遠藤

学生

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灰色の筆洗

友人 僕は友人が少ない。 しかし友人が少ないことを意識したことはなかった。 どちらかというと、友人が多い人間を見下していたほどだ。 なぜなら、友人が多いというのは人に好かれやすい人で、人に好かれやすいというのは猫を被っているからで、猫をかぶっているというのは本当の自分でいられないからで、本当の自分でいられないというのは嫌われるのを極度に怖がっているということになるから。 という、捻くれまくった方程式のもと、友人が多い人間を毛嫌いしている。 そして僕は大勢が嫌いだ。

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      逃亡 ぬかるみに足を突っ込んでいるかのような足取りで大学へ向かう。やっぱり行かないことにしてUターンすると、急にぬかるみから抜けた感覚があった。 大学の授業は月曜日と火曜日しかない。 本当は木曜日も授業がある。音楽の実技だ。 僕はギターが弾けるしラップもするので音楽なら余裕だと思って取ったのだが、いざ授業にいけばオペラの独唱だった。1回目の授業で、大江裕みたいな大男は話した。「別にオペラじゃなくても良いです。J-POPでも構いません。歌いましょう。」 無理に決まってい

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