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後輩が飛んだ話(2)

前回の内容....

  実をいうと店舗出身の社員は、後に本社勤務になって続かなくなる。後輩以外にも実は何人も本社へ異動となっては退職をしている。それだけストレスの貯まる環境なのかもしれない。

 入社当初、後輩は良いお店にしていけるようにあれこれ考えて実行してくれるようなタイプのスタッフだった。それが本社へ行くこととなった為、本社側から色々変えていけるように頑張ろうとしていた。

 実はある時期にラインのやり取りでダメな会社だと思ったら退職するようなことをほのめかしていた。要するに何かしらのきっかけによって、未来を感じなくなるような何かがあったのかもしれない。

 正直な話をすると、私もこの会社に関しては何も未来を感じていない。仕事とは本当に辛いもので、お客として、外から見ると良い会社に見えたり、それなりの環境に見えることがあるものの、スタッフ側になるとお客様には到底言えない見せられないような現実がある。飲食店に勤務している人などは本当に心当たりがあるのではないだろうか。

 そこを割り切れるのか、人として曲げられないかの違いだとは思うが、続かない人というのは仕事が出来るかどうかよりも、こういう現実を見せ付けられることによる絶望であることが多い。

 そして、そういう環境になると人は頑張れなくなってしまう。思い返せばお世話になっていた先輩も本社へ行ったものの、疲れたと言い残し、そこから出勤しなくなったと聞いた。

 絶望を感じると、本来のプロセスを踏むだけの余裕がなく、飛ぶしかなくなるのではないだろうか?私は幸いにも飛んだことは一度もない。広告代理店を退職した後に入社した会社では、営業報告を随時報告を強いられていたし、定時を回っているのに1件訪問してから事務所へ戻れという、残業が伸びるような仕事を強いられていた。行動は全てコントローラーが管理するので、勝手に帰る事は許されないという、今にして思えば頭のおかしい仕事を強いられていた。

 それでいて常識がどうのこうのと指導をされたが、どっちが常識がないのだろうかと、思い出せば不満が出てしまうぐらい、はっきり言っておかしい環境で仕事をしていた。それでも飛ぶことがなかった事は幸いなのかもしれないが、普通の神経をしていたら、私の環境も充分飛びたくなるような環境だったのかもしれない。

 それを思うと、正直飛ぶ人の心理も分からなくは無いのだ。何より飛ぶような人がいる職場というのは、基本的に良い労働環境ではないのだから。そして、辞表を出そうとしてもそこで何かと揉めることもある場合もある。

 ここまで書いて思った事は、退職代行業とかいうものが最近耳にするようになったが、需要が出ているぐらい、結局退職しにくい環境だとも言える。

 飛ぶ人、代行業に頼る人、筋を通せない人が多く嘆くべき現状だが、そういう選択を取らせてしまう側の責任も考えなければならない時が来ているのではないだろうか。

 結局後輩とは飛んだ後から連絡がつかなくなってしまったので、元気に過ごしているのか、新しく仕事が決まったのかはわからないが、どうか次の職場では退職に追い込まれることがあったとしても、飛ぶようなことがないような職場であることを祈りたい。退職で前向きな動機とは、寿退社か独立ぐらいだから。

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