ブローチ#3

ロサさんは、私を家に上げると居間に連れて行く。
居間には古い木の机と椅子が置いてあるだけだったが、窓から庭の薔薇がよく見えた。

机の上には小さな硝子の花瓶があり、いつも季節ごとに庭に咲く花が生けられていた。今日は、かわいらしいアプリコット色の小さな薔薇が一輪。飾り気のない素朴な居間に映えている。

席に座っていると、ロサさんはレモングラスのハーブティーを出してくれた。透明なグラスに注がれた、美しい金色のティー。レモンの酸味に草の苦味を加えたような味は、少し汗ばむほどあたたかな晩春のこの頃になるとよく飲ませてくれる。

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