DXはきっとこない。だから私は出世したい。

デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDX、よく言われてますね。私の会社でもめちゃくちゃ言ってますし、CMでも本でもすごい言ってますね。

でも、結構大事なところにDXこないと思うんです。

DXが進んだと感じる部分もたしかにあります。TableuとかAlteryxを使って大量処理や可視化が進む様子にはおお！と思いましたし、RPAやAI活用によって効率化されたり、もう少しお手軽なところではWebのツールを使って色々楽になったと感じることがあります。

しかし、日本は遅れてると言われてますね。オリンピックにおいても日本のロジを嘆くツイートがあって、

I am the Olympic COVID-19 Liaison for my organization. #Tokyo2020 has so far been a crapshoot and is making me lose my hair: a thread.

— Grace Lee (@graceleenews) July 5, 2021

こういうロジ的な、事務処理的なところに遅れが出るなやはり、と思った次第。

こういう部分に遅れがでる理由のひとつに

派遣社員による"自動化"が進んでいること

があると思っています。

私が所属した会社のうち、新卒の入らない会社や部署では、大量のデータ入力、集計、精算、進捗管理、ルーティンの事務連絡、書類作成、いわゆる事務に関する部分の多くを派遣社員さんが担当してくれていました。

前職では私の仕事にも大量の事務作業があったので、私専属のアシスタントとしても、派遣社員の方についてもらいました。

私のアシスタントも含め、みなさん女性でした。

英語もできる、入力は早い、与えられたシステムにはすぐ慣れる、マナーを熟知している、優れたスキルをお持ちの方々でした。

そして、彼女たちは事務の経験が長く、複数の職場を経ている方も多いので、気がつくのです。

これはデジタルトランスフォームできることである

または、もっとはっきり、

無駄な作業がある

と。

みなさん何気なく改善点を教えてくれます。

私のように実務を担当している社員は、それだ！となります。事務はできるだけ自動化、効率化して、彼女たちには正社員になってもらいたいと考えます。

だって、彼女たちの手が空いたら、やってほしいことはたくさんあります。ご存知のとおり、派遣社員でも長く在籍する方は多く、転職しまくる社員より会社のことをよく知っていたりします。また、データをよく見ているからこそ傾向をつかんでいたりもします。

となると、ご意見いただきたいし、一緒にやろう！と思うのは自然でした。

なので上司にうったえます。事務を自動化、効率化したいと。そして社員としての採用を考えてくれないかと。

が、普段事務に接しない上司達は全然ピンときません。そうだろうと思います。

領収書を渡せばなんだか知らないけど精算は終わってて、

入力してと言っておけばよくわからないけどデータはできてて、

書類作ってといえばよくわからないけどハンコがつかれた書類が机の上に乗ってて、

というのが当たり前。

そもそも彼らにとって、事務は自動化されてる

わけです。

だからね。見積もりにして数百万とか、場合によっては数千万円のシステム入れるとか、そんな話になったら何を言ってんの、無理！ってなっちゃうんですよ。

今すでに自動化できてるじゃん！安い人件費で！みたいな。

お金の判断ならまだいい。ハンコがいかに面倒か。紙の書類で対応しなくてはいけないことがどれだけ負担か。

データ上のやりとりにしたいという要望でさえなかなか聞いてくれませんでした。

派遣社員のいうことを会社が聞く必要はない

彼女達はそれを仕事として派遣されてきているのだから

大体、グローバル（海外本社）からヘッドカウントを増やすことは認められていない

と。

私は、優秀な人たちに自動化可能かもしれないプロセスを担当させ続け、より適所かもしれないポジションにつかせないことに強く違和感を持ちました。

大体、グローバルからヘッドカウントを増やすことは認められていない？？こんなに派遣社員に長期間入ってもらっといて、グローバルには従業員数として報告してないって詐欺じゃない？？？

私自身も新卒の時、下積みとばかりに1〜2年は事務作業の比重が多くありました。でもそれは、いずれプロジェクトをリードする時に必要になる知識であり経験だとわかっていたからできたことです。さらに、効率化できると感じた部分は意見して、聞いてもらうこともできました。当時はまだ年功序列で、みんな下積みを経ているので理解もありました。

尊敬する先輩社員に愚痴を言いました。

「せっかく優秀な人なのに、あの仕事ばかりさせるのはもったいない」

先輩は言いました。

「だから派遣は雇ったらダメなの。絶対にそういうつらい事態になる。私のチームでは派遣社員入れないことにしてる」

私はアシスタントをつけると言われて喜んだ自分を恥じました。

もっと根本的な解決を考えなくてはいけなかった。

派遣社員を入れるのであれば、アシスタントではなくて、それこそDXを引っ張ってくれるような、エキスパートを短期間派遣してもらうべきでした。私自身も人による自動化を選んだのだと、自分の選択を後悔しました。

DXが起きると無くなる仕事はなんだとか言われて、事務は無くなる！なんて言われています。

無くしてみろと言いたいです。

派遣社員なくしては成り立たない仕組みを構築しすぎているし、そもそもデジタル以前に派遣社員によって自動化された世界を生きている人達が、わざわざお金をかけて、データを整えて、トランスフォームをしていくモチベーションを持つとは思えない。

だから私は、派遣社員の事務作業に近いところにいた私は、出世したいのです。

このモチベーションを持ったまま早く出世して、予算と頭を使って自動化をじゃんじゃん進めたい。大量のデータをざんざん使いこなしたい。

それで、新しい場を求めて辞めてしまったあのアシスタントさんと、いつも新しいアイデアを思い付かせてくれた方々と、また一緒に働きたいと思うのです。同じ社員の立場で。

オリンピックには、全然間に合いませんが。