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中国文化の色彩知識~○○色の帽子は被ってはいけない?!

大家好!こんにちは!Lilian中国語スクールです。

「中国文化における色彩の持つ意味」というと難しそうですが、例えば、日本では結婚式には白いネクタイを着けて出席し、お葬式には黒いネクタイを着けて出席するのが常識となっていますよね。このように色彩はあるコミュニティにおいて共通認識される記号という意味があります。中国文化への理解として、中国における色彩の持つ意味を説明していきたいと思います。

必ず役に立つ内容となっています。
是非最後までご覧ください!

日本に残る古代中国文化


中国における色彩の説明の前に、まず日本の文化に関係する中国古代の色彩に対する感覚について少し話したいと思います。七夕の歌に「五色(ごしき)の短冊、私が書いた」という歌詞が出てきますが、この五色(ごしき)とは何色のことかご存知でしょうか? オリンピックの五輪の色「青・黄・黒・赤・緑」が浮かぶかもしれませんね。五色(ごしき)は鯉のぼりの吹き流しやお寺の門幕、お守りの紐などに今も使われているのですが、「青(緑)・赤・黄・白・黒(紫)」のことで、これらは古代中国の陰陽五行説に由来しています。
陰陽五行説とは、万物は「陰・陽」の二気と「木・火・土・金・水」の五行、すなわち世界は陰陽五行の要素で成り立っているという思想です。五行には「木=青(緑)、火=赤、土=黄、金=白、水=黒(紫)」とそれぞれに対応する色が定められており、これが五色。色のみならず、方角も五方としてそれぞれ「東・南・中・西・北」、さらに人の徳を示す五徳も「礼・仁・義・智・信」と五行で定義されていました。つまり「木=青(緑)=東=礼」となり、青(緑)は東を表し、また礼のイメージカラーでもあるという具合に、すべてリンクしていたのです。
このように古代中国において、主な色彩にはそれぞれ象徴的な意味が込められていたのでした。

最も尊い色の不思議

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中国において徳の高い色と言えば黄色、これは皇帝しか使うことが許されていない色でした。上記の「土=黄=中」、大地のシンボルカラーは黄色、中央を示すというところから、国土の中心で統治する人が身につけるべき色が黄色となり、皇帝が使う色となりました。中国人の祖は黄帝、中国文化の根源は黄土高原と黄河と言われるように、中国文化において黄色は中国人自身のことを示すような、根源的な意味があります。また「黄」は中国で非常にメジャー苗字の一つでもあります。というわけで、皇帝を象徴し、中国の根源を示す尊い色なのです。
しかしながら、現代中国においては、なぜか「色情」「わいせつ」を意味する色となっています。これは後に西洋文化から来たらしいのですが、現代ではこの2つの相反する要素が共存しています。例えば「扫黄(sǎohuáng)」、黄色いものを掃除するという意味ですが、主に違法風俗店の取り締まりを指します。というわけで、良くも悪くも黄色には非常に強い意味がありますので、何かに黄色を使う際は慎重になる必要があります。

中国人が大好きな色

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中国人が大好きな色と言えば赤。お正月、結婚、開店などハレの日は赤いもので飾ります。お正月には真っ赤な紙に祝いの言葉を書いたものを門の左右と上に貼り付けます。爆竹の色も赤、爆竹で遊んだ後の煙や燃えかすも真っ赤なので、お正月は本当に街じゅうが赤一色になります。お正月のお年玉や結婚のご祝儀は「红包(hóng bāo)」。結婚はまさに「红事(hóng shì)」と言い、結婚式で新婦が着るチャイナドレスも真っ赤なのがスタンダード。子供が生まれた時、親は「红鸡蛋(hóng jī dàn)」、文字通り赤く色づけた卵を近所や同僚などに送る風習があります。子供が生まれて卵を配るなんて、日本人には生々しい感じでびっくりしますね。
さらに、現代中国において赤は共産党のシンボルカラーです。例えば革命の際に重要な事柄が行われた場所を巡る意味での旅行スポットを「红色旅游景点(hóng sè lǚyóu jīngdiǎn)」と言います。ほかに中国では、十二支のいわゆるその年の年男年女の運勢は良くないとされ、赤い下着を身につけます。これは赤の強いパワーで邪気を祓うという意味があります。一言でいうと、中国人にとって、なくてはならない色が赤です。

縁起の悪い色


縁起ものの赤に対し、縁起の悪い色が白です。日本では結婚式でつけるネクタイは白ですが、中国において白は哀悼を示す、葬儀で使われる色です。上記で結婚は「红事」とお伝えしましたが、「白事(bái shì)」は葬儀を示します。実際、中国で葬儀の様子を見ることはおそらくないと思いますが、参列者は真っ白な、かみしものような衣装を着ています。結婚式のウエディングドレスは西洋の影響で白を選ぶ(最近は撮影だけすることが多いようです)ことが多いですが、宴会では赤いチャイナドレスを着るのが普通です。なので、日本人が注意すべきこととしては結婚式の白ネクタイ。白だけはむしろ避けましょう。
ほかに白には「無駄に」という意味があります。「说什么也白说(shūo shénme yě bái shūo)」何を言っても無駄、「白跑了一趟(bái pǎo le yí tàng)」無駄足を踏んだなど、動詞の前につけてその行為が無駄になったことを示します。また白には「ずるさ」「陰湿」「極悪」という意味合いもあります。これは中国の京劇の隈取りから来ていて、三国志の曹操などが白い顔をしていますが、悪人キャラを示しています。

正直だけど悪い色


白は縁起が悪い色なら、黒にはどんな意味があるでしょうか? 中国の夏朝や秦朝といった古代には、黒が重用されていたそうです。京劇の隈取りで、黒は「方正」「正直」「勇敢」のシンボルで、義理堅く勇敢な兵士などのイメージと重なっています。しかしながら、現代においてはおおよそ悪徳という意味合いが強いです。例えば「黑社会(hēi shèhuì)」はヤクザ、「黑名单(hēi míngdān)」はブラックリスト、「黑市(hēi shì)」は闇市など。日常会話でも、安値で買い叩いたものを高価で販売する人などに対して「你很黑(nǐ hěn hēi )あんた悪いねー」というふうに使います。もともと悪人の顔に文字や記号を彫り、黒い墨を入れる「墨刑」というものがあり、そこから黒に犯罪の意味が加わったと言われています。なお、現代中国においては、西洋文化同様、喪服として黒い服を着ることも理解されているので、万が一葬儀に参列の際は黒い服が無難でしょう。

確かにあの色は売ってない

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 最後に重要なのが緑。緑といえば、世界共通で「エコ」「健康」「平和」などの意味があり、中国でも例外ではありません。中国のスーパーなどでよく目にする「绿色食品(lǜsè shípǐn)」は、健康的で汚染のない食品という意味です。また「绿色汽车(lǜsè qìchē)」エコカー、「绿色工厂(lǜsè gōngchǎng)」汚染のない工場、と言った言い方もします。
ただ、古代において緑色は良くない色でした。漢の時代には身分の低い人は強制的に緑の頭巾を被らされ、その後の唐代でも犯罪者は緑の帽子や頭巾を被らされていたそうです。その後、この「緑の帽子」はなぜか「妻に浮気される情けない夫」という意味に発展します。
ある夫婦がいて、夫は商売のため頻繁に家を不在にしていた。妻は浮気相手の布屋に緑の布で帽子を作らせ、夫に「とっても似合いますよ」と言ってプレゼント。夫は喜んで毎回外出の際に緑の帽子をかぶったが、浮気相手の布屋にとっては夫が外出するサインだった。というのが由来で、確かに中国市場で緑の帽子を売っているのを見たことはありません。非常に侮辱の意味合いが強いですので、シャレでも緑の帽子を男性にプレゼントしないよう厳重注意です。

まとめ

以上、いくつかの色彩について説明しましたが、意味についてはいずれも良い意味と悪い意味が混合しているので、タイミングや使い方が重要となります。中国語をある程度話すようになると、こうした色彩に関する基礎知識は当然知っていると思われてしまいます。間違った場合、タブーの意味も強く「知らなかった」では済まされないので、周りの中国人に確認するなど十分注意しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。           
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