ことばの豊かさについていま一度考える『本日は、お日柄もよく』|読書録
原田マハ著『本日は、お日柄もよく』。
「スピーチを書くひと」である、スピーチライターにまつわる小説です。直前に自分の耳が痛い系小説を読んだためかもしれませんが、これは読みやすかった…(笑)!今後も覚えておきたいスピーチの極意もたくさん出てきましたが、まずは作品の感想を記録したいと思います。
さてこの小説、物語自体も面白い(ちょっと展開が読めちゃう部分はある)のですが、それ以上になんといっても作中に登場するスピーチの数々に魅了される作品です。結婚披露宴の祝辞にはじまり、弔辞、創立記念式典の社長スピーチ、国会の討論に至るまで、様々な種類のスピーチが小説内にまるっと書かれています。これがほんとうに胸を打つものばかりで、わたし自身驚くくらい何度も何度も涙しました( in カフェ☕️ 笑)。作者も、実は物語自体を描きたかったんじゃなくて、その物語を背景に持つひとたちの「スピーチ」を描きたかったんじゃない?と言いたくなる程、スピーチそのものの完成度と切り込み方が秀逸なんです。
小説を読み終えて思ったのは、スピーチのような“聴かせる”ことば──── 少しの変化球でひとの心を掴むというか、ひとの耳に届ける「ことば」には、豊かさと熱がこもっているということ。わたしは何か文章を書くとき、書きはじめの1〜2文で爪痕を残そうとするこだわり(悪癖というのかもしれない)があるのですが、そういった工夫以前の素直さだったり向き合う決意だったりといった、「ことばを紡ぐ心得」を教えてもらったような気がします(とか言いつつも、スピーチの極意が描かれているところにはビッシリ付箋を貼っているんだけど)。
(ちなみにこのあらすじ、お仕事小説かというと個人的には微妙に違うようにおもっています。)
🌿🌿🌿
「話し上手は聞き上手よ」
主題からは少し逸れますが、今回の本を読む中で、ふと桐生稔著『雑談の一流、二流、三流』(2020年)を思い出しました。数年前に読んだので詳しくは覚えていませんが、あの本も要約すると結局は傾聴力の本だったと解釈しています。本を読んでいると、思わぬところでこういう「これ、進研ゼミでやったところだ!!!」みたいな出会い(伝われ)があるから面白いですよね。
自分の感じたことをまずは自分で言語化したいと思って、今回もレビューなどを見るのを我慢して感想を書きました。投稿完了したら他のかたの感想文を見て共感したり新発見をしたりしたいです♩
それでは読んで頂きありがとうございました💐
またお会いできたら嬉しいです。
またね〜!
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