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きっとまた泣く

長く所有していたものを捨てる時泣いてしまう。

初めてのスーツケースとか。
ワーホリに行く時に買ってもらった大きめのやつ、その後も何度も一緒に旅をしたんだよなぁ。
ちょっと傷がついてたり、どこかの空港のきれいに剥がせなかったシールの跡があったり。
少し紫が混ざったような青色の年季の入ったやつ。
小さめのスーツケースに買い替えた後も手放せなくてしばらく持っていた。
いよいよ使わないな。と覚悟を決めて粗大ゴミの手続きをして、その収集日当日。
収集場所に運びつつ、こっそり泣いた。
バイバイって、誰かに見つからないよう急いで抱きしめた。
なんのこっちゃ。

電子レンジとか掃除機とか。
壊れてしまって、年月が経ち過ぎて修理もできなくて。回収・収集にあたり、泣いた。そしてこっそりありがとうって抱きしめた。
だからなんのこっちゃねん。


必要最低限のもので暮らしたいので、基本あまり買わないし、要らなくなったものはわりとガツンと捨てる。仕事柄増え続けるものは、きれいなうちに実家や事情をわかってくれる友達に譲っている。


想像してみる。
もし手放すその時がきたら。
エアコンは、うん、平気だな。
ダイニングテーブルもいける。
洗濯機は…あかん。これは泣き喚く可能性がある。
連日使ったり1日2回まわしたりしたら、覆いかぶさってありがとって呟いている。(どゆこと?)

はいどうもね!とこざっぱり手放せるものと、そうでないものの違いはなんなんだろう。



ひとつ前の仕事はアロマセラピストでした。
引越した先の近所に大好きなブランドのスクールがあって、うっひょー!と勢いで初級から通い始め、中級、上級、インストラクター、セラピスト、と登り詰めてしまった。
お金も時間もかかったなぁ。
卒業後はセラピストとして7〜8年ほど働いて、今は全然違うことをしてさらに7年ほどが経つ。
ということは、このマッサージベッド、大きく見積もると買ってから17年くらい経ってねーか?

セラピストの学校への入学にあたって、必須購入物のひとつだった施術用のベッド。
え?これ買うの?え?家に置くの?と入学の手続き時に小さく戸惑ったけれど、そりゃそうだ。めちゃんこに練習が必要だったし、課題が山ほどあったんだもの。なくちゃ始まらんやん。
座学が覚えることが多すぎて難しすぎて、もう二度と何も習わん。金輪際ごめんじゃ。と強く決意したあの1年半。
このベッドに大変お世話になりました。

卒業後はほぼ使っていなかったのに、なぜかずっと持っている。半分に折りたたんで、壁際に置いてある。

少し前から、さすがにもうね、と思っていた。
そして先程収集手続きをした。

出す日はまだ少し先だけど、きっとまた泣くんだろうなぁ。ハグせずにはいられないんだろうなぁ。
ずっと使ってなかったくせに、感傷的になるんだろうなぁ。無機物に対して感情が揺れすぎなのでは?との自覚もちゃんとある。だからか、悲しくて感謝の気持ちがあるのは本当なのに、少しだけ、なにしとんねん。とも確実に思っている。理性…?なのかしら。

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