【SS】告白雨雲②|#毎週ショートショートnote
「お?どうしたんだ、井上。」
研究室の入り口に青ざめた顔で助手の井上が飛び込んできた。長いこと仕事を共にしている植物学者の木下も、今まで見たことがない彼の姿にビックリした。
「博士!アレが…アレが…、もう製造停止になるそうです。」
井上が大好きなアレ!いつかは無くなる…とは思っていたけれど、自分たちが生きている代では無くなって欲しくなかった。そんな駄菓子。
ふわふわしていて雲みたいだが綿あめとは全然違う。アレは包装紙を破ると入道雲みたいにムクムクと広がり、早く食べないと雨に打たれたように溶けてしまう。甘酸っぱい初恋味や、ほろ苦いビターな失恋味があり、駄菓子にしては斬新だった。
製造法は極秘で大量生産できず、後継者もいなかったことでやむなく廃業となったようだ。
「廃業宣言とは悲しい告白だったな… 今日はアレを買って帰ろう。」
[370字]
井上の大好きなアレの正体がやっと出ました🎉
でも、もうすぐ製造中止となるようです😭
モデルはありませんが、包装紙を破ったらモクモクと盛り上がるように出てくるお菓子って楽しいと思いませんか?知育菓子の◯るねるねるねみたいだけど、何もしなくても勝手に変化してくれるのって、楽だし嬉しいかも。
製造法が封印されて…残念です。(井上が継げば良いとか?)
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