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『ラーメン発祥の地~中国の麺文化~』

「你喜欢吃什么?」(nǐ xǐ huān chī shén me? 好きな食べ物は何ですか?)「我喜欢吃拉面!」(wǒ xǐ huān chī lā miàn!私はラーメンが好きです。)
日本人の好きな食べ物ランキングで寿司、焼肉と並んでトップ3に入るラーメン。豚骨、醤油、味噌だけでなく、様々な特色あるスープや麺が研究され、数々のご当地ラーメンが開発され、今やすっかり日本の国民食となりました。そんな日本で独自の進化を遂げたラーメンですが、歴史を遡ると隣りの中国から輸入されたものです。今回はラーメンの語源やラーメン発祥の地中国の美味しい麺文化を紹介していきます。

日本のラーメンはラーメンではない!?


日本でラーメンが食べられるようになったのは明治時代と言われています。神戸や横浜などの貿易が盛んな港町の近くに中華街ができ、そこで中国の麺料理が出されていたのが日本でのラーメンの始まりです。戦後には中国から引き揚げてきた人たちによるラーメン屋台も数多く出店されました。もともと日本では麺料理として「蕎麦」が食べられていたことから、ラーメンも「中華そば」や「支那そば」と呼ばれていました。

「ラーメン」の語源については諸説ありますが、有力な説として中国語の「拉面」(lā miàn)から来ていると言われています。中国語で「面」という字は穀物などの粉、特に小麦粉を指します。中国語で小麦粉は「面粉」(miàn fěn)と書きますし、小麦粉でできたパンは「面包」(miàn bāo)です。そして「拉」は引っ張るという意味があります。つまり「拉面」は小麦粉を水で練ったものを引っ張って細長く伸ばしたものという意味になります。

日本のラーメンの麺は製麺機で延ばしているものが主流なので、厳密に言うと「拉面」ではないのです。ちなみに引っ張らずに包丁で削ったものは「刀削面」(dāo xiāo miàn)となります。日本でも最近では刀削麺の店も見かけるようになりました。本場中国では麺職人が肩に担いだ小麦粉の塊を削って、遠く離れた鍋の中に放り込んでいくパフォーマンスを見ることができます。

「拉面」の本場~蘭州


中国の麺文化には4000年の歴史があると言われ、様々な種類の麺料理があります。中でも有名なのは「兰州牛肉拉面」(lán zhōu niú ròu lā miàn)です。中国のどの都市に行っても「兰州牛肉拉面」と看板を掲げた店を見かけます。「兰州」つまり蘭州は中国西北地方にある甘粛省の省都で、日本ではあまり有名ではない内陸の都市ですが、シルクロードの通過点でもある歴史ある街です。

この蘭州には漢民族以外に「回族」というイスラム教徒の民族の人口が多く、主に回族達が「兰州牛肉拉面」の店を開いています。イスラム教徒は宗教的信条で豚肉を食べないことから、この「兰州牛肉拉面」も豚骨を使わず、牛骨でスープを作ります。「兰州牛肉拉面」の定義は中国語で「一清、二白、三红、四绿、五黄」(yī qīng èr bái sān hóng sì lǜ wǔ huáng)です。

澄んだ牛骨スープ、白い大根、赤いラー油、緑色のパクチー、黄色い麺という意味で、五つが揃って正式な「兰州牛肉拉面」となります。蘭州市内には何千件もの「兰州牛肉拉面」店があり、狭い路地に2、3件の店が並んでいることもあります。麺の太さは5、6種類ほどから選べます。

厨房に繋がるカウンターで希望の太さを伝えると、その場で麺を手で延ばして鍋に放りこんでくれます。十人近くの客の注文を同時に聞き分けてそれぞれ希望の太さの麺を打つ姿は正に職人芸です。蘭州の人は主に朝食としてこのラーメンを食べるので、夜明けごろから店が開いています。数年前までは一杯3元(50円前後)でしたが、物価の上昇と共に値上がりしているかもしれません。中国各地で甘粛省出身者や隣りの青海省出身者が「兰州牛肉拉面」の店を出していますが、本場蘭州で食べる牛肉拉麺が格段に美味しいです。機会のある方は是非お試しください!

小麦粉だけではない!美味しい麺料理


中国大陸は広く、各地の気候に合わせて様々な特色ある料理が発展しています。北方では小麦粉の栽培が盛んなため、小麦粉を使った麺料理が多い傾向です。南方では米が主流となるので、麺の原料として米粉を使うことも多くなります。日本でも米粉を細い麺状にしたビーフンは有名です。日本で「ビーフン」として売られている細さの物は中国語で「米线」(mǐ xiàn)と呼びます。

米粉をうどんやきしめんほどの太さにした麺もあり、イメージとしてはベトナムのフォーに近いかと思います。さらにジャガイモやサツマイモの澱粉を使って作る麺もあります。日本での春雨のような物ですが、春雨ほどの細さから幅5センチくらいの物まであります。
ここで個人的に美味しいと思った有名な麺料理をご紹介します。

○水墨画の風景と味わう「桂林米粉」(guì lín mǐ fěn)
水墨画に描かれている不思議な形の山々で有名な観光地、桂林の名物料理です。麺は米粉から作った物で太さは太めのスパゲティくらいです。落花生、薬味、チャーシュー、漬物などをトッピングし、汁ありと汁無しが選べます。味は酸味と辛みが強いですが、桂林の高温多湿でじっとりとした気候の中で食べると丁度良く、食欲をそそる味付けです。麺は表面がツルツルとしていて、しっかりとした弾力があり、独特な食感を楽しめます。

○辛さが病みつきになる「重庆酸辣粉」(chóng qìng suān là fěn)
「重庆市」つまり重慶市はもともと四川省に属していましたが、独立して国の直轄市になった大都市です。四川と言うと“辛い物”を想像しますが、重慶市の食文化も“激辛”が基本です。「重庆酸辣粉」も相当辛いのですが、肉みそをベースに山椒と酢のきいた旨みのあるスープとサツマイモ澱粉から作ったモチモチの麺が病みつきになる美味しさです。重慶市は中国の「三大暑い都市」にも選ばれるほどの気候なので、汗を流しながら激辛のスープを食べることで夏バテ予防にもなるかもしれません。重慶市だけでなく中国各地に店があり、中国語で“小吃”つまり小腹がすいた時に食べるファストフードの感覚で親しまれています。

逆輸入!?中国に進出した日系ラーメン


冒頭で触れたようにラーメンは中国から日本に伝わり、時間をかけて日本で独自の発展を遂げました。最近ではこの日本式のラーメンが中国で人気になりつつあります。日本のラーメンチェーンが中国の大都市を中心に続々と出店し、中国人の間で「日式拉面」(rì shì lā miàn)として広まっているのです。中でも九州豚骨ラーメンの「味千ラーメン」は中国国内に数百店舗を構え、毎日行列ができるほど賑わっている店舗も少なくありません。同じく九州豚骨ラーメンで人気の「一風堂」も中国の沿岸都市を中心に店舗数を伸ばしています。中国に行った際は中国のラーメンと日本のラーメンの食べ比べをしてみるのも楽しいかもしれません。

今回はラーメンについてとり上げましたが、歴史を通じて中国からたくさんの食文化が日本に入ってきました。“美味しい物”に国境はありません。これから中国語を学んで中国と交流していく方は、是非積極的に中国の食文化に触れて、新しい味との出会いを楽しんでみてください!

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