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いつか笑える日々へ-楽曲解説的エッセイ-

 私はnoteでエッセイを書いているのだが、実は文章以外の投稿も行っている。作曲した曲の投稿だ。私はネットカフェの店長兼音楽家として活動している。なので、音楽の仕事の片手間ではあるが、noteにコンペや表向きには伏せている楽曲を投稿しようと思っていた。今回は投稿した「いつか笑える日々へ」という曲について書こうと思う。

 この曲はピアノ曲で、私が大学1年の頃に書いた曲なので、もう15年近くの歳月が経っている。この時期はオリジナル曲のMIDIサイトを運営していた時期で、歌物よりもインスト系の作曲を多くやっていた。この曲もその頃に書き上げていた曲なのだが、今にして思えば当時作っていたインスト物は再編集して作り直そうと思える楽曲が少ないのだが、この曲は当時作った曲の中でも起承転結がはっきりした曲で、私の中ではインスト作品としては気に入っている曲の一つだ。

 当時仲良くしていた大学時代の友達がいたのだが、出会ってしばらくしてから付き合っていた彼女と別れてしまった。その時の話をよく聞かされて、作曲をしたのがこの曲だ。私は結構誰かの話を聞いて曲を書くことが多い。よく作曲家は小説や映画を見てインスピレーションを奮い立たせて、妊婦が鼻からスイカを出すような痛みに耐えながら子供を産む様に、芸術家はケツから宇宙を生み出すような苦しみと戦いながら作品を生み出す。作曲家も同じだ。そして私の場合は、そのインスピレーションを奮い立たせるのに、誰かのエピソードを聞いて書き上げることが多い。

 出会った頃は本当に明るい人で、クラスに居たら誰もが仲良くしたくなるような、そういう友情心の強い人だったのだけれども、別れてからの彼は、表情も常に暗くて、性格も少しずつ荒れ始めた。厨二病という訳ではないのだが、とにかく未練がましい場面を多く見るようになった。少なくとも過去の恋愛を吹っ切れられるようなタイプではなかったと思う。落ち込み方が本当に言葉に出来ない落ち込み方をしていた。何せ初めて好きになった人で、あらるゆ初めてをその女性の方を共にしたそうで、案外男という生き物は性欲に支配されまくっているイメージをもたれるのだが、何だかんだ初めて好きになった女性を大事にする気持ちは強かったりするものだ。

この曲を彼に聴かせた事はないのだが、振られた時の事も笑い話に出来る日がきっと来るから、いつか笑えるように無理しないで休むといいっていうような気持ちを表現してみたつもり。まあ、15年近くも前の事なので、当時の制作状況は覚えていないのだけれども、この時期といえば私自身も失恋から数年ぐらい経っていて、地味に未練を感じていた時期だ。思い出はいつでも明るくありたい。だからこの曲は暗いメロディーにはせず、シンプルで同じフレーズを繰り返すような構成にしたのだけれども、いつでもあの頃を思い出せるように淡い形にしたかったんだと思う。

 実際今回この曲を弾いたとき、ピアノの音色をいつもより角の取れた柔らかめな音にしたのは、優しく聞えるようなイメージにしたかった。だって、思い出がトゲトゲしいのって嫌じゃないか。

 余裕があったら今度はこの曲のアンサンブルバージョンも作ってみようと思う。

 いつか笑える日々へ。今笑っているけれど、笑える状況な日々ではない。もっと30代らしい自立をしないとね。生きるので精一杯ですおじさんは。

 一応この曲のnoteを貼っておこうと思う。

是非とも聴いてほしい。


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