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ドーデの思い出|#シロクマ文芸部

『風車小屋だより』という、フランスの小説家アルフォンス・ドーデの作品が高校時代の愛読書だった。

高校時代は合唱部に入っていて、毎日いろんな歌を歌っていた。いわゆる合唱曲も歌うが、その当時流行っていた歌とかも、パート別の楽譜があれば歌う。で、そんな楽譜を探すために本屋に良く通っていたのだ。あの頃(半世紀前くらい)は駅のそばには必ず本屋が1〜2件はあったし、レコード店とかもあった。流行歌はレコード店で探し、ちょっと古いポップス系は本屋の音楽コーナーで探す…そんな感じだ。

楽譜探しのついでに、文庫本コーナーを覗くのも好きだった。あの頃は立ち読みができる時代だった。背表紙のタイトルを見て「面白そう…」と思ったら本を手に取り、表紙のイラストとかも見て「やっぱり面白そう」と感じたらページをめくる。読む… で、面白くてやめられそうになかったら、まず一度は本を戻す。次回本屋を訪ねた時、また面白そうだと感じたら購入する。

『風車小屋だより』は、多分『ムーミン』や『赤毛のアン』シリーズの本を集めていた際に目に留まったんだと思う。外国の作家コーナーを物色していて、なんとなくタイトルに惹かれたというか。そして表紙カバーのイラストが、なんか素朴な感じで気に入った。ドーデという作家は全く知らなかったが、本の中身…目次を見ると『アルルの女』という章があった。これはフルートが美しいメロディーを奏でるビゼーの『アルルの女(メヌエット)』と関係あるのかな…と思い、まずそこだけを読んでみた。

正直言って、曲は知っていたが、その元となった物語は知らなかった。なんとなく、アルルに住む美しい女性に恋をして…というのはわかっていたが、まさかこんな悲惨な物語だったとは!こういう話(どんな話だ?)ばかりなら読む気が続かなかったけれど、気を取り直して最初から読んでみると… ハマった。短編が30くらいの読みやすさも気に入った。『風車小屋だより』というだけあって、主人公が風車小屋を買い、そこに住んで近隣の景色やら噂話をしたためる、そんな話だ。アルルの女の話も同様。

なぜか、このフランスの片田舎の風車小屋のある世界が気に入ってしまい、同じ作家ドーデの『月曜物語』も続けて読んで… 『最後の授業』の章は涙が溢れてとまらなかった。こちらも短編集。

でも、この二冊しかドーデの作品を読んでいないかも。

大学で第二外国語でフランス語を選択し、その時に『アルルの女』が教本?になったけれど、先に話を知っていたから、翻訳が楽だったことも覚えている。

[約1000字]

今回は創作ではなくてエッセイ?みたいになりました。
宜しくお願いいたします。

#シロクマ文芸部
#風車

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