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女子校教育の賜物とは何か◇その2◇

20XX年の春、公立中学校への進学を回避できた喜びと、カトリックの女子校という未知の世界への好奇心を胸いっぱいに抱き、私は某女学院へと入学しました。

女学院での生活は、思いの外居心地が良いもので、親はなんとピッタリな進学先を提示してくれたものかと、今になってつくづく感じます。


さて、本題である「女子校教育の賜物とは何か」について、エピソードも交えながら書いていこうと思うのですが、この問いに対する答えは、概ね4つに集約されると考えています。

今回はその一つ、“学習環境” の話を書いてみましょう。


前回、塾に通わず中学受験したと書きましたが、そのせいで、私は、自分の学力が女学院内でどの辺りに位置するのかを全く把握しないまま、入学することとなりました。

入学式では、先輩方のハレルヤコーラスに迎えられ、校長先生(シスター)のお話を聴いて、早速ミッションスクールらしさを体感、

その後は各クラスに戻り、担任・副担任の先生との顔合わせや、クラスメートの自己紹介などなど……。

入学式らしいことを一通り終え、ホームルームも終盤に差し掛かった頃、「そう言えば、クラスの委員長と副委員長を決めないといけませんね。」と担任の先生。

続けて「とは言え、皆さんほとんど初対面でしょうから、今回はこちらで決めさせていただきました。委員長はA山さん、副委員長はわたぬきさんにお願いします。

…?

さらに続けて「わたぬきさんは、このホームルームが終わった後、職員室に来てくださいね。

…??

私は一体、入学初日から何を仕出かしたのだろうかと、あれこれ考えてみるものの、結局思い当たる節のないまま職員室へ。

そして先生「明日、生徒会主導の “対面式” というのがあるのよ。そこで、新入生代表の挨拶をわたぬきさんにやってもらうことになったから…(うんぬんかんぬん)…じゃあ原稿よろしくね。」

…???


後で分かったことですが、これらはすべて、入試の成績で決められていたのでした。

カトリックの女子校で、女学院全体にのほほんとした雰囲気があるとは言え、そこはやはり私立です。学習面はそれなりに厳しく鍛え上げられ、評価されます。

毎朝、朝礼でお祈りをし、聖歌を歌った後には、小テストが待ち受けています。月曜日は漢字、火曜日は数学、水曜日は英語…といった具合に。

そして、そのテストで満点を取れなかった場合、放課後もしくは土曜日の午後等に、満点を取れるまで帰れない、“エンドレス追試”なるものが待ち受けていました。

更に、定期考査や実力テストの結果は、5位までだったか10位までだったか、順位が貼り出されるほか、

クラスもしくは学年全員の点数を高い順に並べた表(名前は伏せてある)を教科毎に配られたり、通知表には自分の順位がはっきり書いてあったりします。

また、私立ですから授業のスピードも速く、例えば、英語は中高6年分の文法事項を中学3年間で習い終えました。

私が中学生の頃、ゆとり教育なるものが本格化し、公立では完全週休2日制となりましたが、

女学院は相変わらず土曜日も学校、高校生は日曜日にほぼ毎週のように模試夏休みなどの長期休暇も、そのうち約半分は課外授業などなど……。

ただし、クリスマスだけは毎年必ずお休みでした。さすがカトリック校。笑


こう書き連ねると、結構容赦ないように見えたかもしれませんが、おかげで、ある程度の学力は否が応でも身に付きます。

そしてそれを担保するべく、先生方も全力で取り組まれます。エンドレス追試なんぞ、生徒全員が満点を取れるまで延々と続くわけなので、一番大変なのは生徒ではなく先生なのです。今思い返しても、本当に頭が下がります。

また、中学受験というものを経験してきている以上、ある程度は“勉強して当たり前”の空気が流れているのも、恵まれた学習環境の一側面と言えるでしょう。

更に、女子校では「女子は理数系が苦手だ」という、謎の偏見に晒される機会がありません。だって全員が女子ですから。

あるとすれば、「Bちゃんは英語が得意で、Cちゃんは数学が得意」ただそれだけです。

「Bちゃんの得意教科が数学ではないのは、Bちゃんが女子だからだ」は、女子校では成立しません。

これは結構見落とされがちですが、女子校教育の特長のひとつであり、後の進路にも影響しかねない、かなり重要なポイントだと思います。


一方で、そんな学力競争に晒されながらも、クラスの雰囲気は、なぜかいつものほほんとしていたから不思議です。

当然、途中で勉強についていけなくなる子も出てきますが、「これ教えて」「いいよ」がクラスのあちらこちらで自然に発生するのです。

なぜこんなにのほほんとしていたのか、いろいろ考えてみたのですが、おそらく原因のひとつに “カトリックの精神に基づく心の教育” があるのでは、と考えています。

というわけで、次回は“心の教育・礼儀作法” についてのお話を書いてみようと思います。

◇つづく◇

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