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『間違えやすい中国語文法を習得しよう!その4~助詞“了”~』

大家好!こんにちは!Lilian中国語スクールです。
今回は助詞“了”についてお話しようと思います。

生徒さんからすると「この助詞“了”は「完了」の“了”では?それくらいなら分かるよ!」と思い、何となくで使ってしまいがちですが、ある程度中国語の理解が進むにつれ、この助詞“了”の使い方を見直してしまうかもしれません。-それは何故か?

実はそれを中国人に聞いても意外としっかり答えられる人は少なく「そういう習慣だから」と言われてしまうこともあるのですが、気になりますよね。「そういう習慣」って何??その習慣となっている文法構造って一体何なの??よく教科書に出てくる例題を基にご説明したいと思います。
早速ですが、以下の中国語を日本語に訳してみましょう。

例1)我学汉语学了两年。
例2)我学汉语学了两年了。

こちらが日本語訳となります。

例1)私は2年中国語を勉強しました。
例2)私は2年中国語を勉強しています。

ご覧の通り例1)は過去形で、例2)は現在進行形で勉強している状態を表しています。つまりこの“学了”の“了”と、“2年了”の“了”の役割が違うのです。教科書や文法書には、この2つの“了”を説明するために以下のように小さな番号がついていたりします。

例1)我学汉语学了1两年。
例2)我学汉语学了1两年了2。


2種類の“了”について説明しましょう。


“了1”は「动态助词」と言われています。つまり「動詞の状態」を表します。これは日本人には馴染みのある動詞の「完了」ということを表しています。なので「私は2年中国語を勉強しました。」という訳になるのです。中国語の文法書では、この“了1”を「動作の完了を表す」と定義しています。


“了2”は、「语气助词」と呼ばれています。この“了2”は動詞が継続している状態を表し、この文中では動詞“学”の継続、つまり勉強を続けて行っているということです。

現在は継続してしていない場合の例文
我学汉语学了两年。可是现在我有工作,没有学习的时间。
(私は2年中国語を勉強しました。しかし今は仕事があり、勉強時間がないんです。)

現在も継続している場合の例文
“我学汉语学了两年了。现在每周一次,下班以后我去汉语学校。”
(私は2年中国語を勉強しています。今も一週間に一度、仕事が終わった後、中国語の学校に通っています。)

次にこの“了”の使用について中国人の大学生が日本人留学生の“了”の使用状況を調査し、日本人が間違いやすい“了”の使用方法についてまとめた論文の一部をご紹介します(こういう論文があるのも驚きですね!)。

了”を付け忘れてしまう場合

(A)【错】我仔细听他们的话。
【正】我仔细听了他们的话。
訳:彼はまじめに彼らの話を聞いた。

この間違いは上記の“了1”と同じ働きです。「動作の完了を表す」ということで、訳も「彼はまじめに彼らの話を聞いた。」という様になります。日本人には過去形という様に感じてしまい、感覚的には過去の時はこの“了1”をつけるという様に思ってしまいがちです。ですが定義としては「動作の完了を表す」ということを覚えておいて下さい。

(B)【错】我刚从日本来一个多月。
【正】我刚从日本来了一个多月。
訳:私はまだ日本に来てまだ一か月ぐらいです。

この間違いは“了2”の間違いです。この“一个多月”は、一か月前から今まで継続している状態をあらわしています。なのでこの場合は“了”が必要になります。

(C)【错】我最近开始踢足球
【正】我最近开始踢足球了。
訳:私は最近サッカーを始めました。

この間違いは上記の2種類とはまた違うあたらしい用法「情況の変化」の“了”です。「最近新しくサッカーを始めた」という新しい状況を説明しています。その場合は“了”が必要になります。

“了”を付けすぎの場合

(A)【错】但是谁也没说了“我要做班长”。
【正】但是谁也没说“我要做班长”。
訳:しかし誰も「私は班長になりたい」と言わなかった。

この解説には「動詞の補語がないから」とか書いてありますが少し分かりにくいかもしれません。「すでに起こってしまったこと」については、“了”ではなく“过”を付けるという様に理解すると良いと思います。


この例文では“谁也没说过”の訳は「言わなかった」という様になります。ここで大切なのが(1)の(A)で説明した「動作の完了を表す」という表現です。日本語の過去形「~した」というものだけを見て訳すのではなく、中国語文法に当てはめて動詞の状況が「完了」を表しているのか、それとも「すでに過去に発生した事」を表しているのか。これらの中国語表現の違いを覚えておくとステップアップにつながります。この“了”と“过”についても日本人にわかりにくい文法の一つです。

(B)【错】第一,二天我心里都很开心,说话也说得很多了。
【正】第一,二天我心里都很开心,说话也说得很多。
訳:第一日目、二日目は楽しかった。おしゃべりも沢山した。

この場合では「形容詞が状態を表し、且つ変化をしていない」と“了”は必要ありません。日本人にとっては「おしゃべりも沢山した」という訳だと、やはりこの“した”という表現に騙されてしまいがちになります。


逆に状況が変化すれば“了”は必要です。例えば、“头发白了,皱纹也多了。”(髪も白くなり、皺も多くなった。)と状況の変化を表している時は、“了”が必要なのです。少し分かりにくいので注意して下さいね。

(C)【错】我小时候,常常感冒了。
【正】我小时候,常常感冒。
訳:子供の時よく風邪をひいた。
【错】我小时候经常跟着他去钓鱼了。
【正】我小时候经常跟着他去钓鱼。
訳:子供の時よく魚つりに行った。。

これらの様に動作が「継続性または習慣性」のことについては“了”は使いません。日本語で「よく、いつも」などの言葉が入ったときには“了”は必要ないと覚えおくと良いかもしれません。

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中国語の“了”は日本人にとってとても厄介な文法です。日本人にとって“了”は完了の“了”の印象が強く、完了ということは“過去”を表していると思いがちです。ここで日本語と中国語の大きな違いは、表現する際に「時(tense)と体(aspect)」で文法上の違いが起きるという事にあり、多くの方はこの問題に突き当たります。

日本語は「時(tense)」、つまり時制「現在形や過去形」を表します。対して中国語は「体(aspect)」、つまり動詞の様態「持続や起動、終了」などを表します。言語なので重なる部分は多々ありますが、やはり“似是而非”(sìshìérfēi)「似て非なるもの」。大きな違いがあることに注意し、認識し、自分なりにどの場合には“了”が必要なのかを頭の中で整理してみて下さい。


上記の「了を付け忘れてしまう場合」と「了を付けすぎの場合」の例文はHSKの問題から抜粋しています。HSKでは具体的に“了”を問う問題はありませんが、自分で文章を書いたときに迷ってしまうのがこの“了”の文法です。その為にも、中国語の文章を読んだり、聞いたりした時にこの“了”をどのように使っているかということを意識して見てください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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