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お雛様、もものせっく。 #114

実家には立派な雛飾りがあった。
謎の爺やがいて、アイテムもたくさん揃ってた。

男雛が装備していた刀が大好きだった。

うっかりすると首が抜けるシュールさも好きだったし、毛氈なのか土台の金属なのかから放たれる独特の匂いが印象に残っている。

しまう時には、顔に紙をかけて丁寧に。

しまい忘れたり、遅れることもなかった。
我が家は、母がそういう節みたいなものを大事にしていた。

わたしは未婚だ。

結婚に遅れたのではない。
結婚を選んでいない。

子どもの時は、結婚したいともおもわなかったけど、そんな選択があるとも思わなかった。

立派なお雛様は、親戚の手に渡っているはず。
みんな、元気かな。

中学校の時の担任は、人数分の桜餅を手作りしてくれた。
今思えばとてつもない労力。
それを「嫌いなんだ」と言い放つ無知なヤングボーイ。
私は塩漬けの葉っぱが好きだ。

私は今年も桜餅を食べる。
それでひな祭りかと言われれば多分違う。
そういうのを大事にしてきた気持ちだけは受け継いだつもり。

襤褸を着ても心は錦。
関係ないけど、急に頭に出てきた。
雛で錦に引っ張られてるだけ。

ただ、錦しか着ない人の心は襤褸の確率が高いと思う。

あくまでも私のバイアスだけど、過剰にブランドものを身につけるのは自信のなさであることは明白。
じゃあ、錦って?
私の錦はルームウェアだ。
錦は襤褸だ。
じゃあ、心は?

私はいつまでも女雛だ。ただそれだけ。
もものせっく。

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