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雨太鼓 【詩】

散歩中
突然の雨

空に向けて発射するように
勢いよく帆を張る

ゆるみなく
ピンと張られた赤い帆の上で
雨粒たちが跳ね上がる

パーン
ターン
トーン

タンッ
タッ
タンッ

トンッ
トッ
トンッ

なんとはつらつとした
まっすぐな音なのだろう

自然が奏でる太鼓のリズム
傘を持つ手を通じて
伝わってくる振動

子どもたちの
輝く笑顔
純粋な笑い声

高揚感に包まれ

まだ小さかった頃の
雨にぬれて大喜びした
私を思い出す

おそれなど何もなかった

雨のにおい
遠くに聞こえる雷のおと

空に張った帆をたたんで
冷たい感触としばし戯れる

今度は私が
太鼓のリズムそのものになろう

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