【SS】気まぐれ店長｜＃たいらとショートショート

「先にお飲み物お伺いしましょうか。」
店員が尋ねてきた。

「飲み物は何があるのかしら？」
「コーヒー、紅茶、ジャスミン茶のホットかアイスになります。」
「じゃあ、ジャスミン茶のアイスで。」
「承知いたしました。」

椅子に腰掛けて待っているが、一向に飲み物は出されない。どういうことだろう。

店員も私の横に立って、じっと待っている。

あぁ、次の注文を待っていたのね。私はメニューを見せてもらった。

「お勧めは何かしら？」
「『気まぐれ店長お任せコース』というのがございますけれど…」
「それ、お願いするわ。あとは何かある？」
「そうですね、今日は雨が降っているので『雨の日ご来店感謝割引き』が使えますね…」
「それも使わせていただくわ。」
「承知いたしました。」

店員が去って、店長が現れた。いかにも気まぐれな感じで、手には包丁ではなくハサミを持っている。

「雨が降り続きジメッとしているから、小ざっぱりといきましょうかね、お嬢さん。」

鏡の前に向かい、私の髪をさわり話しかける。
「ご注文はいかがなさいますか。」

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気まぐれ店長お任せコースだから、「ご注文は…」の件はいらないとは思うのですが、そこはサービス業なので「短く切っても良い？」と確認を取っている感じです。
最初の飲み物は、髪を染めたりパーマかけたりして待っている間のドリンクです。感染症が蔓延していた時期、このサービス無くなったけど、最近また復活したみたい。

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