お母さんはすごいで終わらせちゃダメだと思ってる
約2年の不妊治療を経て、妊娠6ヶ月になりました。まだ安心はしきれないけれど、絶望のつわり期を経て少しずつ大きくなるお腹を見て、妊娠しているんだっていう実感は日々増しています。
妊娠前は、「世の中のお母さんはすごい!」って言うのを聞くのが本当に嫌でした。
はいはい、当方確かに仕事しかしておりません。夜はワイワイ飲んでます。どうせ自分の面倒しか見てませんよ、はいはい。
と思ってました。
でも妊娠して体調が激変して、出産が近づいて色々考えたりすると、世の中のお母さんはすごい、と思ってしまいます。
が、しかし、私はそこで終わりたくないね。
お母さんはすごい、に頼る局面を小さくしたい、と思う。
お母さんのすごさで乗り切らなくてもいい問題もたくさんあると思うんだよ。。
それは、性教育で妊娠の経緯から妊婦の状況、出産、産後に至るまでをしっかり学ぶこと、そして制度や仕組みをしっかり通知、あるいは新たに設けること、に集約されると思う。
例えばつわり。めちゃくちゃつらい。私は乗り物酔いしやすく二日酔い経験もそれなりにあるけどまったく比にならない気持ち悪さ。食べられないし飲めない。1秒過ごすのに必死。絶望しか感じない。望んで妊娠したことを後悔するくらいつらい。これが約2ヶ月続く。対して今のところの対策は「耐える」一択。
これはね、世のお母さんてすごい、と思いました。
ただ、耐えられる人に耐えさせて終わりでよいのか、と。
こちらに対して性教育面で何ができるか。私は、つわりがこんなにきついって、男女共にもっと知っておくべきだったな、と思いました。
私は知らなくて、これまでつわりだって言う妊娠中の人に、そうなんだ頑張ってね、くらいなかるーーーい励まししかせずに、自分はきゃっきゃしてましたね。知っていたら、買い物とか、仕事を代わるとか、愚痴を聞くとか、休みを取らせるとか、できたかもしれない。経産婦の同僚はさすがに私にしっかり配慮してくれます。ほんと、過去の私、妊婦に厳しかったと思う。申し訳なかった。
夫は当然私に輪をかけてわからないので、私がつわりでぐったりしてるとリラックスタイムとでも思ったか、自分もゆったりゲームとかしたりして。いや、家事!残ってますけど!みたいな。
その後私が吐きづわりから食べづわりに移行した頃、食べたいわけじゃないんだけど食べないと気持ち悪い、と言ってたら「元気になったんならなったって言っていいんだよ」と言って私を悲しませました。元気になって美味しくて食べてるのではないのに、ばつが悪くて気持ち悪いふりをしてると思われたのか、と思って悲しみに暮れた。そう、メンタルもほとほとやられる時期。
そして制度面。安定期までは黙ってる慣習あるけれど、つわり休暇も有給で存在してて良いんじゃないですかね。せめて10日分くらい。会社員に関してはですが。フリーランスの人はなおさらきついと思う。
働いている女の人が自分で生計を立てながら子どもを産む、っていうことがなかなか想定されてない。自分より収入の安定した男性と結婚してる人が産む、っていう前提。もう結構その前提崩れてません?共働きも多いし、意図したかどうかは別としてシングルで産む人だって少なくないはずなのに。
そしてこれは制度というか姿勢でしょうか。自分のつわりで調べて初めて知ったんだけども、アメリカではつわりの薬、承認されてるんですよね。なんで日本にはないんですかね。
つわりに続いて安定期もしかり。
具合が良くなってきた!と思うのも束の間、お腹も胸も大きくなって服がきつくなって苦しくなってくる。つわり時期に比べたら500倍楽だけど、でも日常ではない。疲れやすいし、お腹は張ったりする。
となると、出産準備を自然とし始める。産休までの仕事のスケジュール、取るべき手続き、買わなくてはいけないもの。一から調べて手をつけていく。これも、自分で乗り越えてくお母さんすごい、ですよ。本当に1人の世界。
でもここでも性教育面で何ができるか。やはり、安定期についてもしっかり教わっておきたかった。例えば夫(夫への愚痴ばかり)。つわりが終わって動けるようになったらすっかり家事の参画範囲を元に戻した。「疲れやすい」「お腹がはる時は休みたい」が、つわりよりも全然伝わらず、一緒に出かけるとぐんぐん歩いてしまうし、私が息切れすると「体力不足してるんじゃない?」と笑ってきたりして呆れるほかない。調べたりしないんだなーーーー!!
いや、私だってそう。お腹の大きい人はお腹が大きい幸せな人だとしか思ってなかった。見たら席を代わるとかはしてたけど、全身結構めんどくさい感じにだるいのが基本、かついつ具合悪くなるかわからない状況であることは理解してなかった。あの人は心身共に危うい人だ、ってわかってなかった。
そして制度面。このあたりであらためてしっかり気がつきますね。わかってはいたけど、産休育休な入ると収入がなかなか減ることに。いただけるだけありがたいですが、育児休業給付金に上限があるとか、半年で割合下がるとか(半年で保育園入って復帰できる体制ではないのに!)、2ヶ月ごとの振込だとか、給付は産休入ってから3ヶ月後からだとか、私知りませんでした。
これ、新入社員研修で教えてもらえてもいいんじゃないですかね。コンプライアンス研修とか毎年受ける研修あるけど、それに含めてもいいんじゃない?他力本願過ぎ?調べればすぐわかるけど、慶弔と同じ感じの案内だと足りなくない?調べればわかる、くらいだと、妊娠した時か妊活開始する時しか見なくない?若手の時に結婚して普通に妊娠してその後このシステム知ったら青くなったと思う。生活危うい、ってなったと思う。いやアラフォーの今だって、友達から収入減については聞いてた私だって、ひやりとしますよ。うちはしっかり共働きで生計たててるので。こんなひやっとしてるの私だけかな。みんなちゃんと知ってるのかな。
と、言うわけで、こちらが妊娠6ヶ月現在の思いです。世のお母さんはすごい、のは確かだけれど、身に付けさせなくていいすごさもある、と思うわけです。
妊娠に限ったことじゃなくて、個性や属性に特有の課題があったときに、その個人や集団が対処したり頑張って乗り越えたりすることに対して、あの人はすごい、と片付ける前に、もう少しまわりが知ることで、全体が楽になることがあるのではないかと考えるわけです。
もしそれが進めば、「世のお母さんはすごい!」に妊娠前の私が嫌悪感を持つこともなかったんじゃないだろうか、と思うのです。
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