圧倒的霜降り

ワシは、東南アジアで一番面白いと言われるお笑いコンビ、霜降り明星さんを心より尊敬している。

特に、ツッコミ担当の粗品さんが中指を立てながらツッコミワードを言うのが気に入っている。

最近ではアレをマネするのが世間で流行っているみたいだ。

ワシは霜降り明星さんの面白さをアメリカ合衆国にも広めたいと思い、霜降り明星さんのネタを引っさげてお笑い留学をすることにした。

幸いなことにワシはネイティブスピーカー級の英語力があるので、言語の壁は問題ない。


アメリカはニューヨークシティに着くと、まずはお笑いライブができそうな所を探した。

しかし、いきなりステージに立てるわけもなかった。

ワシはひとまず路上ライブをすることにした。

「hello, everyone! I'm Myoujo Shimohuri!! attention please! please call me Shina So!」

ワシは霜降り明星さんのネタを一人二役で演じ始めた。

ワシはネタの完成度に自信があったので、笑いが巻き起こることを信じていた。

しかし、つかみの段階からいまいち笑いが起きない。

ワシは少し不思議に思ったが、でも大丈夫。

あの粗品さんのツッコミポーズをやれば大ウケ間違いなしだろう。

ツッコミのタイミングがやってきた。

満を持して、ワシは観衆に中指を突き立てながらツッコミワードを言い放った。

すると、観衆がザワザワしていた。

笑いが起きたんだろうな、笑いってのは国の壁を越えるよなー、って感じた。

しかし、何やら物凄い剣幕でアメリカの方がワシに罵声を浴びせてきた。

何を言っているのかよくわからなかったが、おそらくギャグがつまらないと言ってるのだろう。

きっと粗品さんの最高に面白いツッコミポーズを見逃したんだな。

ワシはそのアメリカの方に、親切にもう一度中指を立てながらツッコミワードを言った。

するとその人は殴りかかってきた。

ワシはニューヨークシティまで行ったのに大怪我を負ってしまった。

ワシは悲しくて悲しくてとてもやり切れなかったので帰国することにした。


帰国後、ワシはすぐに気持ちを切り替えて前に進もうとした。

霜降り明星さんのネタが面白くないはずがない。

ワシの再現度が低かったに違いない。

そしてアメリカンはお笑いの質に厳しいのだ。

絶対にワシはアメリカンをも納得させるレベルに達してやろうと思った。

必死で霜降り明星さんの動画を見て勉強した。

立ち姿、声色、テンポ、間の取り方を再確認した。

気合いを入れて、何度も何度も練習した。

練習し過ぎて、ツッコミ時の中指が痙攣するほどだった。


圧倒的な鍛錬を積み、ワシはユナイテッドステイツオブアメリカへ再渡航した。

ニューヨークの、同じあの場所。

ワシは投げ銭入れを地面に置いて、ついにリベンジのお笑いライブを開始した。

以前よりもつかみの段階から手応えが大きい。

うっすらとだが笑みを浮かべている観衆もいる。

よしよしよし。

そしてワシはついに、粗品さんの渾身のツッコミを繰り出した!


気づくとワシは、傷だらけの体で路上に倒れていた。

もう、やんなっちゃうわ!

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ワシのことを超一流であり続けさせてくださる読者の皆様に、いつも心からありがとうと言いたいです。