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グルメ英単語#19 ー 「S」は「鶏肉を背中から裂いて焼く」 S for Spatchcock

キッチン英語辞典#1から#28 で、ざっとお料理に使う英単語や解説を見てきました。ここでは、それが使われるシチュエーションsituationに目を向けたいと思います。気軽にやってみたいと思うので、手軽に読んでいただけたら嬉しいです。


それでは、

グルメ英単語の「S」


A : Massage the mixture into the skin of the spatchcocks and allow them to marinate for two hours before grilling.
B : By the way, what is the spatchcocks?
A : This method is used for cocking poultries.

A : 混ぜた液を、背中を裂いて平にした鶏肉(スパッチコック)の皮に刷り込み、グリルする前に2時間漬け込んでください。
B : ところで、スパッチコックってなんですか?
A : 鶏肉料理に使われる方法です。

ということで、

S for Spatchcock
「S」はスパッチコック


すなわち家禽類の背中を裂いて平に開いた肉、またはそれを焼き上げた調理方法です。

最初にこの単語を見た時は、ちょっと目を奪われました。
スパッチコックって、面白い響きです。

日本では鶏肉などの家禽類は、綺麗に切り身になっているものを使うことが多いですが、
海外では、丸ごと一匹買ってきて、自宅で切り分けたりします。
包丁で骨ごと叩き切ったあり、すごく切れるキッチン鋏を使ったり。あるいは、小型の電動鋸見たいのを持ってる人もいます。

もちろん、丸焼きにしてから、テーブルの上で切り分けて、給仕するのもポピュラーな料理法です。焼いた方が切るのは簡単ですが、丸のまま焼くのはなかなか難しいです。ちゃんと火は通っているけれど、モイストな出来上がり、というのが理想ですが、私の場合は、ほぼオーブン頼みの運まかせです。

上の会話に出てくるPoultry 家禽類ですが、
キッチン英語辞典#6 ー 第4章ー豚肉・ラム・鶏肉 Pork, Lamb and Poultryで見ました。(参考:https://note.com/lindsay_journal/n/n7180beca1453#2585790c-5942-48f6-84ba-b35929ccf210 )よければ参照してください。
また、スパッチコッキングについても、簡易すぎたので、加筆訂正させていただいてあります。

鶏肉やターキー、カモやほろほろ鳥など、鶏肉類をひっくるめた家禽類はPoultry と言います。
メニューでもレシピ本でも、この単語を目にすることは多いので、覚えておくと便利です。

そして、 Spatchcock ですが、
Collinsの定義では
A chicken or game bird split down the back and grilled となっていて、「チキンや野鳥の肉を背中から裂いて開き、グリルしたもの」、ということです。

鳥の丸焼き肉でも、首は切り落としてあり、それはスパッチコックも同じです。

が、whole 丸のままの場合、形を保存するように、内部の giblet と呼ぶ内臓類を取り出し、そこに味と風味を加える stuffing スタッフィングと呼ぶ詰め物をして、足を形良くくっつけるように縛ってから、オーブンで焼き上げます。

このやり方だと、丸い小山のように焼き上がります。
一方、スパッチコックはとても平らな出来上がりです。

スパッチコックという料理法は、


17世紀ぐらいからこう呼ばれるようになったらしいです。
中世のお城の見学に行って、キッチンと呼ばれるエリアを見たことがありますか?
たいていは、
キッチンの隣に食料貯蔵庫があって、
さらにその向こうは、狩猟で獲ってきた獲物がぶら下がっています。
お庭で飼っている鳥や豚もそこに持ってこられたかもしれませんが、
領主様のために、あるいは領主様自らが狩猟に行って、
獲ってきたものをまずは持ち込む部屋があり、
その隣にそれを処理する部屋、
さらに隣が調理する部屋つまりキッチン、
というような並びでした。

考えてみれば至極当然ですね。

たくさんの人がそこで働き、
狩猟にお供する人、その用具を揃える人、肉の下拵えをする人、そして料理する人、と分かれていたのだと思います。

そのプロセスで、”dispatch the cook” 「料理人を派遣する」という言葉の abbreviation 省略された形が、
スパッチコックになったと言われています。
下処理である背中から裂くプロセスと、それを焼き上げるプロセスの両方がくっついたような言葉ですね。

レシピを読んでいると、実際は、すでに背中から開いた鶏肉を買ってきてあって、それを手で押し広げるような作業の時にも、スパッチコックが使われていることがあります。
つまり、スパッチコックがどんなものか出来上がりを知っていて、
そこに向けて鶏肉を整えるような時です。

また、料理とは別に、即席に仕上げるとか、急いで対処するような意味合いにも使われるようです。これは、鶏肉を手際よく下拵えして料理したことに、由来しているのかと思います。

ところで、
コリンズの辞書を見ていたら、
Spatchcock と比較して、

Spitchcock というのが出てきました。


Spitchcock : (in British English) an eel split and grilled or fried とあります。
「(イギリス英語で)うなぎを割いて焼いたものまたは揚げたもの」、ということは、蒲焼の手法に似てますね。
この単語は、私のPCではあたかもスペルミスのように赤線がついてしまうので、あまり頻出する単語ではないようです。

日本でも、昔は、
鳥を絞めて羽をむしり、切り分けて調理する、
ということが身近だった頃があると思います。

今は農家さんとか、大きな土地を持ってる人でもなければ、
鶏肉は肉屋さんで買うもの、あるいは調理済みのお惣菜を買ってくるものです。

私などは都会の育ちで、
ペットのウサギや犬以外は飼ったことがありません。
が、本来だったら、
食料は自分で獲ってきて、あるいは育てて、それをいただく、
ということが当たり前だったのでしょう。
労力をかけて取得すると、
その分いただく命のありがたさを、
なお一層深く感じて感謝するのではないでしょうか。

もしも食糧難が来たら、望むと望まないとに関わらず、
私などはまず最初に菜食主義者になってしまいそうです。
たとえ獲物をゲットできても、
生きてる動物をどう処理したらいいのか、全くわかりません。

そういうことがわからないで生きていけるのは幸せかもしれないけど、
同時に何かしらの弱さを抱えている、とも感じ、
時々不安になるのです。


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