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ヒキガエル

線路沿いの途を歩くと、どこからか泥色をした蛙がやって来た。 
何か不満げな顔をしながら大きく深呼吸するので、 
たまには話しでも聞いてやらなければと思い立ち止まった。 

私は靴の中に入っている小石を払いのけたかったので、
丁度いいと思い片足でバランスをとりながら、
それでも失礼のないように軽くお辞儀をすると、
蛙は私の白い足を横目で確認しながら軽く咳払いをした。 
正確に言うのなら、咳払いをしたいらしかった。 
喉の辺りのうっすら白い皮がボコリとひと揺れしただけだったから。 

彼の話によると、うら若き妻の夜遊びをどうしたらいいのかということだった。 
いや、違うかもしれない。 
彼女が留守中の時、小さな娘をどうやって寝かしつけるのかということだった。 
いや、それも違う。 
大根は沸騰した湯に入れるのか、それとも水から茹でるのかという話しだった。 

私は一通り考えたフリをして、蛙のように深呼吸をすると、 
夜空を見上げ、人生を悟ったかのように語らなければならなかった。 

「つまりですね、ミスターヒキガエル、私が思うにですよ・・・」

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つづく・・・かもしれないw