見出し画像

誰も教えてくれなかったおしゃれのルール(アーカイブ)ボーイフレンド・スタイル

服全体のシルエットが大きくなってくると、ボーイフレンド・スタイルが復活してきます。

ボーイフレンド・パンツ、
ボーイフレンド・シャツ、
ボーイフレンド・ジャケット、
ボーイフレンド・セーターなどなど、
あたかもボーイフレンドから借りたような、自分のサイズよりは大き目の服のことをこう呼びます。

では、なぜ単なるビッグパンツでも、ビッグシャツでもなく、「ボーイフレンド」なのでしょうか。

勘違いしないでほしいのは、ボーイフレンド・スタイルは、女らしさを感じさせないようにする、あたかも少年っぽく見せるスタイルではないということです。

ボーイフレンド・スタイルだから女っぽく見えない、
ボーイフレンド・スタイルだから男の子っぽい、
そうではありません。
そうではなくて、ボーイフレンド・スタイルは、女らしさを際立たせるために用いる、ファッション独特の手法です。

おしゃれに見えるスタイルは、常にバランスがとれています。
色のバランス、
分量のバランス、
古さと新しさといった、具体的に目に見えるバランス。
それと同時に、フェミニン、マスキュリンといった、何となく、そんな雰囲気というような感性のバランスも、常に崩れないようにします。

そんなとき、行き過ぎた女らしさや、男のようなスタイルは、好まれません。

女らしさだけを強調するスタイル、
たとえば胸を必要以上に強調したり、くっきりボディラインを見せたり、スカートを短くするようにといったスタイルは、女性の体の強調であり、見せつけではあっても、それを「おしゃれ」とは呼びません。

それらが意図するものは、ただ1つのことであり、おしゃれとは違うものだからです。

そして、即物的な、そのやり方をおしゃれな人々は嫌います。なぜなら、そこには想像する余地がないからです。

ミステリアスではない、そんな、これ見よがしの、もの欲しげなスタイルでは、相手を魅了することはできません。

ボーイフレンド・スタイルとは、女性らしさを表現するための、わざと反対のベクトルを使うおしゃれのテクニックの1つです。

ボーイフレンドのようになるのではなく、ボーイフレンドのアイテムを使って女性らしさを作ります。

ここまで書いたら、具体的な取り入れ方はもうおわかりでしょう。

ボーイフレンド・スタイルを取り入れるときは、決して、ボーイフレンドのように、少年のように、男のように、ならないこと。

大きめなシルエットの中で、きゃしゃな体が泳いでいる、その姿がかわいらしく他人の目には映ります。

ボディラインがわからないから、ボディラインを想像させることができます。男っぽいものを着ているからこそ、女らしさを感じさせます。

女らしさと、着ているものの男っぽさ、そのギャップこそ、おしゃれに見えるポイントです。

ですから、すべてを男仕立てにして、振る舞いや言動まで、男のようだったら、ボーイフレンド・スタイルは台無しです。

ボーイフレンドアイテムを1点取り入れる。
そして、必ずどこかに女性しか身につけないようなものを入れる。
たとえば、ピンヒールだったり、
パールのピアスだったり、
真っ赤な口紅だったり、
わざとボーイフレンドとは一番遠いものを持ってきます。
そして全体のバランスをとり、女性らしさを演出します。

おしゃれとは、一種の頭脳ゲームです。
他人にどう見られるか、ではなく、他人にどう見せるか。

主導権はいつも自分が握ってなければいけません。
よくしつけられた犬のように、あなたは服に着られるのではなく、服を手なずけなければなりません。

そのために必要なのは訓練だけ。
毎日の訓練の繰り返しをすれば、思い通りに行動する犬のように、洋服は、あなたの忠実なしもべになるでしょう。

リードするのは、いつでもあなた自身です。

2012・09・10


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?