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私、やっぱり入居しないから


二人の母親と「施設」をテーマに話す。
これが今、とても難題なのです。

・ 平均寿命

平均寿命

男性81.47年
女性87.57年

「令和3年簡易生命表」(厚生労働省)

女性の方が長生き。

実父・義父、二人とも
平均寿命よりは長く生きたけれど、
配偶者に見送られて旅立ちました。

・ 健康寿命

健康寿命 

男性72.68年
女性75.38年

「2022年度版 「高齢社会白書」(内閣府)

平均寿命に迫ってきている実母・義母。
それなりに自立生活を送っています。

それでも健康寿命の年齢を
遥か遠い昔に超えてしまっている二人。
ボケてはいないけれど、記憶が曖昧な事も多く
体には年相応にあちこちにガタが生じて
何種類かの薬を常用しているのです。

近い将来彼女達に何が起こるか
分からず、(人間誰でもそうですが)
別のところで生活し何かあってもすぐに
対応できない子供達は心配しています。

・ 実母の「施設」に対する拒否反応

あまり触れたくない話題なのはわかります。

実母は可能性の一つとすることすら
拒否してしまう「施設」への入居の話。

「来週から入居してもらうからね」

と言っているわけではないのに、
老健、特養、民間老人ホーム、サ高住、、
なんであれ、一般論として
「施設」のことを話そうとする度に

「私はそんなところ入りません。」

と、これ以上相談することなどありません宣言。
その後に必ず、

「お友達のAさん、Bさん、Cさん、皆
入居してすぐボケて、寝たきりになり
あっという間に彼方に逝ってしまったわ。
自宅でいればもっと長生きしたはずなのよ。」

と「施設」を忌み嫌う理由を述べます。

そのお友達はかなり体調が悪くなってから
入居したのでは、それに施設で楽しく暮らし
長生きしている人もいるのよ、と言っても
全く聞く耳を持ちません。

・  義理母の「施設」に対する拒否反応 

要介護2の義理母。

息子二人が心配して施設入居を提案し、
地元を離れたくないという本人の希望を
聞き入れて、探した老人ホーム。
本人が見学して、ここなら入居してもいいと、
意思も確認。入居仮契約を結びました。

家の片付けをしたいから
入居は 2ヶ月後にしてほしいという要望を
優しい息子達はここでも聞き入れたのです。

いつでも戻れるように自宅はそのままなので
大掛かりな片付けはないはずでしたが、
ともかくその2ヶ月の間整理の傍ら、
彼女は友人とたくさん話したようです。
入居直前の健康診断を済ませ、
施設の人が明後日迎えに来るという日の夜、

「私はやっぱり入居はしません」

と高らかに拒否宣言。
契約は一旦白紙に戻りました。

2ヶ月間友人に相談したところ
誰もが言ったそうです。

「あそこに入ったらお終いよ」

紅い梨

・どうにかなる、ではないと思うのですが

どうして彼女達は「施設」をそれほど
毛嫌いするのかしら?

住み慣れた家でずっと暮らしたい。
世話してもらうほど衰えていない。
自由が制限される共同生活は嫌。

気持ちはわかるけれど、
人間一人では生きていけないし、
自分の万が一の時のために、、と
前向きに考えてもらえないかしら。

自分は最後の最後まで自立でき、
長患いはすることなく誰にも迷惑を
かけない、と言った妄信過信。

何より自分の老いと終わりを
認めたくないという現実逃避。

そして言葉の端々に感じることがあるのですが、

なんだかんだ言ってもあなた達子供が
最後はどうにかしてくれるでしょう?

えー、そうはいかないから、
今から備えたいのですよ、お母さん

なのです。

親の心子知らず
子の心親知らず














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