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私のタロット占い的中率
タロット占いを始めたのは私が中二の頃で、何かの少女向け雑誌に付録として付いてきたタロットカードが、夢見がちだった私の心をするりと占領した時からだった。
説明書を見ながらあれこれと占っているうちに少しずつカードの流れが読めるようになってきたので、学校に持って行って昼休みに友人の恋愛占いをするようになっていった。
金銭を目的としていた訳でもなかったし、転校生ということもあって友人が少なかった私にとっては昼休みの時間を潰すにはいい道具になった。
頼まれれば深い事情を聞き出すことも無く、ただカードを展開してそれに沿って読んで結果を言えばいいだけだったから、何の気負いもなく占えたと思う。
それに、人の心に深入りしないのが返って良かったんだと思う。
そのうち「りくりさんの占いは当たるんやよ」と噂になったらしく、違うクラスの子が訪ねてきて、昼休みは占い待ちが出るほどだった。
そんなふうにして、口下手で人との距離の取り方がよく分からない私は、中高の昼休みには占いをすることで孤独から上手く逃げていたのだった。
その習慣は、大学生の時も就職してからも続いた。
十年間も毎日のようにタロットカードを触って過ごせば神がかってくるのだと思う。
どんどん的中率が上がっていくのを感じていた。
ある日、職場の先輩が恋愛運を占って欲しいと言ってきたので、更衣室のソファーセットに向き合って座った。
ところが、先輩は注文だけして何一つ情報を与えてくれない。
さすがに私は困ってしまったのだけれど、とりあえずいつもと同じようにカードを切り展開した。
先輩の横に座った人はどうやら事情を分かっているらしいのだけれど、二人共揃ってだんまりを決め込んでいる。
仕方がないので私はカードを流れ通りに読み始めた。
どう見てもハッキリとした結論しか出ていない。
「先輩は、ご両親公認でお付き合いされてる方がいます?」
そう聞いても二人共口を閉ざして頷きすらしない。
返事を諦めた私は、とにかく感じ取った事だけを言うことにした。
「半年後ぐらいに皆さんに祝福されて幸せな結婚をされると思います」
恋愛で半年後にいきなり結婚だなんてちゃんちゃらおかしいと思ったけれど、そう出ているし、読みが外れてもサービスなのだから怖くないので結局そう告げた。
先輩は無表情のまま、
「ありがとう」
とだけ言って、雑談などをすることもなく、そのまま休憩時間は終わった。
私は、
「変なの」
と思いながらも仕事に戻ったのだけれど、それから一ヶ月後くらいにその先輩が社長の御曹司と婚約したということを知って驚いた。
本当になんの情報もなく、私の占いは当たったのだった。
あの頃は本当に神がかっていたとしか思えない。
駄目なものは駄目と出たし、良い時は良いと出て気持ち良かった。
そんな私も結婚をして生活が変化するに従って自然とカードに触れなくなっていった。
でも私は、まだその力は私の奥底で眠っていて、いつか召喚されるのを今か今かと待っているのかもしれないと思ったりしている。
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