            s
            z

 こうしてみると、 /kotoba/ という並びを見つけることができるのではないでしょうか。そのため、元の語は「言葉」と言うことができそうですね。


さて、ここまで書いてみましたが、説明するのが難しいですね。これからも自分の回答を上げていきますので、ぜひみてみてください。


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