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食肉鉤虐殺事件が解決した今、求められるエスパーの形

 食肉鉤虐殺事件が禁止という形で幕を下ろしました。本当はアリーナ予選の前に新エスパーの構想を書く予定だったのですが、感染性胃腸炎でぶっ倒れて4日間ほど地獄を彷徨っていました。やっと回復してきたので新環境を回して調整した結果をお伝えしようと思います。

1.今回の改定がもたらした変化

1.1.環境へもたらした変化

 環境の変化は今はまだそこまで大きなものではありません。しかし、グルールアグロやナヤエンチャントレスのような横並びする攻撃性の高いデッキが徐々に増えつつあります。また、食肉鉤虐殺事件は鏡割りの寓話をまとめて処理する方法にもなっていたため寓話を使ったジャンドも上がってきています。逆に食肉鉤に横並び盤面の対処を任せていたエスパーやグリクシスは工夫を迫られているでしょう。グリクシスは赤の全体火力で食肉鉤の枠を埋めようとしているのを見かけますが、範囲調整が効かずドレインもないので使いにくい印象です。
 今後の兄弟戦争発売までの環境の展望としてはやはりミッドレンジ環境が続くと予想しています。アグロが伸びてきているとはいっても切り崩しやリリアナといった除去を多く積まれると厳しいものがあり、低マナ域のクリーチャーの質が低い今は一時的に勝てたとしても対策が進みtier2~3の域を出ないと予想されます。仮にどこかの大会で優勝して流行ったとしたらグリクシスミッドレンジが押さえつけることになるでしょう。ミッドレンジはアグロの本格的な流行が起こらない限りエスパーとジャンドが二大勢力でグリクシスは一歩下がった立ち位置になりそうです。ジャンドは婚礼や寓話、シェオルドレッドといった現環境を定義する脅威を業火を放てや羅利骨灰で、エスパーはカウンターで対処できるのでそれぞれのデッキが他の大半のデッキと相性が良いためですね。
より詳しい理由は前回の記事に書いています。

ジャンドとエスパーでは現状どちらが有利というのは言いにくいです。自分の感覚としては
熟練エスパー>熟練ジャンド>初心者ジャンド>初心者エスパー 
といった感じです。エスパーはカウンターでジャンドの脅威を消したりインスタントタイミングで動くことでジャンド側の動きを狂わせて勝つことが出来ます。ラフィーンや漆月魁渡といった継続的なルーティング手段でフラッド受けも可能です。しかし、それを行うには相手の次の動きを予測して3ターン後の盤面を確率的に想定しながらプレイを選択する必要があり、使い始めはジャンド相手は苦戦すると思います。ジャンド側は押しつけが強いデッキなので使っている人のスキルにあまりよらずに一定の強さを発揮できる印象です。しかし、その分後手になったときにペースを掴むのが困難で先後で勝率の差が激しいです。 
 皆さんにはぜひエスパーミッドレンジをマスターしてもらって、先後に泣かされないマジックを楽しんでいただきたいです。

1.2.エスパーの構築の変化

 食肉鉤の抜けた枠に何を入れるか? 告別や集団疾走といった全体除去の系列を入れる人が多いですが、自分はそれが正解だとは考えていません。なぜならそれは先述したグリクシスの全体火力のジレンマと同じ問題を引き起こすからです。告別は私もサイドに入れていますが、それは食肉鉤の代わりというよりはエンチャントレスへの対策の側面が強いです。ではどのように食肉鉤の抜けた穴を埋めていくのか? 私が現状考えている構築がこれです。

 食肉鉤禁止前との主な変更点は切り崩しのメイン4枚投入です。主にジャンドやラクドスといった赤黒系ミッドレンジにたいして2マナクリーチャーと寓話トークンを除去するための変更です。赤黒系ミッドレンジに対しての主な負け筋は2マナのクロックで殴られ続けてライフレースに負けることと寓話トークンのマナ加速でテンポ良く動かれてしまうことです。これらの2つの負け筋は食肉鉤禁止で更に致命的なものになっています。従ってこれらの動きに対してこちらもテンポよく対処をすることが必須となってきます。切り崩しは1マナでそれらの脅威すべてに対処可能な頼もしい除去であり、確実に引きたいため4枚投入をしています。4マナ以降のクリーチャーに対して無力なため4枚投入は危険と考える人も多いかと思いますが、このデッキはラフィーン漆月魁渡で切り崩しを効率よく捨てることが可能になっており、その弱点を克服しています。アグロ寄りのデッキに対しても非常に有効なため、エスパーのスタッツ不足、速さ不足を補ってくれています。
 また、少し攻撃的なデッキが増えて若干漆月魁渡を維持しづらくなっているためラフィーン3漆月魁渡1のバランスにしています。サイドの告別は食肉禁止で対処が面倒になったエンチャントレス対策です。
 序盤から押し付けてくるデッキに対して儀式は使いづらいので生贄の儀式の代わりに邪悪を打ち砕くがメインに入りました。最近は魂転移のメイン採用が多いせいで猗旺が減少したことで、今度は追放除去の必要性が薄れている感じです。搭乗していない銀行破りに当たらないのは欠点ですが、そもそも儀式で銀行破りを追放することが殆どないので誤差です。

2.エスパーの動かし方

2.1.狙っていく戦略

 大まかには前回紹介したエスパーミッドレンジと変わりません。2ターン目に瞬速や打消しを構え、3ターン目に漆月魁渡やラフィーン、婚礼、番人を押し付けながら盤面を形成していきます。そして4ターン目5ターン目にシェオル放浪皇エルズペスといった脅威を展開してゲームを決めます。2マナのクリーチャーでのカウンターとの2択はやはり優秀で、多くのゲームで相手のプレイを惑わします。現在は2マナ域はデニックや負け犬といった能動的な動きを擁するエスパーが多いため2マナを立てると相手が過剰にかき消しをケアしてくれます。仮に瞬速型だと知られて適切なプレイをされたとしても別に不利にはなりませんし、対瞬速型の正しい かき消しケアorぶっぱ の判断基準を持っている人はラダー上位でもほとんどいません。
 負け犬やデニックといった2マナの能動的な動きが弱いのは前回の記事で詳しく書きましたが、ジャンドが上がってきた今益々弱くなっています。ローテ前のエスパーのようにテンポよく叩きつけるだけでは、クリーチャーの質が良く除去も優れているジャンドに対してはっきり不利です。グリクシスもその他墓地利用デッキも激減しているのに2/3絆魂のスタッツだけでは物足りなさすぎますし、4マナかけて裏側で出しても2マナの税血すらまともに止められません。負け犬はパワー3は偉くても奇襲が使えるような場面が出来ることは少ないです。
 話を戦略面に戻しますが、かき消しを持っているからと言って延々と構え続けてもいけません。放浪皇で相手エンド時に安全にマナを使えるのが理想ですが、それが出来なくても婚礼やラフィーンを展開して次ターン相手に何かをプレイされて、返ってきたターンに互角以上の盤面を維持できる見込みがあるならかき消しの構えを捨ててでも展開します。

2.2.基本的なキープ基準

 前回の構築の場合と比べて切り崩しがメインに加わったことで若干変更があります。

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