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誰も教えてくれなかったおしゃれのルール(アーカイブ)季節感

おしゃれに見せる大事なポイントの1つに、「季節感を早めに取り入れる」という暗黙のルールがあります。

おしゃれと感じさせる人たちは、季節をいつも先取りして取り入れるのです。

その逆に、おしゃれにはあまり関心がないのだろうなという感じの人たちは、季節感がありません。

春なのに、いつまでも重いコートを着ていたり、秋なのに、トロピカルプリントのサンドレスを着ていたら、そのコートやドレスがいかに素敵なものであっても、おしゃれには見えません。


特に日本の文化は四季を大切にします。だから寒くても春の、暑くても秋の服装にかえることを好みます。多分、このルールは着ものの世界のほうがもっと厳しいでしょう。季節ごとに花や柄が決まっていて、その季節とは違う時期にその柄を着ては、いけないことになっています。


そうはいっても、最近の長い夏や、遅めの春には、9月だからすぐ秋に、3月だからすぐ春にと、着るものを変えられないのが現状です。

9月1日が過ぎても、まだまだ残暑は厳しいですし、4月1日を過ぎても、ストーブをつけたい日はたくさんあります。

ちょっと昔は、それでも、早めに衣替えしてしまって、やせ我慢をして、気温にあわない服装をしていました。特におしゃれな人たちは、率先して、季節を先取りしていました。けれども、さすがに最近は、それも無理なほどの気温の高さ、気温の低さです。

では、どうしましょうか。


今までの季節感というものは、主に素材で表現されてきました。春夏はコットン、麻など涼しげな素材、秋冬はウールなど、暖かい素材。つまり、衣替えとは、素材の変化でした。素材の変化は、主に季節の気温の変化に対応するものです。

しかし、気温が変化しない今、素材を変更して季節感を表現するのは無理があります。
素材がだめなのですから、できるのははシルエットや形、または色ということになります。


まず、シルエットや形ですが、春から冬にかけてだと、コートの形が変化します。4月を過ぎてもダッフルコートはおかしいです。トレンチコートやステンカラーのコート、そしてピーコートも素材違いなら、春向けになります。それ以外のインナーやボトムスのシルエットは、冬と春では変わらないので、そのままでいいでしょう。


夏から秋にかけてですが、ここでは若干のシルエットの変化があります。

夏にコートは着ないので、コートは問題ありませんが、半そでやノースリーブ、またはサンドレスや、リゾート向けのドレスは、やはり夏をイメージさせます。(リトルブラックドレスやニットのツインセットの半そで、ノースリーブはこの限りではありません)

どこが線引きかわからない場合は、リゾートに似合いそうとか、海辺の町に似合いそうというものは、夏のシルエットということです。


最後に残ったのは色です。

一番簡単なのは、春なら春色を、秋なら秋色を取り入れることだと思います。

その場合、素材は前の季節のものをそのまま引きずっても構いません。

4月に入ってもまだ寒いのだったら、ウールでもかまいませんし、 9月に入っても、暑い日々が続くようだったら、コットン、麻でもいいのです。

特に最近の麻は、昔と違って通年着られる素材になってきましたので、気にすることはないでしょう。


春の場合は、ダークだった色合いが明るくなります。

秋の場合は、その逆に、明るい色合いがダークになります。

もちろん、全身すべて色合いを変えれば、一気に季節が変化したようで、すごくおしゃれに見えますが、なかなかそれは難しいので、まずは小物、アクセサリー、靴、鞄など、小さい面積から季節感のある色を取り入れていくといいでしょう。

たとえば、9月に入って、今までジーンズに白いTシャツをあわせていたのを、ダークな茶色や紫など、秋を思わせる色に変えるだけで、全体の雰囲気は変わります。

そしてもう少し涼しくなったら、足もとをブーツにかえれば、同じジーンズでも、それは秋冬モードに早変わりです。

持っているアイテムを、自分がもういいかなと思う時期より、気持ち早く取り入れる、そうすると、それは人々の目にも新鮮にうつり、結果的におしゃれに見えます。


おしゃれとは、印象の操作です。

同じコットンでも水色だったら夏っぽく見えるし、ダークブラウンだったら、秋っぽく見えます。その操作の仕方を知っていればいいだけの話です。

そのために必要なのは、いつだって、知恵と工夫です。
どんな高価な服を持っていてっも、
どんなにたくさんの服を持っていても、
その知恵と工夫には負けるのです。

本当の安心は、たくさん持つことではなく、知恵を身につけ、工夫することを怠らない努力から生まれます。それはお金では買えません。

お金で買えないものは、他人から奪われたり、壊されたりしません。

それは形としては見えないけれど、見えないナイトのように、ずっとあなたを支え続けてくれます。そして、それはものを抱え込むよりも、ずっと安心なことなのです。

2012・08・27


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