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流行体感から読み解くサービス未来予測 流行予想シリーズ ~家事代行サービス編~

私たちは「モノ」や「サービス」を選択する際、「みんなが使っているかどうか」を目安にすることがあります。「みんな」とは果たして誰でしょう?よく考えると極めて曖昧なイメージであり、感覚的なものであることがわかります。しかしその空気が私たちの行動を決める1つの要因になっているのも確かなことです。
本シリーズでは「みんなが使っている」という空気感を頼りに、今と近未来の流行の予想をしてみたいと思います。

9回目は、共働き世帯の増加や少子高齢化、ワーク・ライフ・バランスによる価値観の変化などにより注目を集める「家事代行サービス」を取り上げます。どのくらい普及しているのかという現状から、これから先の流行がどうなっていくのかを探っていきます。

1.「家事代行サービス」の現状と認知度

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家事代行サービスとは、専門のスタッフが部屋の片付けから掃除、洗濯、アイロンがけ、料理や買い物などまで、日常的な家事を有料で代行するサービスです。
料金は依頼内容によって異なりますが、1回あたり2~3時間の作業で4,000~9,000円程度(交通費などは別途)が相場のようです。
※専門知識や資格が必要なサービス(介護/介助サービス、ベビー/ペットシッターなど)はのぞきます。

「家事代行サービス」の現状について調査したところ、主な結果は以下でした。
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・「家事代行サービス」の認知率は全体で89%

・「知っているし、使っている」という現在利用率は全体で1%

・「知っているし、以前使っていたが、いまは使っていない」を含めた利用経験率は全体で3%
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「家事代行サービス」の認知率は男女ともに高い割合ですが、特に女性では9割以上の高い認知率です。年代別にみると、男女ともに10~20代と比べて、30~50代の認知率が高くなっています。利用経験率の割合は男女ともに2~3%台と低い割合です。

2.どのくらいの人が使ってそう?~現在の流行体感~

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次に「家事代行サービス」を利用している人が、現在身の回りにどれくらいいると思うかを想像して答えてもらいました。100人中どのくらいの人が利用していそうかをスコアとして算出した数値です。

その結果「家事代行サービス」の流行体感スコアは全体で「2.6」で、およそ100人に2~3人ぐらいが利用しているイメージです。その中でも30~50代女性のスコアがやや高く、「3.1」でした。一方、10~20代男性のスコアはやや低めの「1.9」にとどまりました。

3.1年後はどうなるか~近未来の流行予想~

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次に、「1年後、自分のまわりでどのくらいの人が使っていると思うか」を想像して答えてもらいました。グラフにある流行予想スコアは、100人中どのくらいの人が1年後に利用していそうかを算出した数値です。

「家事代行サービス」の流行予想スコアは全体で「10.8」で、およそ10人に1人が1年後に利用していそうというイメージ。現在の流行体感から比較すると、1年後には今の4倍程度浸透しているというイメージになります。男女年代別では、女性のスコアが男性よりもやや高い傾向がみられ、特に10~20代女性のスコアは他の層よりも高めで「13.0」となっています。

「家事代行サービス」を1年後に半数くらいの人が利用していそう/していなさそうと思う、それぞれの意見をご紹介します。

■流行予想として「半数くらいの人が利用していそう」と思う人の意見
・「結婚しても夫婦共働きが一般的になっていき、家事の時間が足りなくなると思う」(女性/21歳)

・「いろいろなテレビ番組で特集されていて、サービス内容を知る機会も増えているので、どんどん身近になっていくと思うから」(女性/36歳)

・「親のサポートや病院の付き添いなどで家事がおろそかになったら、利用する人が増えると思う」(女性/45歳)

・「現代社会は時間が足りない生活環境なので、コロナ禍が収束に向かえば需要は増えると思う」(男性/50歳)

■流行予想として「誰も利用しないであろう」と思う人の意見

・「家事代行=お手伝いのようなイメージが強く、手軽に幅広い年代が頼む印象がない」(女性/19歳)

・「コロナが収束するまでは、在宅で仕事している人も多くいるだろうから。家にいる時間が長くなれば、代行サービスを使う必要もないかなと思う」(女性/26歳)

・「他人に家庭の事情をのぞかれることに抵抗があるし、割り切れない」(男性/38歳)

・「今のところは家事に不自由を感じていないが、今後高齢になってくると必要になるかもしれない」(男性/59歳)

4.自分は使ってみたいか?~今後の利用意向~

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次に、今後の利用意向について回答してもらったところ、利用意向がある人の割合(「ぜひ使ってみたいと思う」「機会があれば使ってみたいと思う」の合計)は全体で29%でした。
年代別では、10~20代と30〜50代で割合に大きな差は男女ともにみられませんでした。また男女別では男性と比べて女性のほうが、利用意向がある人の割合が高くなっています。

一方、利用意向がない人の割合(「あまり使ってみたいと思わない」「まったく使ってみたいと思わない」の合計)は、全体で51%と過半数でした。

「家事代行サービス」の利用意向がある人/ない人、それぞれの意見をご紹介します。

■「利用意向あり」の人の意見

・「子育てと家事の両立に悩まされていて、ちょうど考えていたところだから」(女性/22歳)

・「家事代行を利用して、その時間を家族と過ごしたり、自分に使ったりしたい」(女性/32歳)

・「共働きで子どもが生まれ、なかなか家事に手がまわらない現状のため、やってくれるのは魅力的」(男性/33歳)

・「外食ができないので、目新しさを求めて料理代行など機会があれば使ってみたい」(女性/39歳)

・「ふだん素人の掃除では行き届かないところを、プロの手できれいにしてほしいので」(女性/58歳)

■「利用意向なし」の人の意見

・「自分でいろいろなことにチャレンジしてみたいから、他人に任せると自分で何もやらなくなってしまうと思う」(男性/18歳)

・「今の家庭の状況では料金が高いし、家事育児ができる時間帯で仕事を続けているので」(女性/39歳)

・「他人に片付けてもらうと、物がどこにあるか把握できない」(男性/41歳)

・「他人が家の中に入って掃除や洗濯、食事の用意などをすることに抵抗がある」(女性/56歳)

5.「家事代行サービス」は今より4倍程度伸びる!?

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ここまでの主な数値をまとめてみました。2021年7月8日時点、「家事代行サービス」の認知率は90%、現在利用率は1%でした。

流行体感としては、全体で“100人に2~3人くらいが使っている”イメージを持たれているようです。そして、今から1年後には、現在よりも利用する人が4倍程度増え、”10人に1人くらいが使っている”というイメージを持たれています。

男女年代別にみると、今後の利用意向では、男性と比べて女性のほうが高い割合であることがわかりました。また流行体感スコアは、30~50代女性が他の層よりも高めであるものの、1年後の流行予想スコアでは、今後の利用意向がもっとも高い10~20代女性が他の層を上回っています。

ドラマなどの影響もあってか認知度は高く、メディアでも注目の「家事代行サービス」。利用する人は家事の負担を軽くしたい、自分では行き届かない部分をプロにおまかせしたいといった動機があるようです。他人に家事をお願いすることに抵抗があるという声もありますが、利用意向が高めの若い女性を含め、今後利用が広がっていくか注目です。

【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~59歳男女
実施時期:2021年7月8日~2021年7月12日
有効回収数:2108サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数点以下第一位または第二位を四捨五入しているため、 合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります

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