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誰も教えてくれなかったおしゃれのルール(アーカイブ)クローゼットの見直しを

自分の持っている洋服をすべて正確に把握し、それをコントロールできている人は、そう多くはいないようです。ほとんどの人が見れば思い出すけれども、目に入るまではあることさえ忘れてしまっている服が何着か、あるいは何着もあるでしょう。


多くの人が持っている服の2割から3割程度しか、実際には着ていません。

1年のうち1度も日の目を見ない服も何枚かあるに違いありません。そうなると、その服がどんなに素敵なものであったとしても、それは死蔵品であり、役には立ちません。


そうなってしまうことの大きな原因の1つに、服の収納の仕方の問題があると思います。

ウォークイン・クロゼットのように、全体がすぐに見渡せる収納を持っている人は、今の日本の住宅事情では少数派でしょう。

ほとんどの場合、家に備え付けのクローゼットか、または後から購入したタンスや衣装ケースに収納することになると思います。


すべてを見渡せない収納の問題点は、まさに「すべてが見えない」ということです。

探さなくてはわからないようなものは、当然のことながら、あまり着なくなります。

そしてよく着る服がよく目に着く場所に収納され、着ない服は見えないところへ押し入れられるという悪循環に陥ります。

人はその存在が見えないと、あたかもそれがないかのごとく認識してしまう傾向があるようです。けれども、見えないからといって、そのものがなくなってしまったわけでは決してありません。
この悪循環を避けるためにも、クローゼットの見直しをお勧めします。

まずは自分が持っている服をすべて把握することから始めましょう。一度にすべてが難しかったら、春夏ものと秋冬ものに分けてやればよいでしょう。とにかくすべて出してみて、持っている服をアイテム別に何点所有しているのか確認します。具体的に書き出してみるといいでしょう。


その次に、それらを色別に分類します。ブルーならブルーとそのグラデーションに分けます。まずは色分けなので、アイテムは混ざっても構いません。重要なのは同じ色の仲間であるかどうかです。(色に詳しいひとは、彩度と明度に分けてみてもいいでしょう)白なら白、黒なら黒、そしてどのグループにも入らない色とに分けます。

このときに、多くの色を持っている人は、死蔵品も多いでしょう。色が多ければ多いほど、コーディネイトは難しくなり、結局、着ないものがふえていきます。

余裕があれば、それらをすべて写真に撮り、トランプカードのように印刷して、どれとどれがコーディネイトできるか考えてみるのもいいでしょう。コーディネイトがどれだけ難しいか、わかるだろうと思います。


色別に分けたら、その色の中でのアイテムの偏りを把握しましょう。たとえば、ブルーならブルーのコート、ジャケット類、インナーとボトムスの割合を見てみます。いつもコーディネイトがうまくできなかったり、悩んでいるのだとしたら、その中のどこかに偏りがあります。

インナーばかりでボトムがないであるとか、ジャケット、コートばかりでインナーが少ないであるとかです。基本はすべて1週間分の7枚。ボトムやジャケット、コート類はこれより少なくても問題ありません。


自分がメインでいつも着る色について、アイテムの偏りをチェックしたら、その他、どこのグループにも入らない色のものを、これらのメインのグループに入れて、コーディネイトできるかチェックしましょう。ここで、どこにも入りようのない色のものが出てくるでしょう。

ワンピースのように、コーディネイトの必要のないものなら問題ありませんが、中途半端な色のジャケットなどは、ほとんど着る出番がないでしょう。
ここまでは色による仕分けです。

色がある程度そろったら、もう着られないシルエットやサイズについて、チェックしてみましょう。これは人それぞれ選ぶ基準は違うと思いますので、感覚や気分で選ぶことになると思います。

ここまでやってくれば、もう絶対に着ることのない何点かが選びだされるでしょう。

それらはコーディネイトができない、シルエットが古すぎる、サイズが大きすぎ、または小さすぎ、のどれかになるでしょう。また同時に、足りないものも見えてくるでしょう。

たとえば、グレーのジャケットやコートはあるけれども、夏用のボトムはない、であるとかです。


死蔵品がふえてしまうことの多くの原因は、現状を見ない、そしてその結果、把握していないからです。毎日、目には入らなくても、そこに存在するものは、誰かがどうにかしない限り、永遠に存在し続けます。

それは見えないかもしれませんが、あるというだけで場所をとり、メンテナンス費用がかかり、何より、着ていないものを持っているという、罪悪感にも似た思いが、その人のエネルギーを奪い続けます。

会社が在庫を持っていれば税金がかかるように、使わない在庫を保持し続けていれば、エネルギーはそれだけ消費されるのです。


存在しているにもかかわらず、見て見ぬふりをして、表面だけを取り繕ってみても、存在は消えないどころか、影響を与え続けます。

見えないモノが持っている力を、低く見積もってはいけません。


着ていない服を把握する、そして死蔵品をなくし、持っていて、着られるものは実際に着て、着られなくなったら処分する。そうやって、クローゼットの風通しをよくし、無駄なく循環するようにしましょう。それは大きなエネルギーの節約です。


節約したエネルギーはファッションとは違うことに使ってください。人生には、ファッションより重要なことが常にたくさん存在しています。それらのために時間やお金を使って、自分を育て、成長させてください。

なぜそれを勧めるかって?だって、服だけ素敵な人よりも、服より中身が素敵な人のほうが、よっぽどおしゃれだと私は思うから。そして多くのデザイナーが、同じように考えているからです。

2014・06・09


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