ストレスって本当に気づかないんだと知った②
前回からの続き
これまで通っていたクリニックは人工受精までしかできなくて、体外受精にステップアップする私は、新しいクリニックに通うことになった。
初めてそのクリニックに行った日、穏やかな先生から何か質問はありますかと聞かれて、ふと思いついたことを聞いた。
「私、すごい運動不足なんです。やっぱり運動した方が良いですよね。血行とかのために」
先生は言った。
「どっちでもいいです。したければした方がいいし、したくなければしない方がいい」
拍子抜けしている私に先生は付け加えて言った。
「あなたがストレスを持たないことが一番大事です」
なるほど、と笑いながら、私は泣けて来るのをこらえた。こらえて、あぁ、ストレス、感じてたんだ、、と気づいた。
そりゃそうだ。
繰り返す流産。生理が来るたびに襲う絶望感。度重なる高額の検査。溢れる子育ての話題。妊娠の報告。子どもを連れた人の大きなお腹。妊婦マーク。
妬む気持ち。妬んだってしょうがないと笑顔を作る。妬むような人なところには赤ちゃんが来ないかもしれない。
湯船に入る。湯たんぽをする。腹巻をする。靴下を履く。
道でお年寄りに手を貸す。これで神が私に子を授けてくれるかもしれないと思う。
夫と笑いあう。これで天から子どもがあの楽しい2人のところに行きたいと狙いを定めてくれるかもしれないと思う。
流産を思い出す。あの時、あんなことをしなければ。早く歩いた。重いものを持った。段差が多かった。冷えた。揺れた。私が大事にしなかったから。昔やったあれこれのバチが当たったのかもしれない。
こんなことが数えきれないほどある。なのに、それをストレスと気づいていなかった。
ストレスと認定したら負けだとでも思っていたのか、私は全然平気だと信じていた。抑うつ状態の人は可哀想だと、同情までしていた。
でも、あなたがストレスを持たないことが大事と言われて込み上げるものがあるなんて、やっぱり、本当は気持ちと体は辛かったんだろうと思う。同情してる場合じゃなかった。
それから特に生活が変わったということもない。ストレスがあると気づいたのだからこれを機に妊娠するかもしれないと願うような、全てを妊娠につなげる思考がなくなったわけでもない。
でも、薬を飲んだり病院に電話したりする自分を偉い偉いと思う。頑張ってる頑張ってると思う。人を妬んでも、そりゃあ妬む妬む、と思う。
ダラダラ過ごしたい時はダラダラ過ごす。アイスも食べる。
カウンセリングにも行ってみようと思う。今まで色んなところで、日本もアメリカみたいに気軽にカウンセリング受けた方がいいよね、と話してきたのに、自分は行ってなかった。私のようなレベルの人が行くところではないと思っていたから。
ストレスって多分本当に気付きにくい。カウンセリングに行くの楽しみだな。
あなたにストレスはありません、と言われちゃったりして。それはそれでいいか。
近頃、妊娠を考えたけれど子を持たなかった女性が話をしている。こういうお話を読めるようになっただけでも、ストレスと少し、向き合えているかな。
リリコさん
アンミカさん
正直、見たくないと思う気持ちもあったけど、ちゃんと読んでとても良かった。勇気も温かさも感じた。
初めての感情は大人になってもたくさん出てくる。そこで共感したりする。これも、面白いなぁと思ったりしている。
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