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わたしにとっての無形資産(『LIFE SHIFT』を読んで)

ここ1週間フル稼働で動き回っていたからか、今日は身体が重だるくお休みモードにシフトしたので、自分をぽかぽかゆっくり大事にする日に決めた。お家で宅配物を待ちながら、久しぶりに書いてみる。(夫は無事にスペインでのおうち生活をスタートさせたようだ)

2日前、リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著、池村千秋訳の『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』を読み終えた。kindleに入れて、移動中に携帯から読んだり、画面読み上げモードにしてウォーキング中や家事中に聴いたりして読了。

読み上げモードには勝間和代さんのYoutube動画がきっかけで初めてチャレンジした。機械的な音声にもだいぶ慣れて、同時進行で身体を動かせるし、目も首も肩も凝らないしとても気に入っている。もちろん目で読んだ方がポイントを押さえる斜め読み・飛ばし読みができるので、読むスピードは格段に上がるのだが、身体を動かしながら内容を聴くのもラジオを聴いているようで楽しいし、座って読んでいるよりも感受や思考の度合いが深まっている気がする。ちなみに読み上げモードは0.5~2倍速に段階的にスピードを変更でき、私は1.5倍速で聴いている。オーディオブック系アプリは月額1,500円~のようだが、読み上げモードは無料なので、機械的な音声がそこまで辛くないという人にはお勧めしたい。(勝間和代さん曰く、iOSが一番機械的な音声だそうだが、わたしはiOSでもあまり気にしないで聴いていられた)

本書は読者が選ぶビジネス書グランプリ2017にて、総合グランプリを受賞しているので読了者も多いが、感想を事前に拾ってみると、「要はコネクション強い人がたくさん稼ぐ」のような意見が散見されていたので、お金稼ぎ的な要素が強いのだろうか…と思っていた。しかし、実際開いてみると、「長生きになる時代の中で、幸せに生きるには」というような切り口になっていたように読めた。

「収入や貯蓄、マイホーム、投資について、といった、目に見えて価値を評価できる資産の話(=有形資産)について人は目が行きがちだ。それも生きる上では必要だ。しかし、そのときないがしろにされがちなのが、直接価値を評価したりお金で買うことが難しい資産(=無形資産)で、人類の幸せは後者の資産により得られるのではないか。具体的には、親、パートナーや子ども、友人との温かい関係。健康や活力。教育レベルや教養、スキル。大きな環境の変化に対応するための自己内省力、新しい経験を柔軟に受け容れる姿勢、多様な人的ネットワーク。」

これを読んで、お金で買えない価値について明記し、人生を送るうえでの非常に重要な資産と位置付けられていることにとても共感し、本書が血の通った本であることを嬉しく思った。

わたし自身、約2~3年前、出張行きまくって仕事ばりばりやりつつ、どのような人生を送りたいか、どのように生涯を終えたいか、ということについて真剣に考えていた。当時の結論は、以下の2点。

①お互いの存在を認め合い、支え合い、尊重しあえるパートナーとホッと、時にはゲラゲラと過ごす人生。できれば子どもを授かりたい。

②ワクワク、知的好奇心が刺激される人生。コアな友人関係を大切にしつつ、様々な人と会って話したり、読書や勉強、仕事を通して新しいことを学び続けたい。できれば細々とでも、知的好奇心が満たされ、社会にとって役に立つような仕事を死ぬギリギリまで続けたい。

以上の結論をもとに当時現状を振り返ると、会社で②は満たされていた。一方で「パートナーを見つけて結婚するのはいつでもできるけど、子どもを授かることを考えたら、今婚活しないとなぁ」ということで、婚活を本格的に始めた。有難いことに、自分と全然違うタイプの、でもなぜか惹かれ合う人と巡り合い、出会ってから1年数か月で夫婦関係になり、今に至る。

今振り返っても、①も②も、有形資産ではなくて無形資産が自分のビジョンにあったんだよな。としみじみ思う。これがわたしにとって築きたい無形資産だ。

本書の、人生百年時代には、現在標準の人生3ステージ構成(教育⇒労働⇒余生)は多くの人々にとって成り立たない。という論もご尤もだし、政治や会社には体制の再構築が急務になるだろう、という点も頷ける。一方で、高齢化社会が進み有権者の年齢があがることにより、政治が高齢者向け優先にシフトしていく、なんていうことも、耳が痛いがそうなるだろう。現在は柔軟に働くという手段を選んだ場合、収入が減る傾向にある、というのも、一部を除けばその通りだし、再構築を叫んでもそんな簡単には変わらないだろう。

ではわたしができることは何だろう?

夫はAIが台頭してきても絶対に仕事を奪われない技術を取得している。一方わたしは事務職だ。ただ、営業経験もあり、色々な国の人々と直接コミュニケーションをとったり、複数の部門と調整し、旗を振るという仕事も経験させて頂いた。AIなぞ、使いこなす側に立ってやるわいと思っている。機械翻訳の台頭は怖いけど、実際会社で使ってみて、全体の文脈を通して結局何を言いたいか、というところまでを察して汲み取った翻訳はしないのね、この、人間の察する力や、知識、経験をもとにする翻訳や提案は付加価値になりそう、とわかった。

本書では「人生設計をしっかり立てること」について何度も言及されているが、正直、この読めない社会状況でしっかりした人生設計など立てようがないと思う。ただ、本書にある「自己内省」の重要性については共感している。漫然と日々を送るのでなく、体力をつけ、将来の社会の動きを読み、自分ができることや強みを考え、新しいスキルを習得する時間を割くこと。これは、どこにいてもできること。そして、チャンスがあれば新しい環境に身を置き、視野を広げ、次の舵切りに備え思考を深めること。つまり、この時代を主体的に生きること!そしてまだ少ない時代における「使える」ロールモデルになること。悔しいけれど、全体最適なんて言葉がのさばっているこの社会、ロールモデルが増えて初めて、声が聴かれ、政治や法改正や企業の制度は変わるものだと思うから。そして、働いたら税金を納めること。選挙にはいくこと。スペインにいる間はいけないけれど。

この本を読んで、自分の生き方を振り返る良い機会になったし、無形資産の重要性について改めて気づき、将来の、家庭における自分の働き方についても考えるきっかけとなった。

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