呪いが解けない①

婆さんから言われた昔の古い価値観が置き土産となっている

ここに帰ってきた当初は良かった、隣もいない一軒家だったのに住宅街に引っ越したのかと思った。家は嫌いじゃないけれど、古い慣習に縛られたこの家は大嫌いだった。引っ越したという錯覚は一時的に良かった。

この土地は大嫌いだ、小さいころからの私を知る親族から

「お孫さんは今、何をされていますか」


この言葉がキツすぎる。別に後ろめたいことなどしていない。でも小さいとき、呪いのように「男の子が良かった」と言われ「跡取り娘かねえ」「結婚するなら次男で婿養子もらいな」
ぜんぶ死に損ないの婆さんが放った言葉。私に男の兄弟がいればいいという話ではない。兄か弟がいたらその時代錯誤さに苦しむだけである、私だけでいい。

(……孫は東京の小さい企業に勤め、そこそこ手取りはいいので自由に暮らしていますが、何か問題ありますか。)
突きつけてやりたい

これが田舎暮らしの最大のデメリットですねー。

別に、最近土地を買って家を建て極力地域と関わらないのならば関係ない話だと思いますが、私の家のように古い代からそこに住んでいて跡継ぎの必要な家業を持っているとそう言われます。父はもう土地も家も(所有している不動産も)自分の代で売るし、家業も自分の代で終わらせ、墓じまいも考えているようで私に深刻に考えるなと言っていますが。
父がこれだけ出来た人間なので余計申し訳ないですが、悪しき田舎の風習は次世代に残さないに尽きる。

婆さんは軽々と「跡継ぎが……」どうのこうの言ったけど、その価値観で母がどれだけ苦しんで不妊治療したか分かっていますか?やっと生まれた子ども(私)に「男が良かった」と直接言うのも失礼だし、そりゃそんなん言ったら一番頑張った母が病む。そりゃ逃げるわ(実際に逃げた)。逃げて正解だった。

死ぬ間際まで孫に恨み節をつらつら書かれて格好悪いな……
そんな婆さん、まだまだ生きてるわ……

こんな価値観の下育ったので結婚は怖くて、何度か「結婚を前提に……」という話もありましたが「この家と関係を持つとか正気か?」と思って結婚や子どもの話が出た瞬間、私は(どれだけ相手のスペックが高かろうが)「別れてください」と言いました。そんな20代でした。
古い価値観で洗脳をされてしまっているからね……

両親もここは忌まわしき田舎の考えが残っていて、学歴は私と同等かそれ以上(要はMARCH以上大卒)やら家柄やら細かいことを指定してくるので、もううんざりしてしまい
事実婚関係でお互い自立している人と助け合って生きよう
で結論は出ました。
今の時代、特に不便などないです。

そこまで私の価値観を歪めたし、結婚も子どもも怖くなってしまった。親が過干渉だと子どもは結婚しません。生涯独身を選択します。
代々、前時代的な価値観が刷り込まれている特殊な家系なのかもしれませんが、私が「これ以上は可哀想だ……」と気付いたのは不幸中の幸いかもしれません。

結局、婆さんはまだ大丈夫じゃないか?というのとあまりにも親族に会いたくないという理由でいったん東京に帰ります。

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