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宮崎県の南ちょっと鹿児島 綾から宮崎市内  【専業旅婦は日本だって旅する その10】

朝周囲を散歩すると、宿の敷地から向こう側に渡るまた純粋吊橋みたいなのを発見した。生活上の通行の便利さではなく、渡ること自体が目的の吊橋を渡ってみる。

しっかりとした吊橋は安定感もあり、綾北川の流れや風を感じて往復するのは心地よかったが、ある物に気が取られる。
橋の上に無数に点々と落ちている黒っぽいもの。これがどう見てもフンなのだ。それも哺乳類のそれに見える。
見たくないのに見てしまう。だってこの吊橋、人の通行が盛んには思えない。近所の人が犬の散歩に使うとも思えないロケーション。
ここら辺に住む動物としてイノシシやタヌキという表示があるが、それなのか?形状はタヌキ寄り。自宅からまあまあ近い山で見たタヌキやイノシシのフンは、もっとドングリとか木の実が目立ったが。
それにしても橋の材質は金属、そして見晴らしも風通しもいい、野生動物にとって一番無防備な行動にふさわしくないように思える場所が、トイレとなっているのはなぜ?
爽やかな朝に、初めての地で一人獣のフンの考察をしていること自体の何やってるんだ感が面白い。

今日は宮崎市内へ行くので、まず30分程歩いて綾町中心地にある産直販売所 綾てづくりほんものセンター へ。
野菜など豊富な上、お弁当類がとても多いぞ。それも随分とお値打ちではないか!
この一角には他にも観光案内所、ハンバーガー、アイスクリームなどの店がある。お昼を買い、そしてアイスクリームも買い、せせらぎのそばのベンチで買い食いのランチだが、これがとてもハイクオリティ。

黄色は宮崎らしくマンゴー
緑も宮崎らしい日向夏と台湾銘茶東方美人茶という意外な取り合わせ
本当にちょっとスモーキーな東方美人茶フレーバー

そこからすぐ近くの綾バス待合所から宮崎市内行きのバスに乗る。
今日のホテルのある繁華街ニシタチ近くまで行くつもりだったが、宮崎神宮の近くを通ったので降りてみることにした。

宮崎県についてから、神社の多さに驚いていた。考えてみれば神話の国と言われるし、宮って字もついている。
私は日本人だが神社や神道にそれほど親しみがある方ではない。
生まれ育った地方都市には、それなりに気合いを入れて参拝に行く大きな神社はあるが、集落ごとの歴史のある小さなお社みたいなのに縁がなく、お宮参り文化の外にいた。外にいたのは北海道でも自分の家くらいだったのかもしれないが、自分自身は七五三も厄払いも初詣にも縁がないまま大人になったと知人に言ったら結構引かれた。

首都圏に越してきて驚いたのは、小さな神社やお稲荷さんがそこここに無数にあることだ。
今は普通に通りがかった神社で参拝したりする。
しかし偶然だと思うが、三が日に初詣をした数少ない年に限って、とんでもなく不幸なことが起きたような気がして、逆初詣みたいにお正月には行かないことにした。代わりにお寺に詣でる。
思い込みだけど、相性悪い?参拝は任意だからしたきゃすればいいけどしたくない時はしなくていいよね。
でもなぜか気づいたのだ。
伊勢神宮とか、霧島神宮とか、そして宮崎1日目の鵜戸神宮、2日目の荒天神社。なんか西方面の古い神社には惹かれるものもあるし、相性とか感じず、清々しい気持ちで参拝できる。
同じく神社でも、豊作とか村の平穏とかへの祈りが主な社には異物として弾かれるが、歴史が古い神話レベルの農耕以前からの神だと、私でも許容してもらえるのか?

知識もないまま神様の国宮崎の神宮だからと来てみたが、神武天皇とその父母が祀られているとある。
参拝して手を合わせて、こういう古い神社では身辺の生臭い祈願をするのも合わない気がしてきた。そもそも何を祈願したいとか考えていなかったのだ。
そこにちょうどツンツンたくさんのトンボが飛んでいるのが視界に入る。それで思わず「ご先祖様からみて、現在継承権1位2位ってことになってるあれとあれで本当にいいんですか?いいなら仕方ないけど良くないなら何とかしてほしい」みたいに祈ってしまった。
全く トンボと天皇で連想してしまったじゃないか。

宮崎の中心地がとても都会に思える。
私の好きなちょうどいい規模の明るく開けた街。
ニシタチの入口あたりで明るいうちからキャバクラかなんかの嬢達がはないちもんめをしているスクリーンの映像と音がちょっと下世話感を出しているが、夜にはシャレたバーとか気さくな居酒屋もありそうな雰囲気。
そこから駅に向かうアーケード街が、まだまだ繁華街のメインを張っているようだ。
何だか昭和レトロな小路を見つけて意味なく歩くのはいつもの癖。

かつてどういう造りの店だったか
想像がかき立てられる

駅前まで歩いてしまって小腹がすいたので人がどんどん吸い込まれていくうどん屋さんに入る。
わかめたぬきうどんの食券を買いすすったら、昨今の丸亀製麺やはなまるうどんのようなチェーン店で全国で食べられるようになったコシのある讃岐うどん系とは全く異なる、コシがそもそも一つも求められていないうどんだった。
そうだ。コシのあるうどんの歯ごたえ喉ごしは大変美味いけれど、こういう柔らかいうどんの優しさを思い出す。歯が生えてきた子に刻んで与える離乳食や、熱が出た時作ってもらった病人食、そして年をとって噛むのがうまくいかなくなったらそういう過渡期でもこれなら家族全員食べられそうな安心感が漂う。

宮崎と言えば今はマンゴーだけれど
日向夏も忘れてはいけない

夕食は宮崎のご当地グルメの筆頭、チキン南蛮で締めくくることにした。
発祥の店とされる「おぐら 本店」
タルタルソースのかかる鶏胸肉は柔らかく、しっかり味がついてボリューミーだけど瞬く間に食べ切ってしまった。(口絵画像)
年々縮小する食事摂取量というか適正量が頭をよぎり、チキン南蛮とハンバーグ盛り合わせの「ビジネスセット」にしたが、ここはやはり「チキン南蛮定食」が良かった。どっちみちボリュームはあったのだし。

それはそうとこの本店の店の造りが、昭和の子どもの頃の記憶にある町の食べ物屋さん、または喫茶店っぽくてたまらない。特に2階。こんな感じの昭和的豪華さに完全にやられた宮崎最後の夜。

そうこんな感じでテーブルによって雰囲気がちょっとづつ違うから
全席制覇したくなる

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